(でも、そういった部分も好きだから)
結局はこう言った結論になってしまう。
私が悠翔に惚れこんでいるのは当然なことで。
好きな人に惚れこまないなんてことはやっぱり、考えられなくって。
なのはがユーノに惚れこんでいる理由もこうして同じような立場になってみれば本当に良く解る気がする。
(私もなのはのことはあまり言えないかな……)
だけど、今は私もなのはと同じ立場になってしまって。
何時もなのはもこんな気持ちをユーノとのデートで持っていたりするのかなって思う。
だけど、今は悠翔とのふたりっきりでのデートだし――――こう言ったことを考えるのは止めよう
そう思った私は考えていたことを振り切って悠翔の顔を見つめる。
私が悠翔の顔を見つめると悠翔と目線がぴったりと合う。
もしかしたら、悠翔も私のことを見ながら色々と考えていたのかもしれない。
そう思うとなんか嬉しくなってきて――――私は悠翔と手をきゅっと繋いだ。
魔法少女リリカルなのは
Sweet Lovers Forever
悠翔と手を繋いだまま歩いて私達は街中を歩き回る。
私達のデートも既に後半。
後は軽く歩き回って解散するって言った感じなのかな?
とりあえず、悠翔と歩いて行くのは海鳴臨海公園。
海鳴臨界公園が素敵なデートスポットだと言うのはすずかや忍さんの談。
私も時々、ここには来るけれど本当にデートスポットとして良いところだと思う。
自然と人工物が良いバランスで配置されているって感じのイメージって言ったら良いのかな?
それに観光シーズンやクリスマスになると夜間ライトアップされていたりも。
今は日中だからそんなことは無いけれどデートするって言う場所としてはうってつけだった。
そんなわけで私と悠翔は海鳴臨界公園へと向かっている。
時々、こう言ったところに散歩で行ったりはするけれど、こうした事情で来るのは初めてで。
ちょっとだけどきどきしてしまう。
デートなんだからこう言った場所に来るのは当然と言えば当然なんだけど……。
まだ、悠翔とはつきあい始めたばかりでしかないからこう言った感覚にはまだまだ慣れない。
だけど、こう言った感覚は全く嫌じゃなくて。
寧ろ、尚更悠翔のことを気にしていたいって思う。
それに、街中でデートをするのも良いけど折角だからこう言ったお勧めのデートスポットでと言うのもやってみたいって思っていた。
今までは普通に散歩しているだけでしか無かったけれど、今では相手がいるんだし……。
(だから、良いよね?)
と私はそう思う。
悠翔は大好きな人だから――――こんなことだってやっぱりしていきたい。
それが私の思う正直な気持ちだった。
悠翔と手を繋いで歩くこと暫し――――私達は海鳴臨海公園へと到着した。
周囲を見渡しながら悠翔が少しだけ感心したような様子をしている。
そう言えば悠翔と一緒にこの場所に来たのは初めてなんだっけ?
今更ながら私はそのことに気付く。
最近はずっと悠翔と一緒にいるからあまり考えてたりはしてなかったんだけど……。
悠翔と出かけた場所なんて病院とすずかの家くらいしか無いような気がする。
八束神社は朝の訓練で行ったけど、それはカウントには入らないし。
翠屋だってなのはの家がやっているんだからそれも入らない。
一応、管理局に行ったりもしてるけど……それもなんとなくそう言ったことには含まれないと思う。
実際に管理局に行ったのは悠翔の実力を見るためって言うのが大きいし。
思えば、ここ数日は悠翔と一緒にいるはずなのに目ぼしいところに出かけていないと思う。
確かにずっと悠翔と一緒にいたけれどなのは達ともずっと一緒にいる。
それが悪いなんてことは全く無いけど……悠翔と出かける時間が取れなかったのも事実で。
皆で一緒にいるのはやっぱり、楽しいんだけど……。
悠翔と一緒にふたりっきりって言う時間は殆ど無い。
今日で漸く、長い時間を貰えたって感じがする。
「海鳴にはこんなところもあるんだな」
私が色々と考えていると悠翔が周囲を見渡しながら口を開く。
「うん。ここはデートスポットとしても有名なんだよ?」
「成る程。確かにカップルで来ている人が多いような気がするな。まぁ……俺達もそれに入ってるんだろうけど」
「ゆ、悠翔っ!?」
悠翔の言葉に私はぼんっと音がしたかのように真っ赤になる。
確かに海鳴の中でもデートスポットとしても有名だから悠翔とここには来たんだけど……。
悠翔から直接こんなふうに言われてしまうと逆に恥ずかしい。
「フェイトはそう見られるのは嫌なのか?」
私の様子を知ってか知らずか悠翔が尋ねてくる。
多分、悠翔は私がどう答えるかなんて解ってるんだろうと思う。
「嫌なんてことない、よ。悠翔とならそんなふうに見られたって良い」
だから、私の方も悠翔の望んでいる答えであり、私が本当に思っている答えを返す。
悠翔とならそんなふうに見られたって構わない――――。
ううん、悠翔とそういうふうに見られたい――――。
それが本気で私が思っていることなんだから。
「そ、そうか……有り難う」
私の言葉が照れくさかったのか頬を少しだけ染めながら視線を逸らす悠翔。
冗談では無く、本気でそう思ったから今の言葉を伝えたんだけど……。
逆に悠翔にそれが伝わったのか恥ずかしい気持ちになっちゃったのかもしれない。
こう言った様子の悠翔を見るのも珍しいと思う。
普段は私の方ばかりが頬を染めてばっかりだし……。
なんだか新鮮な気がする。
「悠翔、少し照れてる?」
そう思うと尋ねられずにはいられなくて。
つい、率直に今の気持ちを尋ねてしまう。
「……ああ、照れてるんだと思うな」
少しだけの間が空いた後、悠翔が答えを返してくる。
はっきりと自分の今の気持ちを言い切ったのは流石だと思う。
こう見ると……悠翔も私の前では本音を隠さずに言ってくれるようになったのかな?
そう思うと少しだけ嬉しくなってくる。
悠翔って中々、本音を言ってくれるようなタイプじゃないし……。
何処となく感情を隠しているのが解るような感じ。
私も悠翔のそう言った部分が解るのは悠翔のことを見つめているからなんだけど、ね。
それに悠翔は元々の気質からして本当のことを言ってくれない。
多分、それは悠翔の在り方にあるんだと思う。
剣士は手の内をバラすのを嫌う――――
悠翔の場合はそれが普段の自分にも繋がっているんだと思う。
私も悠翔の言っているそのことは良く解っているつもり。
そうしてきたからこそ今の悠翔がいるんだとも思うから。
だけど、悠翔はそれも関係なく本音を言ってくれるようになっている。
相手が私だからこそ言ってくれているって言うのもあるとは思う。
それが解るから私は本当に嬉しく感じる。
悠翔が私だけには本音で話してくれる――――。
それは、私が悠翔の特別だってことを意味しているんだから――――。
From FIN 2009/6/8
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