「もしかして、エクス。君はマクガーレン・セキュリティーサービスの関係者か?」
「……その通りだ。僕は確かに関係者だな」
「……成る程な。と言うことは……イギリスにはやてが行った際に護衛でも務めたか?」
「は〜……流石やなぁ、悠翔君。今の話だけで解るやなんて」
「……あくまで推察しただけだ」
 いや、私も今の推察は凄いと思う。
 私なんて全く、考えつかなかったのに……。
「いや、それだけで解るなら大したものだよ。普通なら解らないと思うけど」
「まぁ……一応、同業者だからな。多少は解る、それだけだ」
「……成る程、違い無い」
 え〜っと、彼と悠翔が同業者?
 セキュリティーサービスって言ってたから確かにそう言った仕事がメインだとは思うけど……。
 悠翔の方は少し違うような気も。
 彼の方は銃を遣っていたからSPって感じがするけれど……。
 悠翔はどうなんだろう。
 少しだけ違うような気も?
 でも、アリサやすずかの護衛をしたことがあるって言ってたから……やっぱり、同業者で間違いないのかも。
 だけど……何故、彼ははやてと関連性があるんだろう。
 唯の護衛……それだけじゃないような気がするんだけど――――?























魔法少女リリカルなのは
Sweet Lovers Forever
















「そう言えば、はやて。どうして、彼と知り合ったの?」
「ん〜……エクス、話しても良い?」
「別に良いと思うけど」
「じゃあ、遠慮なく話させて貰うで。エクスとはな……グレアムおじさんの紹介で知り合ったんよ」
「グレアム提督の!?」
 可能性としては考えていたけど、本当にグレアム提督の関係だったなんて。
「うん。グレアムおじさんの所に行った時にな。私がイギリスの散策をしたいって言った時に紹介してくれたんよ」
「ちょうど、あの時はグレアム氏に用事があったからな。僕もたまたまそこにいたって言う感じだった」
「でも、そのお陰でこうしていられるんやしな♪」
 そう言って彼と腕を組むはやて。
 ええっと……もしかして、もしかしなくても?
「多分、フェイトちゃんの思ってる通りやで?」
 成る程……って私は何もはやてから聞いていなかったんだけど!?
「そりゃそうや。黙っとったもん」
「まぁ、僕も日本には行ったこと無いし。紹介する機会が無かっただけだと思うけど」
「でも、皆に紹介するのもなぁ……なんとなく嫌やったんよね。なんとなく、エクスはフェイトちゃんの好みっぽいし」
「え、ええっ!? そ、そんなことないよ?」
 確かに彼は充分に格好良いし、私から見ても好感を持てるタイプだけど……。
 悠翔とはやっぱり、違うと思う。
 ううん……悠翔の方が格好良い?
「ま、今はフェイトちゃんには意中の彼がおるから大丈夫やと思ったわけなんやけどな」
「あぅ……」
 はやてに図星を突かれて頬が熱くなってしまう私。
 はやては何時も直球で言葉をぶつけてくるから困ってしまう。
 解ってて言っているって言うのもあるからどう対応したら良いのか。
「けど、悠翔君が知り合いじゃなかったんは珍しいな。私はてっきり同業者だから知ってると思っとったんやけど」
「俺も組織に所属しているってわけじゃないからな……」
「僕もヨーロッパを離れたことは殆どないな」
「成る程なぁ。お互いに接点があるようで無かったってことなんやな〜」
 確かに接点がありそうで無かったと言うのは解る気がする。
 同い年くらいで同業者だなんて殆どいないだろうと思うし。
「そう言うことだろうな。だが……マクガーレンと言う名前に関しては知っていた。かなり有名だからな」
「そうなん?」
「マクガーレン・セキュリティーサービスはフィアッセ=クリステラさんの護衛を務めているからな。それだけでもかなり知名度はあると言っても良い」
「成る程……。と言うことは君は昨年の事件のことも知っていると?」
 えっと、昨年の事件……?
 私は事件があったってことなんて知らないけど……?
「当事者じゃないけど、一応な。あの事件は恭也さんと美由希さんが解決したからな。話は詳しく聞いている」
 えっ……恭也さんと美由希さんが!?
 なのはからはこんな事件の話は聞いて無かったけど……。
 恭也さん達が関わっていた事件があったなんて……。
「成る程、君も関係者だったと言うことか」
「解るのか?」
「いや……立った今、確信しただけだよ。昨年の事件の時に剣士が協力してくれたって聞いてたから」
「……成る程」
 今の会話だけで大体、悠翔は納得してしまったみたい。
 そもそも、私には昨年の事件がなんのことか解らないからピンとこないけど。
 彼にも何か色々と事情があるみたいで。
 それにしても……はやても何時の間に――――彼と知り合っていたのかな。
 私達にも黙ってるなんて……ちょっとずるい気がする。
 でも、彼が私達に会う可能性なんて殆ど考えられなかったから仕方が無いのかも?
 とは言ってもグレアム提督からの紹介だったなんて思いもしなかったけど――――。
















「今日はとりあえず、悠翔君の戦闘データと今後どうするかを決めるためやったみたいやけど……エクスの方はとりあえず、どうなん?」
 悠翔と彼の会話が終わったのを見計らってはやてが尋ねる。
 そう言えば、悠翔の方の目的は聞いていたから解るけど……。
 彼の方は聞いていなかったと思う。
 魔導師とは違うから管理局員ってわけじゃないし。
「僕のほうも悠翔のついでにデータを取られたな。多分、目的としては悠翔と変わらないと思う。データに関しては凄いのかは解らないけど」
「いや、充分どころやないと思うで? エクスも魔法は遣えんのやし」
 はやてが言うにはかなり凄いみたいに感じる彼の測定結果。
「えっと……エクスだったよね。良ければ私にも見せて貰えないかな?」
「ああ、別に構わないけど」
 興味を持って尋ねてみると彼……エクスも快く応じてくれた。
 えっと……彼のデータ結果は――――。



『エクス=マクガーレン・13歳

 戦闘技能 AAA
 魔法資質 C
 身体能力 AA
 状況判断能力 AA+
 空間把握能力 AA-
 近接戦闘能力 AAA
 中距離戦闘能力 AA+
 長距離戦闘能力 A
 単体戦闘能力 AAA
 広域戦闘能力 C
 攻撃力 Unkown
 防御力 C

 魔導師としての適性は一般人と変わらず。大いに観察の必要性あり
 リンカーコア自体も一般水準程度であり、魔導師としての適性は低めと思われる。
 攻撃力については、禁止されている質量兵器を使用しているため不明である。
 戦術レベルでは執務官クラス、騎士としての適性有り。

 総合評価 AAAクラス』



 えっと、総合では悠翔と殆ど互角……。
 ううん、全体的なバランスからすると悠翔よりも高い。
 と言うか、近接戦闘力が悠翔に迫るほど高いなんて!?
 エクスは殆ど、格闘戦をしていなかった気がするけど……。
 でも、悠翔の攻撃に対処していたのを見ると確かに高い数値が出ても可笑しくないかもしれない。
 だけど、彼も何か解らないけど……実力を隠している気がする。
 悠翔の動きを見切っていたと言うのも凄いと思うけど……。
 それ以上に気になるのが悠翔に迫るほどの異様な近接戦闘力……。
 悠翔の場合は身体上に問題があった上での数値だったけれど……。
 それでも、エクスの数値も凄く高いと思う。
 一体、どうして……こんな数値が?
















「なんか、俺よりも凄く見えるんだが」
「まさか? 僕の場合は器用貧乏なだけだ。寧ろ、君の場合は身体上の問題を抱えての結果だから凄いのはそっちじゃないか?」
 御互いの結果を比べあう悠翔とエクス。
 私達から見れば生身でそれだけの数値が出ているんだから……どっちもどっちだと思う。
「いや、2人とも凄すぎるくらいやと思うで? 私達から見たらなんでやねん、としか言えんもんなぁ」
「俺達から見たら、魔法が遣える方がもっと凄いと思うんだが……」
 う〜ん……なんか議論みたいになってるけど、これってどっちもどっちだよね。
 私達から見れば、生身一つでと言うのが信じられないし。
「まぁ……この話題は幾らやってもキリが無いし……このへんでええんとちゃう?」
「……そうだな」
 はやての提案に頷く、悠翔達。
 キリが無いって言うのははやての言うとおりだし……私もそう思う。
 とりあえず、悠翔達が凄いと言うことで落ち着いたのかな?
「さて、と俺はとりあえず……一旦、夏織さん達の所に戻る。フェイト達はどうする?」
 ある程度話をして、時間が経ったのを確認する悠翔。
 そろそろ、義母さんと夏織さんのお話も終わりが近いみたい。
「私は……悠翔についていくよ」
 私は迷わず、悠翔についていくと言う選択肢を選ぶ。
 やっぱり、悠翔のことが気になるから。
「そうやなぁ……今回は私も行こうかな。 悠翔君のことも気になるしな」
「……僕も行こう。少し話をしたい人物もいるしな」
 今度ははやて達もついてくるつもりみたい。
 義母さんと夏織さんの会話は確かに気になるけど……。
 はやて達に聞かせても大丈夫なのかな?
 悠翔もそれが少し気になっているみたい。
「……解った。別に大丈夫だと思う。とりあえず、ヴォルケンリッターの皆には待っておくように伝えておいてくれ」
「ん、解ったわ」
 悠翔の言葉に応じてはやてがシグナム達にそのまま待っているようにと伝える。
 シグナムは少し抗議をしたそうに見えたけど、別に危ない橋を渡るわけじゃないから納得しているみたい。
 流石にはやてはシグナム達の扱いを良く解ってると思う。
「じゃあ、いこか」
「……ああ。そうだな」
 はやてに促され、悠翔は夏織さん達の方へ戻っていく。
 私も悠翔に寄り添うようについて行き、自然な動作で手を繋いだ。
 私の行動に気付いた悠翔もそっと私の手を握り返してくる。
 悠翔の行為が嬉しくて、私は悠翔に微笑みかけながら寄り添う。
 だから、はやて達が後ろでどうしていたのかは全く解らなかった。
 まさか……はやて達も同じようなことをしていただなんて――――。



































 From FIN  2009/2/19



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