「えっと……アリサ?」
「ううん、なんでもない。やっぱり、フェイトは悠翔のことが好きなんだって思っただけよ」
「え、ええっ……!? そ、そんなことっ……」
 アリサの直球な言葉。
 あまりにもストレートすぎるもの言いに私は動揺を隠せない。

 ゆ、悠翔のことが好きって――――
 確かに悠翔のことは嫌いじゃないし、色々とお世話かけちゃったし……
 それに時々、見せる真剣な表情に見とれたりするけど……

「……違うの?」
「え、えっと……」
 私の気持ちを確認するかのように見つめるアリサ。

 違うかどうかって聞かれると……
 うん、きっと……違わない
 アリサの言うとおりだとはっきりと思う
 こういった気持ちはまだ、私にはあまり解らないけれど
 悠翔のことが気になっている私がいて……
 剣を振るっている悠翔の姿に目が離せない私がいて……
 今は知らないうちに目で……ううん、心で悠翔の姿を追ってしまう
 それも、私が彼に惹かれているから――――

「うん、アリサの言うとおりだよ。私は……」
 だから、私はアリサに本当のことを伝える。

 今はまだ、この気持ちがどんなものかだなんて解らない……
 この気持ちが本当に本物なのかも解らない……
 だけど……この気持ちにはきっと……偽りもないと思う
 私は……悠翔のことが――――
















 好き――――です






















魔法少女リリカルなのは
Sweet Lovers Forever
















「そう……だったら私からはもう、何も言わないわよ。ここからはフェイトの問題だものね」
「あ、うん。そう……だね」
 私が何を言いたいのか理解したアリサが納得したように頷く。
 自分の気持ちがはっきりとしてるのは良いけど……ここまでバレバレだとなんか恥ずかしいかも。
 でも、なのはも、はやても、すずかも私の気持ちは解ってるみたいで。
 それだけ私の気持ちが解りやすかったんだと思う。

 だったら、悠翔にはばれたりしていないのかな……?

 そう言った疑問が湧いてくる。
 悠翔のことを視線で追いかけるのは何時の間にか普通になりつつあるけど……。
 敏感な悠翔のことだからそのことにはきっと気付いているはず。
 でも……私が悠翔のことをどう思っているかまでは気付かれていないはず。
 悠翔も私のことを気にしてくれているのは感じるけど、悠翔が私をどう思っているかまでは解らない。
 少なくとも、嫌われては無いと思う。
 昨日もなんというかその……悠翔から手を繋いだりしてくれたし。
 普通は何も気にしていないのであればそういったことはしてくれないと思う。
 だから、少しくらいは脈があるんじゃないかな……って思う。
 でも、実際は悠翔が私のことをどう思っているかなんて解らないんだけど……。
















 フェイト達に混ざろうと思っていた俺だったが、何やら入り込みにくい話をしているフェイトとアリサ。
 ここはとりあえず、聞かないようにして、なのはさん達の側に入ることにする。
「悠翔君、ファリンさんとの話は終わったんか?」
 俺が来たことに気付いたはやてが俺に尋ねてくる。
「……ああ、大体はな。久しぶりに色々と話させて貰った」
「ふ〜ん……どんな話をしとったん?」
「……俺の最近のこととか腕の調子こととか、だな。ファリンにはまだ、それは伝えていなかったし」
「成る程な〜。ファリンさんとは全く連絡をとっとらんかったんやろ? すずかちゃんから聞いたで?」
「……ああ」
 俺がファリンと話をしている間にはやてはすずかからファリンと俺の関係を既に聞いていたらしい。
 まぁ、すずかの方も今の今まで連絡なんてとっていなかったんだが……。
 すずかは俺が海鳴に来た日にあっているから少し、事情が違う。
 それに、海鳴では何度か会っているから、連絡しなくても特に問題は無かった。
 ファリンの場合は海鳴に来たことも含めて伝えていなかったから、こうなってしまったのだが。
「まぁ……色々とあった分で、後でちょっと何かあると思うからその辺りは気にしないでくれ」
「ん、解ったわ。しかし……悠翔君とファリンさんがそういったことをしてるのは意外やったな〜」
「……それもすずかに聞いたのか?」
「うん、そうやで?」
 俺の疑問に即答するはやて。
 最早、すずかによって俺とファリンのことは色々とバラされてしまっているらしい。
 横にいるすずかとなのはさんに目を向けてみる。
 話の大元を知っているすずかは当然だが、なのはさんまで俺の方を見つめている。
 成る程、俺とファリンのことは全て伝え終わっているらしい。
 こうなることはなんとなく、解っていたことだが、こればかりはどうしようも無かった。
 とりあえず、俺は呆れて溜息をつく。
















「さて……と、悠翔もなのは達に混ざってるみたいだし、私達もそろそろ戻りましょ」
「あ、うん」
 私とアリサが話をしている間に悠翔もいつの間にかこっちに来ていたみたい。
 こっちに来た様子は無かったから私とアリサの会話のことは聞かれていないと思う。
 もし、聞かれていたら……どんな顔をして会えば良いのか解らない。
 私の気持ちははっきりと決まったけど……。
 今すぐと言うには早過ぎると思う。
 まだ、私にはそういったことを伝える勇気はないし……。
 きっと悠翔もそういったことは迷惑なんじゃないかって思う。
 今の悠翔は自分のことに精一杯な感じがするから……。
「……フェイト」
「あ、悠翔……」
 戻ってきた私の姿を認めた悠翔がぼそりと私の名前を呼ぶ。
 いきなり、呼ばれたから私の方も少しだけ間の抜けた感じの返事になってしまう。
「……いや、なんでもない」
 そう言って何か考えごとを始める悠翔。
 もしかしたら、私とアリサの話が気になったのかもしれない。
 と言うことは……悠翔は私とアリサの会話は聞いてない……?
 それは今の段階では良いことだと思う。
 もし、悠翔に尋ねられたりしたら、今の私には答える術はないのだから。
 悠翔のことが好きだと言ってもそれはまだ、形になったばかりで……。
 きっと、悠翔にもこのことは全く理解出来ないんじゃないかと思う。
 悠翔もこの気持ちは知らないと思うから……。
 それに、私もまだ、この気持ちがしっかりと出来上がったわけじゃない。
 答えを出せるようになるまでは時間がかかってしまう。
 だから、今はまだ、悠翔がこのことを聞かないでくれているのが少しだけありがたかった。
 今は無理でも何時か、必ず、悠翔に伝えたいと思うから……。
















 ――――私の気持ちを



































 From FIN  2008/9/20



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