思えば、私は初めて会った時から悠翔のことを気にしているわけで……。
 多分、悠翔とのことは一目惚れだったんだと思う。
 改めて考えてみると絶対にそうだと実感出来る。
 初めて悠翔の姿を見かけた時から私は悠翔のことを気にしていたんだから……。
 私がここまで気になった人は悠翔が初めてで。
 誰にもこんな気持ちになんてなったことは無いと思う。
 悠翔と出会ってまだ、数日でしか無くて。
 本当に僅かな時間――――なのは達との時間の何分の一にも満たないのに。
 でも、私は悠翔のことを好きになって……こうして、つきあうことになって……。
 とにかく、惹かれるままに悠翔とはこうなったんだと感じる。
 だけど……それは全然、嫌な気持ちなんかじゃなくて。
 寧ろ、それが凄く嬉しく感じてしまう。
 やっぱり、私は悠翔にベタ惚れなんだな――――。






















魔法少女リリカルなのは
Sweet Lovers Forever
















 悠翔のことを考えながら歩いていると何時の間にか海鳴駅の周辺に到着する。
 時間帯は10時を回ったところで、駅の周辺には人が多くなり始めている。
「このくらいの時間帯なら色々なところを回れるけど……悠翔はどうする?」
「そうだな……」
 私に尋ねられて考え込む悠翔。
 今回のデートは特に何も予定を決めたりしていない。
 だから、何をするかって言う予定も含めてやることなんて言うのも特になかったりする。
 とりあえず、さっきの話からするとショッピングに行く流れになるのかな?
 それとも、映画にでも行ってみるのも良いかもしれない。
 今の私達はとにかくノープランで来ている。
 アリサやはやてならこう言った時でも色々と考えてくれるんだろうけど……。
 生憎、この場には私と悠翔のふたりっきり。
 私も悠翔もあまり、こう言った計画は立てるのは得意じゃないと思う。
「とりあえず、映画でも行ってみるか。買い物は昼からゆっくりとする感じで」
「うん、私はそれで良いよ」
 悠翔からの提案は映画に行くこと。
 特に行くところは決まっていないし、考えてもいないからちょうど良いと思う。
「そう言えば……映画は今、何をやっているんだろうか」
「えっと……SFとかファンタジーとかアニメとか特撮とか」
 悠翔に最近やっている映画を尋ねられてジャンルを列挙していく私。
「他は?」
「……後は恋愛物とかホラーもやってたりするのかな?」
「成る程」
 とりあえず、一通りの映画のジャンルを聞いた悠翔は少しだけ考え込んでいる。
 悠翔の好みの映画は解らないからここは悠翔に任せてみようかなって思う。
 私としてはホラーだけは嫌なんだけど……悠翔が行こうって言うのなら頑張ってるつもり。
 一番、行きたいのが何かって聞かれると恋愛物が行ってみたい、かな?
 如いて言えば、アニメの方かな……?
「とりあえず……恋愛物にでも行ってみるか」
「え、良いの?」
「なんとなく、恋愛物に関してはフェイトが行きたそうな表情をしていたからな。それに……行きたくなさそうなのもあるみたいだし」
「あぅ……」
 ぼんっと私の頬が熱くなる。
 何故か、私が行きたい映画はバレバレで。
 そんなに私の表情は解りやすいのかな?
 でも、私の表情を見てそれに気付いてくれたのが嬉しい。
 それって悠翔も私のことを良く見ていてくれているってことだから……。
 私は頬を温めたまま悠翔の提案に頷いた。
















 悠翔と一緒に恋愛物の映画を観てみる。
 恋愛物と言ってもアニメの方だから……私のリクエストどおりの方で。
 話の内容としては……桜の木の下で運命的な出会いをした二人の男女がまた、再会していろいろな事件に巻き込まれると言った感じのお話。
 原作は草薙まゆこと言う人が書いている桜物語と言うお話から。
 それを映画化したのが今回見ている映画の内容かな?
 元が少女漫画と言うだけあって雰囲気も優しい感じがある。
 でも、どちらかと言えば格好良いイメージがある感じのお話かな?
 それでいて、主人公が色々な奥義を扱う人物で。
 なんとなく、悠翔や恭也さんに雰囲気や遣っている奥義が似てる。
 ……もしかして、モデルとかになってたりするのかも?
 そう思うくらい主人公の剣士の奥義は御神流の奥義に似ていた。
 ヒロインの女の子は少しぽや〜っとしているイメージ。
 優しくて少し天然も入っているような感じがある。
 何処となく護ってあげたくなるよう雰囲気を感じるのかな?
 私は桜物語の原作をなのはやはやてから読ませて貰っていたからこの映画には興味があったし内容も解る部分がある。
 悠翔の場合は海外にいたから桜物語のことは知らなくて。
 主人公の遣っている流派の奥義を見て吃驚していた。
 多分、御神流の奥義に似ている部分があることに吃驚しているんだと思う。
 桜物語は少女漫画としては戦闘の描写にも力が入っていて主人公の男性は凄く格好良い。
 ヒロインの女の子は可愛らしくて優しくて……主人公とはお似合いだと思う。
 イメージとしては後ろからついて来てくれるって言う感じのイメージなのかな?
 なんとなく、こう言った雰囲気には憧れてしまう。
 その感覚に私と悠翔の姿をかけ合わせてしまって――――良いなぁ……って思ってしまう。
 映画の最後の方に出てきたキスシーンも見てしまうとその気持ちは尚更だった。
(私も悠翔とこう言うこと出来ると良いな……)
 映画を観終わった頃には私はこんな感想を覚えていた。
 流石に物語の中でのことだから難しいとは思うけど、女の子としてはなんとなく憧れてしまう。
 でも、運命的な出会いって言うのは私と悠翔も似たような感じかもしれない。
 形は全然違うけれど、私と悠翔がこうしているのも運命的な出会いがあったからって言えると思う。
 改めて私は悠翔とのことをこう実感する。
 うん、やっぱり――――観て良かったと思う。
















 フェイトが行きたそうにしていた映画を観てみたが……これまた随分と面白かった。
 何処となく、主人公が俺や恭也さんにタイプが近いこともあって共感出来る部分が多かったように感じる。
 ヒロインはなんとなく、フェイトやファリンを合わせたような感じがした。
 護ってあげたくなるのはやはり、フェイトっぽいイメージを俺が感じていたからなんだろう。
 話としては戦闘がメインでもあるが、少女漫画が元なだけあって恋愛も主軸としてある話だった。
 最後の方のシーンとかはなんとなく、フェイトとの関係を意識してしまう。
 昨日までならそこまでは意識しなかっただろうが、今ではそうもいかない。
 恋人同士になった今では意識せずにはいられない。
 しかし、こう言った気分は悪くないと思う。
 寧ろ、新しい感覚に嬉しさも覚える。
 映画なんて滅多に観たりしないのだが……観て良かったと思う。
 多分、フェイトも同じ気持ちだろう。
「悠翔、面白かったね?」
「ああ。なんとなく、重ねられる部分が多かった気がするが」
「うん、私もそう思う。なんて言ったら良いのか解らないけど……」
「……そうだな」
 やっぱり、フェイトも俺と同じような気持ちでいて。
 同じような感覚を感じていたことが嬉しく感じる。
 直接的に感じていたわけじゃ無いけれど、フェイトと考えていることが同じだったと言うのはなんとなく距離が縮まってきたのかもしれない。
 こう言ったような感覚は本当に初めてだと思う。
 今回、見た話がたまたまそう言ったものだったって言うのはあるのかもしれない。
 だが、それを抜きにしても今回観た映画が何かしら感じるものがあったのは間違いない。
 そう言った意味では本当に良い話だったと感じる。
 本当はもっと詳しく話のことを説明したいところだが……フェイトとのことばかり考えてしまう。
 これも俺が少しずつ変わり始めたってことなんだろうな――――。



































 From FIN  2009/5/21



 前へ  次へ  戻る