「まぁ……今回の場合だと接近戦に持ち込んだのが決め手だな」
「そうだね。私は悠翔君に接近戦をさせないように距離とかも調整していたんだけど……神速で一気に詰められちゃったし」
「いや……あの距離はギリギリだった。俺の場合は恭也さんみたいな芸当は出来ないからな。届かなかった距離に関しては奥義でカバーさせて貰った」
「えっと……あの突き技みたいなもののこと? 確か……お姉ちゃんや美沙斗さんが遣っていたものと同じに見えたんだけど」
「うん、そうだな。俺が遣ったのは美沙斗さん達が遣ったものと同じだ。まぁ……最後にちょっとした違いは入れたけど」
「ああ……最後に私に二つ目の小太刀を向けた時の動作だよね? あれも奥義なの?」
 俺が距離を詰めた技である射抜はなのはさんも見たことがあったらしい。
 美沙斗さんが海鳴に来た時にでも見る機会があったんだと思う。
 だが、俺が今回遣った、射抜・追に関しては見たことがないらしい。
「あれは、射抜の後に追撃を加える……まぁ、所謂、奥義の派生型だな」
「ふぇ〜そうなんだ〜。悠翔君ってそんなことまで出来るんだね?」
 俺の説明に何やら尊敬の眼差しを向けるなのはさん。
 いや、確かに射抜から追撃を加えて勝敗を決したというのはあるのだが……。
 俺自身はそこまで凄い真似をしたわけじゃない。
 寧ろ、俺の場合は恭也さん達に比べても大した真似は出来ない。
 なのはさんからそういった眼差しを向けられるのは少しだけ恥ずかしい気がした。






















魔法少女リリカルなのは
Sweet Lovers Forever
















「さて……と。そろそろなのはさんの家に戻った方が良いな。今日はすずかの家に行くんだろう?」
 とりあえず、恥かしい気持ちを誤魔化しながらなのはさんを促す。
「うん……あれ、もうこんな時間?」
「……ああ。思ったよりも夢中になってしまったみたいだ」
 時間を確認しておどろくなのはさん。
 まぁ……無理もない。
 予想以上に時間が経ってしまっていたからな。
 急いで帰らないと朝に間に合わなくなってしまう。
「このまま、立ち話するのもなんだから続きは戻りながら話そう」
「う、うん」
 なのはさんを伴って急ぎ足で裏山を後にする。
 決してなのはさんを置いていかないように、決して急ぎ過ぎないように歩いていく。
 なのはさんも俺のペースを確認しながら急ぎ足でついてくる。
「そういえば、悠翔君。悠翔君もやっぱり、私の魔法を見らずに対処してたけど……あれって……」
「多分、なのはさんの考えているとおりだ。魔法には見らずに察知している。寧ろ、違和感が強いから見なくても良いと言った方が良いな」
「ふぇ〜やっぱりそうなんだ〜……。お兄ちゃんも似たようなことを言ってたから間違いないと思ってたけど……」
「……でも、恭也さんみたいな芸当はまだまだ、出来ないな。俺の場合は斬り落したり、普通に避けるので精一杯だ」
「いや……それでも充分に凄いと思うんだけど……」
 俺の言葉に苦笑するなのはさん。
 俺としては大したことは出来ていないつもりだが……なのはさんから見ればそうでは無いらしい。
 生身で魔法に対処すると言っても、それは普通に拳銃とかを対処しているのとそこまでは変わらない。
 寧ろ、飛んでくるタイミングが解りやすい分だけ、魔法の方が対処がしやすいか。
 それでも、俺の場合は恭也さんや士郎さんそれに美由希さんや美沙斗さん……夏織さんには及ばない。
 だから俺が対処出来ると言っても別にそれは凄いことじゃないと言える。
 まぁ……なのはさん達にとっては凄いように見えているみたいだが……。
















「ただいま〜」
「ただいま、です」
 急いで裏山から高町家に戻った俺となのはさん。
 時間はどうにか、朝食には間に合ったらしい。
 恭也さんと士郎さんと桃子さんが朝食の準備を終えようとしているところだった。
「お帰り、2人とも。随分と遅かったな?」
「あ、お父さん。ちょっと……訓練で熱が入っちゃって」
「成る程、なのはと悠翔の様子から察するに……軽く一戦でもしてきたと言った感じだな?」
「うん。実はそうなの」
 士郎さんには俺となのはさんが遅くなった理由が既に解っていたらしい。
「それで、どうだったんだ? まぁ、朝から本気でやっているとは考えられないから模擬戦と言った感じなんだろうが」
「にゃはは……結果は私が負けちゃいました。悠翔君の神速と奥義に負けちゃった感じかなぁ……」
「ふむ……。悠翔、決め手はなんだったんだ?」
「……射抜・追です」
「そうか。決め手が神速と射抜・追だということは決着の方向性としては神速で距離を詰めた後に届かない分の距離を射抜で埋め、追撃で勝敗を決したという感じだな」
「そのとおり、です」
「ふぇ〜……お父さん、聞いただけで解るなんて」
「ま、ここは経験の差ってやつだな。そんなに凄いことじゃない」
 俺となのはさんの話から今日の模擬戦の結果を推測する士郎さん。
 士郎さんは俺が神速から射抜にもっていけることを知っている。
 それに、俺が射抜・追を遣えるのも。
 戦闘の流れだけでここまで理解出来るのは流石に経験の差だろうか。
 ここでも士郎さんの凄さを感じられる。
 話だけで、結果を予測するのは簡単なような印象があるが、実際は士郎さんのようにすぐに確信にまでもっていくのは難しい。
 実際は状況なんて見ていないのだから、その状況をイメージすることは難しい。
 しかし、士郎さんは普通に予測してしまっている。
 こう言った意味でもやはり、士郎さんは凄いとしか言いようがない。
















 朝食を終えて、俺となのはさんはすずかの家にいく準備をする。
 なのはさんは特に持っていくものは無いだろうが……俺の方は準備をしておかないといけない。
 小太刀――――問題なし。
 飛針――――問題なし。
 鋼糸――――一通り揃っているため、問題なし。
 後は……小刀くらいだな。
 これも問題はないため、俺は衣装に隠す。
 小太刀の差し方に関しては十字差しから二刀差しに戻しておく。
 今の俺だと二刀差しの方が良いだろうからな。
 しかし、十字差しもやはり、遣いやすい。
 今後の小太刀の扱いのことも考えれば……両方とも遣うことが多くなってくるだろう。
 恭也さんのように裏十字と言う選択肢をするのもありかもしれない。
 恭也さんの場合は一刀の小太刀だけを腰の後ろに回しておいて、一刀はそのまま持っているといったスタイルもとっている。
 まぁ……俺が恭也さんみたいにするかどうかはもう少し、思案してからだな。
 小太刀を二刀差しにし、暗器の類の準備を終えた俺は部屋を後にする。
「準備は終わったのか?」
「ええ、恭也さんもですか?」
「……ああ」
 俺が部屋を後にした後、恭也さんも準備が終わったのか声をかけてくる。
 そういえば、すずかの家でもあって忍さんの家でもある。
 恭也さんが一緒に行くのは間違いじゃない。
「小太刀や暗器の準備をしていたところを見ると、今回はファリンと遣るのか?」
「いえ、どうするかはまだ、解らないです。準備に関しては念のためですけど」
 恭也さんには俺が何故、準備をしていたのかはバレバレらしい。
 まぁ……恭也さんは俺とファリンが何をするかは知っているから当然だろう。
「恭也さんの方は?」
「俺の方も準備はしている。ノエルと遣るとは決めていないけどな」
「……そうですね」
 やはり、恭也さんも準備はしているらしい。
 俺がファリンと遣る可能性があるのであれば、恭也さんがノエルさんと遣る可能性は充分に考えられる。
 その辺りは実際に行ってみないと解らないのだが……。
 出来れば、なのはさん達にも見せておくべきだろうか?
 とりあえず、すずかと忍さんしかこのことに関しては知らないはずだが……。
 ……まぁ、なんにせよ行ってみてからだ、な。



































 From FIN  2008/9/11



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