「悠翔、面白かったね?」
「ああ。なんとなく、重ねられる部分が多かった気がするが」
「うん、私もそう思う。なんて言ったら良いのか解らないけど……」
「……そうだな」
やっぱり、フェイトも俺と同じような気持ちでいて。
同じような感覚を感じていたことが嬉しく感じる。
直接的に感じていたわけじゃ無いけれど、フェイトと考えていることが同じだったと言うのはなんとなく距離が縮まってきたのかもしれない。
こう言ったような感覚は本当に初めてだと思う。
今回、見た話がたまたまそう言ったものだったって言うのはあるのかもしれない。
だが、それを抜きにしても今回観た映画が何かしら感じるものがあったのは間違いない。
そう言った意味では本当に良い話だったと感じる。
本当はもっと詳しく話のことを説明したいところだが……フェイトとのことばかり考えてしまう。
これも俺が少しずつ変わり始めたってことなんだろうな――――。
魔法少女リリカルなのは
Sweet Lovers Forever
「さて、と時間もそろそろ昼になるし……食事にでも行こうか」
「うん。とりあえず悠翔は何を食べたい?」
時刻が昼をまわったと言うことで昼食の話へと移る。
とは言っても話題には出来ても俺は此方の地理には疎いから明確に何処に行くとは言えない。
ここはやはり、フェイトに任せるしか無いだろう。
とりあえず、何を食べたいと聞かれたからリクエストには応えないとな――――。
「そうだな……和食か洋食ならなんでも良いな。中華は割と食べてるから今日は良い」
「うん、解ったよ」
俺のリクエストに頷くフェイト。
多分、俺が中華を割と食べていると言うことについては気付いているんだろう。
俺は香港での生活が長く、中華を食べることがかなり多い。
流石にあちらだと文化圏なだけあって純粋に美味しいと言える。
逆を言えば俺の場合は本場の味しかしらないので、此方での中華料理の味と言うものはあまり合わない可能性がある。
好き嫌いとかは別に無いのだが……流石にこう言ったことには拘りたくは無かった。
「じゃあ、私が悠翔と行ってみたいって思ったところがあるからそこでも良い?」
「ああ、構わない」
フェイトは俺と行こうと思っていた所があったらしく、そこにしようと言ってくる。
俺としては当然、大歓迎だ。
フェイトが勧めるのであれば断る理由なんてない。
「じゃあ……行こ、悠翔」
「……ああ」
俺が返事をしたのを確認したフェイトが手を差し出してくる。
当然のように俺もその差し出された手を握る。
そして、御互いの指を絡み合わせるように手を繋いで。
フェイトに連れられるかたちで俺達は昼食の場所へと向かって行った。
悠翔と一緒に来てみたのはイタリア料理店。
ちょっと高級な感じのするところなんだけど……。
たまにはこう言うところも良いかなって思っていたお店。
なのは達と一緒の時にはこう言うところには来ないから少しだけ不思議な気持ち。
悠翔と一緒だから何時もと違うのもある。
やっぱり、友達と恋人は全然、違うわけで。
普段とは違うことをしてみたり、違う所に行ってみたりしてみたいって思うから。
「どうかな……?」
「うん、美味いな」
ここは私も初めてだけど悠翔も気にいったみたいで。
因みに私と悠翔はこのお店のパスタを食べている。
私は日替わりのパスタ、悠翔はシェフのお勧めパスタと言うのを選んだ。
悠翔のはお勧めと言うだけあってとても、美味しそうに見える。
私のも日替わりと言うだけあってお店のメニューとは一風変わった感じ。
悠翔も私の方のに興味があるのか私の方のを見つめている。
もしかして、悠翔も気になってるのかな?
そう思った私はパスタをフォークで少しだけとって悠翔の方に差し出す。
「えっと……一口、食べる?」
「ああ、貰うよ」
「はい♪」
悠翔が食べると言ったくれたから私はそのまま悠翔に食べさせてあげる。
差し出されたパスタを悠翔も躊躇う事なく食べる。
なんかこうやってみるのも良いかも……
「ん、美味い」
私の食べているパスタを食べて満足そうな悠翔。
嬉しそうな表情をしている悠翔はなんとなく可愛い気がする。
悠翔の口にもあっているみたいで私の方も嬉しくなる。
でも、悠翔の凄く美味しそう――――
「俺の方も食べてみるか?」
私の表情に気付いた悠翔が食べてみるかどうか尋ねてくる。
「え、良いの?」
「フェイトから一口、貰ってるからな。不公平だろう?」
そう言いながらパスタを少しだけとってくれる。
「ん、じゃあ……頂きます♪」
私もさっきのお返しと言うことでそのまま悠翔からパスタを食べさせて貰う。
食べさせて貰ったパスタは思っていた以上に美味しくて。
少しだけ吃驚してしまう。
多分、悠翔から食べさせて貰ったのが理由だと思うけど……うん、凄く美味しい。
なのは達の前じゃこんなことなんて出来ないけど……。
こう言うのも良いなぁ……って思ってしまう。
悠翔も満足そうで、私も嬉しくなる。
結局、このまま2人で自分のパスタを食べながら時々、お互いのパスタを食べさせあう。
そんな感じで昼食の時間は過ぎていった。
うん、満足かな――――
悠翔と食べさせあいながらの昼食が終わって私達はお店を後にする。
なんか途中から微笑ましい視線を感じたけれど……。
う〜ん……ちょっと大胆にやり過ぎちゃったかな?
少しだけ頬を染めながら私は悠翔と一緒に歩いていく。
悠翔も少しだけ頬を染めているような気がする。
「美味しかったよね?」
「ああ、確かに美味かったな……少しやり過ぎたような感があるけどな」
「あぅ……」
やっぱり、悠翔もそう思ってるみたいで。
つい、積極的にああ言ったことをしてしまったけど……。
どうしても歯止めが効かなくて。
ふたりっきりだって言うのもあるけど……色々と抑えられない。
寧ろ、さっきのことは殆ど意識なんてせずにやっていたから――――。
「でも、フェイトとこうするのは嫌じゃなかったから別に良い」
「悠翔……」
そう言いながら私の頭をぽんぽんと撫でる悠翔。
……ちょっと気持ち良いかも。
とりあえず、悠翔も別にまんざらじゃ無かったみたいで。
悠翔ももしかしたら私と同じような気持ちを持っていたのかもしれない。
そう考えると嬉しくなってしまう。
今は私だけが意識しっ放しってわけじゃ無い。
悠翔も私のことをちゃんと意識してくれている――――。
そのことが私を満たしてくれる。
悠翔と一緒だと本当にそう感じる。
「よし、そろそろ買い物にでも行こう。フェイト、案内してくれるか?」
「うんっ!」
私の気持ちを知ってか知らずか悠翔が私の手を取って――――私も悠翔の手を握り返す。
漸く、デートも午前の分が終わったばかりで時間も残っている。
私達のデートはまだまだこれから――――。
From FIN 2009/5/24
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