ああ……本当に私もなのはと変わらないかも?

 普段から「ユーノ君、大好きだよ♪」と公言して憚らないなのはだけど……。
 今の私なら「悠翔、好きだよ♪」と平然と言えてしまうような気がする。
 なんだか、こんなところまでなのはと同じになってしまうなんて……。
 普通には考えられなかったことだと思う。
 今までの私は男の子にこんな感情を持つだなんて考えたりもしていなかったのだから。
 クロノにすら私はこんな気持ちになったりはしなかったことを考えると……。
 それだけ、私は恋愛沙汰には縁が無かったはずだったはず……。
 でも、すっかりと悠翔のことに夢中になってしまっていて――――。

 これも……全部、悠翔のせいだからね?

 今では本当にそう思えてしまって。
 だけど、それが全然嫌じゃなくて……。
 私がどれだけ悠翔に惚れこんでいるのかが良く解ってしまう。

 うん、もう少しだけこうしていたいかな?
 未だに悠翔と寄り添っている私だけど……
 もう少しだけこうしていたくて……
 それが今の私の素直な気持ち――――

 悠翔にもその気持ちが伝わったのか、悠翔は私の頭を優しく撫でてくれた――――。






















魔法少女リリカルなのは
Sweet Lovers Forever
















 まったりと悠翔と過ごすうちに時刻はもう夕方に。
 なんか時間が過ぎるのって凄く早いと思う。
 好きな人と一緒にいるのって凄く楽しいけど……時間が早く過ぎてしまう気がする。
 でも、今日は凄く充実していたと思う。
 朝早くから悠翔と一緒に模擬戦をやって、その後は悠翔に迎えに来て貰って。
 それから今の時間までデートしてるんだから……今日はずっと悠翔と一緒にいた事になる。
 なのは達以外とずっと一緒にいたのは初めてかも。
 悠翔とふたりっきりでデートをして……凄く楽しかった。
 一緒に映画を観て、海鳴の街を回って……。
 悠翔から思いがけないプレゼントも貰って……。
 本当に今日のデートは夢みたいで。
 なんだか幸せな時間だったと思う。
 普段、なのは達と一緒に過ごしているのも幸せな気持ちになれる時間だけど……。
 悠翔とこうしている時間はもっと別な感覚で幸せな時間に感じる。
 やっぱり、親友と好きな人とじゃなんとなく違うように感じるんだろうな……。
 なのは達ともずっと一緒にいたいって言う気持ちにはなるけれど悠翔の場合はその気持ちに対して更にプラスした感じ。
 ずっと一緒にいたいって言う気持ちだけじゃなくて、触れ合っていたいって言う気持ちをプラスする感じ。
 上手くは言えないけど悠翔と一緒にいるのってそんな気持ちになる。

 はぁ……やっぱり、悠翔と一緒にいるのって好きだな……

 何処かうっとりとした気分で私は悠翔を見つめる。
 私の視線に気付いた悠翔も私を見ながら軽く微笑む。
 悠翔の様子からしてどんな目で私が悠翔のことを見ていたのかがバレているみたい。
 表に解るような様子をしていたつもりは無かったんだけど……。
 やっぱり、悠翔も私のことを良く見ていてくれているのかもしれない。
 私が悠翔の様子を見ながらそんなことを考えていると不意に悠翔の携帯電話が鳴った。
















 フェイトの可愛らしい様子を見つめていると俺の携帯電話が鳴る。
 とりあえず、携帯のディスプレイに表示された名前を確認すると――――『不破夏織』と表示されている。
 何か用事でもあるのだろうか。
「はい、もしもし」
『あ、悠翔。今、大丈夫かしら?』
「はい、大丈夫です。何か用でしょうか」
『ええ、実は悠翔の利き腕のことについてなの』
「俺の腕のことですか」
 夏織さんからの電話の内容は俺の腕の話。
 少し意外な内容ではあったが、腕に関する話は以前から夏織さんとしていたから決して可能性としては考えられないわけでは無かった。
「もしかして……手術の日取りでも決まりましたか」
『流石にするどいわね。その通りよ』
 もしかして、と思った俺は夏織さんに手術の話かと思って尋ねてみたのだが……。
 本当に手術の話だったらしい。
「……急な話ですね。俺としては別に構いませんが何時ですか?」
 元々からフィリス先生にも手術を勧められていたし、俺自身も治さなくてはいけないと思っていたから手術の話に関しては別に良い。
 勿論、俺も手術の話が確定したら受けるつもりだった。
『明日よ』
「は……?」
 しかし、何時かと尋ねてみたところ夏織さんから返ってきた返事は明日と言う答え。
 俺も思わず間の抜けた返事をしてしまう。
 手術自体に関しては全く問題は無いが……明日とは流石に急な気がする。
「それは、随分と急に決まりましたね……」
『私から見たら遅すぎるくらいだと思うけどね。ここまで利き腕を遣い続けて漸くなんだから』
「……そうかもしれないですね」
 夏織さんの言い分は尤もであり、俺は同意するしかない。
 確かに今の今まで腕を放置していたのは俺の過失であり、問題を残したままなのも俺の責任だ。
 だったら、承認する以外に俺には術は無かった。
『とりあえず、私からはこのくらいよ。詳しい話は帰ってきてからにしましょう』
「……解りました」
 こうして俺は夏織さんとの会話を終了し、電話を切るのだった。
















「悠翔。今のは?」
 悠翔が電話を閉じたのを確認して声をかける。
 今の様子を見ている限りなんか大事なことみたいな気がするけど……。
「ああ、夏織さんからだ。明日、俺の腕の手術があるらしい」
「え……?」
 悠翔から返ってきた答えは私も吃驚するような内容で。
 腕のことは私も知っているから悠翔が病院に行ったりすることは別に不思議とは思わないけど……。
 明日にいきなり、手術となれば私も驚くしか無くて。
 悠翔も驚いたような様子だったけど、すぐに割り切ってしまったのか普通にしている。
「明日が手術……」
 もう一度、確認するように私は口に出してみる。
 悠翔の利き腕の手術だってことは考えなくたって解る。
 昔に怪我をしたのをずっと引きずったまま悠翔は腕を遣ってきたんだから。
「そんな顔をしないでくれ。確かにいきなりの手術だが、これで一応は俺の利き腕のことも決着がつくんだ」
「……うん」
 確かに悠翔の言うとおりそうだと思う。
 悠翔の利き腕は爆弾をかかえているようなもので遣い続けるとどうなるかなんて解らない。
 解っていることとすれば手術もせずにこのままにしておけば治るものも治らないってこと……。
 悠翔だってそれを解っているから急な話でも受けたんだと思う。
 利き腕を治すって言う意思表示と言うのは明らかで悠翔も決断をしたんだと言うことで。
 あくまで手術で治すと言うのが悠翔の考え――――それは解ってる。
 悠翔は魔法でなら治せるはずのものを断った。
 それは悠翔の信念だと思うし、この世界の人としての考えなら間違ったことじゃないと思う。
 だけど、魔法で治すよりも悠翔の腕は完全には治らないと思う。
 治ったとしても傷痕は残るだろうし、今までよりは大丈夫だとしても遣い過ぎると軽い痛みが出たりすると思う。
 確かに悠翔の抱えている問題点は解決出来るのは解る。

 でも、私じゃきっとこんなふうな考え方は出来ないんだろうな……
 私だったら魔法で治して貰ってしまうと思うし……

 悠翔はここまで踏み入っているから無関係じゃないけれど……悠翔は管理局の誘いを断って、あくまで協力するだけと言っていた。
 だから、悠翔が魔法で治して貰うと言う選択をしないのはあくまで魔法とはなるべく関わらないと言う意思表示――――。
 悠翔の考えは解っているけれど、それが少しだけ寂しく感じる。
 でも、これも悠翔が決めたことだから私は精一杯、応援しよう。
 悠翔が決めたのなら私はそれから目を逸らさずにいる――――。 
 それが悠翔に対して私が出来ることなんだと思うから。



































 From FIN  2009/6/15



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