「準備は終わったのか?」
「ええ、恭也さんもですか?」
「……ああ」
 俺が部屋を後にした後、恭也さんも準備が終わったのか声をかけてくる。
 そういえば、すずかの家でもあって忍さんの家でもある。
 恭也さんが一緒に行くのは間違いじゃない。
「小太刀や暗器の準備をしていたところを見ると、今回はファリンと遣るのか?」
「いえ、どうするかはまだ、解らないです。準備に関しては念のためですけど」
 恭也さんには俺が何故、準備をしていたのかはバレバレらしい。
 まぁ……恭也さんは俺とファリンが何をするかは知っているから当然だろう。
「恭也さんの方は?」
「俺の方も準備はしている。ノエルと遣るとは決めていないけどな」
「……そうですね」
 やはり、恭也さんも準備はしているらしい。
 俺がファリンと遣る可能性があるのであれば、恭也さんがノエルさんと遣る可能性は充分に考えられる。
 その辺りは実際に行ってみないと解らないのだが……。
 出来れば、なのはさん達にも見せておくべきだろうか?
 とりあえず、すずかと忍さんしかこのことに関しては知らないはずだが……。
 ……まぁ、なんにせよ行ってみてからだ、な。






















魔法少女リリカルなのは
Sweet Lovers Forever
















「ごめん、待たせちゃったね」
 暫くの間、恭也さんと話をしていたら、バタバタとなのはさんが俺達のところへやってくる。
「いや、そこまでは待ってない。だから、気にしなくても良い」
 申し訳なさそうにしているなのはさんに気にしないで良いと言っておく。
 別にそこまで待ったわけでもないから気にすることでもないし。
「それにしても、すずかの家に行くのは良いとは思うけど……どうするんだ?」
「あ、うん。後はフェイトちゃんとはやてちゃんと合流してからになるよ」
「アリサとは合流しないのか?」
「アリサちゃんは……私達が揃ってから迎えに来てくれるって。すずかちゃんの家からも忍さんが迎えに来てくれるって言ってるよ」
「……成る程」
 流石はバニングス家のお嬢様。
 普通に車でお出迎えとは恐れ入る。
 しかし、逆にそれが善からぬ輩に狙われる要因の一つなんだよな。
 とは言っても、アリサは有名だから1人で出歩くのはあまり良くない。
「どうしたの、悠翔君?」
「……いや、なんでもない」
 流石に物騒なことを考えていたとは言えず、とりあえず誤魔化しておく。
 この辺りのことでなのはさんに気をつかわせるわけにもいかないしな。
 寧ろ、知られない方が良いかもしれない。
「む……来たか」
「ええ……来ましたね」
「ふぇ?」
 少し考えごとをしていると外に二つほど気配が。
 フェイトとはやてで間違いない。
 なのはさんの方は魔力探知を遣っていないためか、フェイトとはやてには気付かないようだ。
 とりあえず、2人を出迎えることにしよう。
 なんにせよ、合流しないと駄目なんだしな。
















 外に出て、フェイトとはやてと合流する。
 皆が揃ったところで、すずか達に連絡を取ったところ、もうすぐ迎えに来るらしい。
 しかし、すずかの家で何をするのだろうか。
 女性陣が集まるということはなんとなく、お茶会なような気がするが……。
 俺と恭也さんはいったい、何をしていれば良いのだろうか。
 なんとなく、居辛いような気がしなくもない。
 とりあえず、ファリンと訓練でもしていれば良いのだろうか?
 多分、この調子だとファリンを相手に訓練するだけの時間と暇はありそうだし。
 と言うかファリンに負け越している分をそろそろなんとか挽回しておきたい。
「どうしたの、悠翔?」
「ああ、フェイトか。いや、実はなんとなく今日は居辛いなと思って」
「そうなの?」
「……ああ。後でユーノも来るかもしれないとも聞いているけど、それでも、な。なんか女性の方が主なメンバーみたいだから」
「あ、そうだよね……」
 俺の言葉に少し、申し訳なさそうに反応するフェイト。
 少し、落ち込んだような姿は可愛らしい。
「いや、フェイトは悪くない。それに……招待して貰えたのは嬉しいから」
「本当に?」
「ああ。本当だよ」
「良かった……」
 安堵したように一息つくフェイト。
 俺が嘘を言っていないことが解ったのだろう。
 確かに女性だらけと言うのは居辛いが、別に嫌というわけじゃない。
 多少、居辛いとしてもそれはあくまで女性だらけだという状態になるだけだから。
 それに……部外者と言っても良いはずの俺を態々、招いてくれたというのは嫌と言うよりは寧ろ、感謝の言葉しかない。
 だから、俺もそれに応えなくてはならない。
 それに……女性だらけだということは気を抜くわけにもいかない、しな。
















 とりあえず、嫌そうじゃない表情の悠翔を見て安堵する私。
 流れからして悠翔を無理やりに招待した感じになってしまったけど……。
 悠翔も満更、嫌というわけじゃないみたいで。
 でも……遠慮してるのは解るかも。
 確かに悠翔はまだ、私達と知り合いになったばかりだから遠慮するのは当然かもしれないけど……。
「ん、どうした。フェイト?」
「ううん、なんでもないよ?」
 私が悠翔を見つめていると気になることがあったのか悠翔が私の顔を覗き込んでくる。
「だったら、別に良い。なんにせよ、今日は……楽しませて貰うよ」
「うん……」
「さて……時間的にはそろそろ来るはずだな」
 そう言って時間を確認する悠翔。
 私も時計を確認してみると、確かに時間はもうすぐ約束していた時間。
 確か、アリサ達が送ってくれるって言っていたと思う。
 すずかの家はここからじゃ少し遠かったと思うし。
 そう言えば忍さんも迎えに来てくれるって言っていたと思う。
「……来たか」
「……ええ」
 まだ、音もしていないのに気配を察知する悠翔と恭也さん。
 何度かこの光景は見てきたけど……何度見てもこれは全く、理解出来ない。
 私達の場合は探知魔法を遣わなければこういったことは解らないから。
 それにしても……悠翔達の場合だと流石に人離れしすぎている気がする。
 気配を察知しているとは言ってもまだ、姿も何も見えないし……。
 まだ、なのはの家の周囲にも来ていないはず。
 でも、悠翔と恭也さんは普通に察知している。
 う〜ん……何度考えてもどうやっているのか解らない。
 やっぱり、魔力がないからこそ出来ることなのかも?
 私が色々と考えていると、悠翔達の言うとおり、迎えが来たみたい。

 ……うん
 やっぱり、悠翔と恭也さんは人間離れしてる



































 From FIN  2008/9/13



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