(とりあえずはこのくらいかな?)
 後はお化粧とかもした方が良いのかなとも考えるけど、それは止めにしておく。
 悠翔の前では無理に着飾りたくない。
 そう言った意味では服装に気を入れるので精一杯だから。
 私はとりあえず、リップクリームを塗っておくだけにしようと決める。
(うん、これで良いかな)
 大体のことを決めた私。
 後は朝食を食べ終わってから準備をするだけ――――。
 そう思っていたら義母さんから声がかけられる。
「フェイト、朝ご飯よ〜」
「は〜い」
 準備のことを色々と考えていたら何時の間にかそんな時間になっていたみたい。
 私は心なしか早足でダイニングルームへと向かっていく。
 朝食が終われば悠翔とのデートがあるんだから――――。
 そう考えると自然に身体が動く。
 約束まではまだまだあるけれど――――はっきりと言えることが一つ。
 悠翔とのデートが楽しみ――――。






















魔法少女リリカルなのは
Sweet Lovers Forever
















 朝ご飯を食べ終わって準備を済ませる私。
 さっき選んだ服装にして、リップクリームを塗って……。
 うん、これで良し……と。
 何時もよりも念入りに出かける準備をする。
 普段もお出かけをする時には気を遣っているつもりだけど……。
 今日は初デートだと言うことで色々と特別で。
 とにかく、ドキドキが止まらない。
 悠翔と一緒にいるだけでも胸が高鳴ったりすることは多かったけど……。
 今回は普段以上にドキドキして。
 悠翔との約束の時間が迫ってくるだけなのにこんな気持ちになるだなんて……。
(なのはも何時もこんな気持ちになっているのかな?)
 ユーノと待ち合わせをしている時のなのはも私と同じような感じになっているのかなと思う。
 なんだか、ドキドキして、そわそわすると言った感じ――――なのかな?
 上手く言えないけど、なんとなくそんな感じがする。
 義母さんには今日の予定のことを尋ねられたけど、なんとなく秘密にしてしまった。
 出かけるとは言ったけれど、悠翔とふたりっきりだとは伝えていない。
 なんとなく、悠翔とつきあい始めたと言うのは言いにくくて。
 義母さんはきっと反対したりはしないと思うけれど……。
 昨日は色々とあったからなんとなく気不味いような気がして。
 結局は悠翔とのデートは皆にも秘密にしているような状態に。
 初デートが秘密のデートみたいになるなんて……少しだけ悪い気もするかな?
















 準備を終わらせた俺は時間まで待つことにする。
 少しだけ考えてみて気付いたのだが……フェイトと待ち合わせの場所を決めていなかったような気がする。
 時間まではまだ、もう少しあるが場合によっては行き違いになるかもしれない。
(フェイトの家の前で待ってることにするか――――)
 とりあえず、そう決めた俺は飛鳳を含めて、暗器の再確認を行う。
 暗器が全部あることを確認した俺は部屋を出ていく。
 そして、行ってきますの挨拶をして高町家を後にする。
 フェイトの家まではそう時間はかからない。
 少し歩けば着く距離にあるからだ。
 とりあえず、ゆっくりと歩いていくことにするとして……。
(メールを送っておくか)
 念のため、俺はフェイトに迎えに行くと言う連絡を入れておく。
(これで良い)
 フェイトにメールが送信されたのを確認した俺はゆっくりとした足取りでフェイトの家に歩いていく。
 唯、迎えに行くのは別に良いが、なんとなくクロノさんがいるとなると気まずいような気もする。
 リンディさんに会うのもなんとなく気が引けた。
 とりあえず、皆には黙ってとのこともあり、余計に話題を広げたくないと言うのもある。
 昨日は俺が剣士として、魔導師との違いをはっきりと宣言したと言う事情もある。
 魔導師のことを全否定するつもりは無いが、否定したことには変わりはない。
 それに、管理局の在り方にも肯定の返事をしなかった。
 一応、協力することには決めたが、事実上は所属拒否の返事だ。
 少し言い方を変えれば、管理局には属するつもりは無い。
 そう言ったことを俺はリンディさんに伝えている。
 これで、何も思わなければ俺は薄情な人間でしか無いだろう。
 まぁ……今日はそう言ったこととは関係無いからあまり考えるのもどうだろうな。
 せっかくのフェイトとのデートなのにそう言った話を持ち込むのであれば台無しになるだろう。
(考えるのはよそう。フェイトとのデートを楽しむのが第一だ)
 俺は考えていたことを振り切って道を歩き始めた――――。
















「ん?」
 悠翔との約束の時間まで後、30分くらいになった頃……。
 私の携帯にメールが入る。
 内容を確認してみると悠翔からのメール。

『迎えに行くからフェイトは外で待っていてくれ』

(え……悠翔が迎えに?)
 もう一度、携帯に来たメールを再確認してみる。
 間違い無く、悠翔からのメールは私のことを迎えに来ると言う内容だった。
(あ……)
 悠翔からのメールで私は大切なことを思いだす。
 そう言えば私と悠翔は何処で待ち合わせるかと言う約束はしていない。
(私ったら……っ)
 今更ながら思いだすだなんて――――。
 悠翔がもし、メールを送ってくれなかったら私は最後まで気付かなかったかもしれない。
 初めてのデートだからって浮かれ過ぎちゃったのかも……。
 私は急いで悠翔に返答のメールを返す。
 悠翔がメールをくれたのは今だってことを考えると……。
 もうすぐしたら悠翔は来るってこと。
 だったら、すぐにでも私は出て待っていないといけない。
「じゃあ、行ってきます」
 慌てて行ってきますの挨拶をして私は家の方から出る。
 もしかしたら、悠翔が既に待っているかもしれない――――そんなことを考えながら。
 私が慌てて出てみるとまだ、悠翔の姿は見えない。
(一応、間にあったみたい)
 もし、悠翔を待たせるようなことになってしまったら本当に申し訳無いと思う。
 今回、悠翔がこっちに来てくれるのは待ち合わせの約束をしていなかったのが理由だから。
 私もその約束をしていなかったことを失念していたから悠翔に気を遣わせてしまった。
 初めてのことにやっぱり、浮かれていたんだとしか思えなかった。
 少しだけ落ち込みながらも私は悠翔が来るのを待つ。
(落ち込んでもしょうがないし……。悠翔とはやっぱり、こんな気持ちで会いたくないもの)
 落ち込んだ表情のままで悠翔と会うなんて……とても出来ない。
 こんな気持ちではきっと、楽しめるものも楽しめない。
 やっぱり、初デートはとびっきりの笑顔で会いたいと思う。

 大好きな男の子と会うのに、暗い表情なんて見せられないから――――。



































 From FIN  2009/5/11



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