はっきりとした意志を持って私の目を見つめる悠翔。
悠翔の目には全く、迷いが無い。
その瞳に映る光に私の胸はどきっ……と高鳴る。
「心配しなくても良い、事件のことが解決すれば協力出来るようになる」
「悠翔……」
悠翔の答えは私にとっては凄くうれしい。
所属はするつもりは無いみたいだけど……アリサやすずかと同じように協力者としていてくれる。
だったら、悠翔とは離れなくても良いのかな?
「……まだ、問題は多いけどな」
確かに悠翔の言うとおり、問題は多いと思う。
過去の事件に関係している人のこと――――。
悠翔自身の立場のこと――――。
管理局とは異なる信念を持つ剣士のこと――――。
そう言ったことがあるから色々と複雑な事情があるけれど。
「俺が自分で決めたことだ。どうなるかは解らないが――――覚悟はもう出来てる」
「……うん」
これから管理局と関わっていく上で悠翔には色んな問題があるけれど……。
きっと、悠翔だったら大丈夫――――だよ。
私も悠翔の力になるから――――。
魔法少女リリカルなのは
Sweet Lovers Forever
話が一段落して、俺ははやて達のところへ戻る。
ちらっとなのはさんの様子を見てみるとユーノとしっかりいちゃついている。
堂々とやられても困るが、あまり気にしない方が良いのだろうか。
だが、その様子をフェイトが羨ましそうな様子で見つめている気もする。
「フェイト?」
「ふぇ、悠翔?」
「もしかして、なのはさんとユーノが羨ましいのか?」
「え、えっと……」
「いや、良い。なんとなく解った」
「あぅ……」
ぼんっと音がしそうなほど頬が紅く染まるフェイト。
フェイトも俺にやって貰いたいらしい。
いや、俺もああやって出来たらと思うけど……フェイトとは別に恋人同士じゃないからな。
護りたい人だと宣言はしたが、正式に付き合うと言うことは宣言していない。
多分、フェイトもそれは解っていると思う。
だからこそ、積極的に俺に迫ってくるわりには後一歩で踏み止まっているような感じがする。
とは言っても俺がフェイトにどう答えたら良いのかなんて既に決まっている。
「……そのうちな」
「えっ? 本当?」
「……嘘は言わない」
「えへへ……♪」
俺の言葉を聞いて更に頬を紅く染めるフェイト。
凄く嬉しそうな様子だ。
俺も本心で言ってるから、素直にそう言った表情をされると此方も照れ臭い。
特にフェイトのような美少女が相手になると尚更だ。
しかし、今の俺達は付き合ってもいなければ、告白もしていない。
御互いにどう思っているかの言葉は交わしているが、付き合うとか好きだとかの言葉は伝えていないと思う。
そもそも、フェイトが俺に好意を持ってくれているのは解るが……どのくらいの好意かは測りかねる。
とりあえず、フェイトの行為はかなり積極的な感じだと思うが……?
それに対して俺の方も……とりあえず、多少なりの自覚はあるんだろうと思う。
俺が護りたい、大切な人だと思ったのはフェイトが初めてだ。
それも唯一人の女の子として。
ここまで解っているのにどうして告白しないのか自問する。
夏織さんも反対はしていないし、止めるような人もいない。
俺にもフェイトにも踏みださないでいる理由なんて殆どないと思う。
だったら、何が問題なのだろうか?
考えられることすれば、後はきっかけ……なのかもしれないな――――。
話が終わってはやて達のところへ戻ってみるとなのはとユーノが何時ものようにいちゃいちゃしてる。
何時でもそうやって貰っているなのはがなんとなく、羨ましい気がする。
私も悠翔にそうして貰いたいな――――と思って見つめていると悠翔から声をかけられる。
「フェイト?」
「ふぇ、悠翔?」
なのは達の様子をぽや〜っと見つめていたから悠翔の呼びかけに対して変な感じになってしまう。
悠翔に私が何を考えているのかが伝わっちゃったのかな?
「もしかして、なのはさんとユーノが羨ましいのか?」
「え、えっと……」
やっぱり……バレちゃってる。
悠翔は鈍いようで良く見てると思う。
隠してるつもりだったけど、悠翔にはバレバレだったみたいで。
私がどうやって答えたら良いのか考えていると……。
「いや、良い。なんとなく解った」
「あぅ……」
悠翔に私がどう思ってるかがはっきりと伝わってしまったみたいで。
ぼんっと音がしそうなほどの勢いで自分の頬が熱くなっていくのが解る。
悠翔にはっきりとバレていたなんて恥ずかしい……。
確かに悠翔からあんなことやこんなことをされたいと思うけど……。
別に私達は付き合っているってわけじゃなくて。
私も自分なりには悠翔にアプローチしてるけど、まだ何処かで踏み止まっているような感じ。
じゃあ……悠翔の方は?
「……そのうちな」
「えっ? 本当?」
そう考えていた矢先の悠翔の言葉。
そのうち……? じゃあ、良いの?
思わず聞き返してしまう私。
「……嘘は言わない」
帰ってきた返答は私にとっては凄くうれしい返答。
嘘は言わないってことはやってくれるってこと――――。
「えへへ……♪」
あまりに嬉しくてつい、笑みがこぼれてしまう。
でも、悠翔がそうやってくれるって言うのは……。
私達が付き合い始めてからだよね?
悠翔はそのうちって言ってくれたってことは……悠翔にもその気がある!?
今の悠翔の言葉を考え直してみるとそう言った意味も含まれていると思う。
凄く、凄く嬉しいんだけど……考えただけで頬が熱くなってしまう。
悠翔も私と同じように思ってくれてる。
私も悠翔のことが好きだってもう、解ってる。
だけど、私も悠翔も後一歩が踏み出せない。
やっぱり、きっかけが足りないのかな――――?
「お、漸く話も終わったんやな。どうやった、悠翔君?」
私達が戻ってきたことに気付いたはやてが近付いてくる。
「いや、反対はされなかったけど……色々と問題がな」
「ふ〜ん……そうなんや。エクスはどう思うん?」
そう言ってはやては彼、エクス=マクガーレンに話を振る。
……ってはやては彼を呼び捨てにしなかった?
「そうだな……悠翔の立場を考えると難しい問題だと思う。僕もあまり人のことは言えた立場じゃないんだけど」
「そうやな〜。エクスもちょっとした事情があるもんな〜」
「……僕の場合は悠翔ほど大した事情じゃないだろ」
少し呆れるようにはやてに返事をする彼。
なんか、随分とはやてと仲が良いような気がする。
「えっと……はやては彼と知り合いなの?」
「ん〜エクスとはちょっとな。イギリスで知り合ったんよ」
「イギリス……?」
イギリスで知り合ったって言われても……私にはいま一つピンと来ない。
はやてにイギリスの知り合いがいるって聞かれると……グレアム提督くらいしか思いつかない。
でも、彼は魔導師じゃないみたいだから……関連性は無さそうだけど?
「イギリス……それにマクガーレン……?」
今のイギリスと言う言葉を聞いて考え込み始める悠翔。
私には心当たりは無いけれど、悠翔には心当たりがある?
「もしかして、エクス。君はマクガーレン・セキュリティーサービスの関係者か?」
「……その通りだ。僕は確かに関係者だな」
「……成る程な。と言うことは……イギリスにはやてが行った際に護衛でも務めたか?」
「は〜……流石やなぁ、悠翔君。今の話だけで解るやなんて」
「……あくまで推察しただけだ」
いや、私も今の推察は凄いと思う。
私なんて全く、考えつかなかったのに……。
「いや、それだけで解るなら大したものだよ。普通なら解らないと思うけど」
「まぁ……一応、同業者だからな。多少は解る、それだけだ」
「……成る程、違い無い」
え〜っと、彼と悠翔が同業者?
セキュリティーサービスって言ってたから確かにそう言った仕事がメインだとは思うけど……。
悠翔の方は少し違うような気も。
彼の方は銃を遣っていたからSPって感じがするけれど……。
悠翔はどうなんだろう。
少しだけ違うような気も?
でも、アリサやすずかの護衛をしたことがあるって言ってたから……やっぱり、同業者で間違いないのかも。
だけど……何故、彼ははやてと関連性があるんだろう。
唯の護衛……それだけじゃないような気がするんだけど――――?
From FIN 2009/2/17
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