「まぁ、こう言うのって悪い気はしないな。フェイトと同じ時に同じことを考えていたのって良いなって思う」
「え、悠翔もそう思ったの?」
 悠翔の言葉につい吃驚してしまう。
 たった今、私が考えていたことまで悠翔と同じだったなんて。
「ん……? フェイトもそう思っていたのか」
「……うん。なんか私達って同じだね」
「そうだな……同じ、だな」
 悠翔も私も同じことを考えていて。
 それがなんかくすぐったく感じてしまう。
 だけど、悠翔はそのことを嫌がるどころか嬉しそうにしている。
 私の方も嫌どころか凄く嬉しく感じる。
 なんだか、そう言ったところも止まらなくなってきた気がする。
 ううん、悠翔と恋人同士になったからこそこんな気持ちになったのかもしれない。
 だけど、それが凄く心地よく感じる。

 やっぱり、好きな人と同じ気持ちでいるのって嬉しいから――――






















魔法少女リリカルなのは
Sweet Lovers Forever
















 2人で自分達の気持ちを確かめあって。
 もう一度、手を繋ぎ直して。
 私達は駅前を歩き始めた。
 今度は言葉少なく、一緒に歩きまわっていくだけと言った感じで。
 御互いの気持ちは解っているから言葉を交わさなくたって解る。
 私も悠翔もこう言った感じが心地良いって感じてる。
 昨日までは恥ずかしかったはずだけどそれとは気持ちも違う。
 少し関係が進んだだけでここまで気持ちに変化があるなんて……。
 私もちょっとだけ吃驚している。
 でも、こうして歩いているだけでも充分に満足だからそれでも良いかな?
「ふふっ」
 そう思うとつい、笑みが零れてしまう。
 私の様子に悠翔も「ん?」と言うような表情をしたけど何も言わなかった。
 私が何を考えているかは悠翔にも解っているんだと思う。
 悠翔の方も私と同じようにこうしているだけでも良いんだろうな――――。
 今の私達は指を絡ませるように繋いでいる。
 所謂、恋人繋ぎって言う繋ぎ方――――。
 普通に手を繋いでいるだけでも充分なんだけど……やっぱり、今では恋人繋ぎの方が良いかなって思う。
 以前からなのはとユーノが何時もやっているのを見てきて少しだけやってみたいなって思っていた。
 今までは相手がいなかったからそんなことをすることも考えたりすることは無かったんだけど……。
 こうして、実際につきあっている人がいると無意識のうちで考えてしまう。
 殆ど、反射的に恋人繋ぎにしているわけだし――――。
 そう言えば、あまり考えていなかったけど――――私ってもしかして、思うままに悠翔に接しているような?
 でも、そう考えるとそれだけ悠翔のことが好きだと言うことを実感する。

 うん、大好き――――
















 暫くの間、歩きまわってたどりついたのはアクセサリーや小物が売っているお店。
 良く見てみるとシルバーのアクセサリーとかだけじゃなくて水晶のアクセサリーなんかもあるみたい。
 こう言ったお店は時々、私も来たりして色々と見て回っている。
 少し前まではそんなに来たりはしてなかったけど、小学性の高学年になってからはこう言ったお店にも良く足を運ぶようになったかな?
 悠翔はこう言ったお店はあまり来ないと思っていたんだけど……。
 様子を見てみると意外と慣れている感じ。
 割とこう言ったところには来ていたりするのかな?
 そんなことを考えながら私は悠翔と一緒にお店の中を見て回る。
(あ……あれなんか欲しいかも)
 ふと、私の目に留まる水晶のネックレスと水晶の指輪。
 他にもペンダントとかも気になったけど……ああ言った宝石とか石のペンダントはなのはのレイジングハートが近い感じだからなんとなく止めておく。
 細かく装飾された水晶のネックレスはなんとなく私の目を惹いた。
 普段の私は首元とかにはチョーカーを身につけていたりするんだけど……ああ言ったのも良いかなって思う。
 後は水晶の指輪なんだけど……これはなんて言うか凄いと言うのが私の感想。
 普通に婚約指輪とかと同じくらいに綺麗なもので。
 デザイン的に少しだけシンプルな感じがするけどそれが逆に良いと思う。
 でも、目の前にある指輪は今の私にはまだ早いかな……?
 私が欲しいと感じた指輪は凄く綺麗で値段も高くて。
 どうしても躊躇ってしまう。
 それに、私の年齢じゃまだこんな指輪は早過ぎるような気もして。
(うん、今はよそう)
 そう考えた私はとりあえず、悠翔の方を見つめる。
 悠翔は私の視線を余所に店員さんに話しかけていた。
 店員さんが奥に入って少しした後に戻ってくる。
 悠翔は何かを購入したみたいで、何かを受け取っている。
 店員さんから何かを受け取った悠翔は一言、二言、店員さんと会話をして私の方へ戻ってくる。
「フェイト」
「え……?」
 悠翔がいきなり私の手を引いて店内にある鏡の前へ連れていく。
 店内にある鏡は多分、アクセサリーを身につけた時にどんな感じかを見るためにあるものだと思う。
 いきなり悠翔に連れて来られて少しだけ訳が解らない。
 疑問を浮かべている私を余所に悠翔は先程受け取ったものを取り出してそれを私の首に身につけさせる。
「うん、やっぱり似合うな」
 そう言って悠翔は私から離れる。
「え……これって?」
 悠翔が私の首に身につけてくれたものは――――今、欲しいと思っていたネックレス。
「俺からのプレゼントだ。フェイトに似合うと思って」
「え、えっと……あ、ありがとう悠翔」
 思わぬプレゼントに私はしどろもどろになりながら悠翔に御礼を言う。
 なんだろう……凄く頬が熱い。
 私が欲しいと考えていたものを悠翔にプレゼントして貰えるなんて。
 これは、あまりにも予想出来なかったことで本当に嬉しい。
 悠翔からこんなものを貰えるなんて――――あまりにも嬉しくて。
 私は天にも昇る気持ちだった。
 だから、この時は悠翔からのプレゼントに頭が一杯で気付かなかった。
















 悠翔がもう一つ、何かを受け取っていたことを――――。
















 悠翔に思わぬプレゼントを買って貰って。
 私は嬉しい気持ちで一杯ののままお店を後にする。
 お店の人にはなんとなく、微笑ましい目で見られていたような気もするけど……私はそれにも気付かないくらい嬉しさで一杯だった。
「悠翔、ありがとう。悠翔からこんな素敵なものを貰えて……嬉しいよ」
 本当は言葉に言い表せないくらいに嬉しいけど……それでも、改めて御礼だけは言いたくて。
 私は精一杯の笑顔で悠翔に御礼の言葉を伝える。
「……どういたしまして。フェイトのそんな表情が見られるなら俺もプレゼントした甲斐があるってものだ」
「もうっ、悠翔っ!」
 悠翔の言葉に少しだけ頬をふくらませる私。
 別に悠翔がからかってそんなことを言っているのは解っているけれど……。
 悠翔は少し微笑しながら言っていたから、私の反応を多分、ずっと見ていたってことで。
 それがなんとなく恥ずかしくて私はつい、こう言った反応をしてしまう。
 でも、逆に悠翔から見れば私がこういった反応をするのが楽しいみたいで。
 そう思うと少しだけ、むっ……としてしまうけど悠翔が相手だったら別に良いかなって思ってしまう。
 なんか、本当に私も悠翔にすっかりと惚れこんでしまっているんだなぁ……って感じる。
(でも、そういった部分も好きだから)
 結局はこう言った結論になってしまう。
 私が悠翔に惚れこんでいるのは当然なことで。
 好きな人に惚れこまないなんてことはやっぱり、考えられなくって。
 なのはがユーノに惚れこんでいる理由もこうして同じような立場になってみれば本当に良く解る気がする。
(私もなのはのことはあまり言えないかな……)
 だけど、今は私もなのはと同じ立場になってしまって。
 何時もなのはもこんな気持ちをユーノとのデートで持っていたりするのかなって思う。

 だけど、今は悠翔とのふたりっきりでのデートだし――――こう言ったことを考えるのは止めよう

 そう思った私は考えていたことを振り切って悠翔の顔を見つめる。
 私が悠翔の顔を見つめると悠翔と目線がぴったりと合う。
 もしかしたら、悠翔も私のことを見ながら色々と考えていたのかもしれない。
 そう思うとなんか嬉しくなってきて――――私は悠翔と手をきゅっと繋いだ。



































 From FIN  2009/6/4



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