悠翔は管理局に協力するつもりは無いって言ってるけど……。
 それでも、話を聞いてくれれば何か思うところもあるかもしれない。
「だが……いつ頃にするつもりだ? 俺はゴールデンウィークの期間中はこの海鳴にいるが……そこから先は解らないぞ?」
「ん〜問題はそこなんよ。悠翔君の都合の方が悪いみたいやからな〜」
「……まぁ、そうだな。とりあえず、俺の方も夏織さんが来ないと話にならない。今後がどうなるかは解らないしな」
 溜息をつきながら苦笑する悠翔。
「そうやな……って悠翔君。夏織さんって誰なん?」
「あ……それは私も気になった。悠翔、夏織さんって誰よ?」
 夏織さんの名前を聞いた、はやてとアリサが質問する。
「夏織さんはまぁ……俺の保護者みたいなものだよ」
 悠翔は一瞬、困った表情をしたけど、すぐに取り繕って質問に答える。
 確かに夏織さんは悠翔の保護者みたいなものだって言ってたけど……それは嘘じゃない。
 でも……恭也さんの母親だと言うことは言わないみたい。
 そう言えば、秘密にしてるみたいだから言わないのかな?
「ってことは……悠翔君が管理局の話を聞くかどうかはその夏織さん次第ってことになるんやな?」
「……ああ。そう思って構わないと思う」
 はやての問いかけに頷く悠翔。
 悠翔が管理局に対してどうするかは……夏織さん次第。
 と言うことは夏織さんが駄目だと言ったら駄目な可能性もあると言うことで。
 でも、こればっかりはどうなるか……解らない、かな?






















魔法少女リリカルなのは
Sweet Lovers Forever
















「しかし……俺が管理局と何らかの形で関わるとしても……夏織さんに魔法のことは話さないと駄目だな」
 軽く思案しながら俺は、はやてに夏織さんのことを伝える。
「ん〜そうやな〜」
「ただ、一つ問題がある」
「そうなん?」
「……ああ。夏織さんの立場の問題だ。夏織さんは黙っててくれると思うが……夏織さんの立場を考えれば、それは良いことだとは言えない」
「どういうことなん?」
「詳しくは言えないが……多分、こう言えばはやてには解るはずだ。夏織さんも組織の人間だと」
「あ〜そういうことなんか。それは確かに不味いわ」
「どういうことなの、はやて?」
 はやてに質問をするフェイト。
 中々、良い質問だと思う。
「あ〜つまりな。悠翔君の保護者である夏織さんは組織の人間ということやから……立場上、管理局のことを知ったらそれを組織に伝える義務があるんや」
「えっ……?」
「だから、夏織さんが黙ってくれるとしてもあまり良いことやないんよ。組織には伏せておくということになるんやから」
 フェイトに俺の言いたいことを代弁するはやて。
 今の短い会話だけでここまで推察して説明出来るのは凄い。
 流石とでも言うべきか。
「はやての言うとおりだ。だが……他に考えられることとしては、夏織さんは……魔法のことは既に聞いているかもしれない」
「そうなん……?」
「以前に美沙斗さんが何度か海鳴に来ていると思うんだが……その際に美沙斗さんが魔法を見ているとすればその時に話を聞いている可能性が高いというのが一つ」
「うん、それは確かにそうやな。美沙斗さんは私達も会ったことはあるし、もしかしたら桃子さん達から話を聞いとる可能性もあるやろうし」
「後は……恭也さんが夏織さんに伝えている可能性が高いということだ」
「恭也さんが……?」
「まぁ……恭也さんと夏織さんにはちょっとした事情があるからな。そのあたりの事情でな」
「成る程な〜……とは言ってもその事情は言えんのやろ?」
「いや……一応は言っても構わない。だが……俺からの口では伝えなにくい、な」
「そっか〜それなら仕方ないわ」
 とりあえずは、夏織さんのことは納得してくれたはやて。
 それに対し、アリサやすずかは首を傾げている。
 夏織さんのことは殆ど聞いていないからだろう。
 そして、なのはさんは複雑そうな表情を浮かべている。
 なのはさんの場合は夏織さんのことを知っているからだろう。
 恭也さんの母親にして……士郎さんの嘗ての妻。
 なのはさんから見れば随分と複雑な立場だと言える。
 フェイトの方は出会った初日に恭也さんの口から直接伝えている。
 だから特に疑問を持った様子もない。
 まぁ……どちらにしろ、魔法のことに関しては夏織さんが海鳴に来てからだな。
















「さて……と、はやて達の様子を見る限り……魔法のこと以外にも本題があるような気がするんだが……」
「お、流石は悠翔君やな。実はそうなんよ」
 魔法の話が一段落して、はやてに尋ねる悠翔。
 と言うかやっぱり、本題は別にあったんだ……。
「んで、その本題なんやけど……悠翔君も誘おうかと思ってな」
「成る程……それで、内容は?」
「え〜っと……私の家に一緒に来ない?」
 はやての代わりに本題を伝えるすずか。
 そう言えば、明日はすずかの家に行くって約束してたような気がする。
 別に、悠翔のことを優先したから忘れてたってことはないと思う……。
「すずかの家にか?」
「うん、どうかな?」
「そうだな……」
 少しだけ、考え込む悠翔。
 あまり悩むようなことでも無かったのかすぐに悠翔は返事をする。
「邪魔にならないんだったら、同伴させて貰うよ」
「うん、じゃあ……決まりだね。ファリンも悠翔君に会いたがってたから喜ぶよ」
「ファリンが?」
 とりあえずはすぐに決まった明日の予定だったけど、すずかからは意外な人の名前が。
 ファリンさん……ってすずかのメイドさんだよね?
 悠翔はファリンさんとも知り合いなんだ……。
「うん。実はファリンに悠翔君が海鳴に来てるって言ったら……是非……って」
「……ああ、成る程な。了解した。俺も……だしな」
 私達には聞こえないくらいのトーンで話す悠翔とすずか。
 なんて話してるのかがすごく気になってしまう。
「ねぇ、すずかちゃん。なんのことなの?」
 気になったのは同じだったのかなのはがすずかに尋ねる。
「う〜ん、それは明日になってからのお楽しみかな? まだ、やるって決まったわけじゃないし」
 けど、すずかから帰ってきたのは、はぐらかすような返答。
 まだ、やるって決まったわけじゃないって言ってるから何かをするのは間違いないと思うけど……。
 いったい……それって、なんなのかな?
 すごく……気になるかも……。
















 悠翔に用件を伝えるのが目的だったから今回はここでお開きと言うことに。
 アリサとすずかは用事があるから先に帰って行った。
 それで、今ここにいるのは私となのはとはやて。
 悠翔はとりあえず、落ち着いたのかのんびりとお茶を飲んでいる。
「そう言えば、悠翔君ってファリンさんとはどういった知り合いなん?」
「ファリンとか? ファリンはまぁ……普通に年上の友人みたいなものだよ」
「と言うことは……やっぱり、ファリンさんとはすずかちゃんとの関連で知り合ったんやな?」
「……ああ。そうなるな」
 悠翔とファリンさんがどういった知り合いなのかを尋ねるはやて。
 すずかとの関係で知り合ったのはやっぱり思ったとおりで。
 でも、なんとなくだけど普通の知り合いとは少し違うような気も。
「ファリンとはまぁ……すずかを一緒に護衛した仲だからな。普通の友人というのは少し違う気がするが」
 私の疑問が伝わったのか先に答えを言う悠翔。
「え……ファリンさんってすずかちゃんの護衛もしとるん?」
「ああ、してるな。まぁ……ノエルさんが忍さんの護衛を兼ねているのとそこまで変わらないんだが」
「ふ〜ん……そうなんや。なんか意外やな〜」
「そうか?」
「うん。なのはちゃんもフェイトちゃんもそう思うやろ?」
「そうだね。少し意外……かも」
「私もそう思う」
 はやてが意外に思うように私もなのはもファリンさんがすずかの護衛を兼ねているのは意外に思う。
 ノエルさんはしっかりしてるからなんとなくイメージがつくけど……。
 ファリンさんはどこかドジな部分が多いから……。
「確かに普段のファリンを見てるとそう思うだろうな。だが……そのことについては明日に解るかもしれないな」
「そうなん?」
「まぁ、まだ決まったわけじゃないから……なんとも言えないけどな」
 さっきもすずかがなのはに言ってたけど……このことに関しては明日になれば解るってこと?
 でも、ファリンさんのことを考えるといま一つ想像がつかない。
 う〜ん……これって失礼かも?



































 From FIN  2008/9/2



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