「ホンマやな。フェイトちゃんも悠翔君のことになるとこんなに大胆になれるやなんて」
「は、はやてまでっ……!」
 更にははやてにまでからかわれる始末。
 いや、なのはさんとはやての追及は解らなくもないが……それを本人の前でやるのはやめてほしい。
 流石にフェイトも困ってしまっている。
 しかし、フェイトが困っているにも関わらず、なのはさんとはやての追及は止まらない。
 挙句の果てにはアリサまで話に加わり始めた。
「悠翔君、止めないの?」
 とりあえず、苦笑するしか無い俺にすずかが尋ねてくる。
「……いや。流石にあの状態で止めるのは難しいだろ」
「そうだね」
 俺の返答に頷く、すずか。
 はっきり言ってこの状態になってしまったら俺には止められない。
 ……フェイトには申し訳ないけどな。
「あぅぅ……」
 暫く、見ているとフェイトは遂に顔を真っ赤にしたまま俯いてしまった。
 フェイトがそんなふうになるのは確かに解る。
 だが……その様子を見て、可愛いと思ってしまったのは不謹慎なのだろうか?






















魔法少女リリカルなのは
Sweet Lovers Forever
















 なのはとはやてとアリサに悠翔のことを言われてしまって私は頬が熱くなる。
 確かに学校をさぼってまで悠翔のところに行っちゃったけど……流石にここまで追求するのは酷いと思う。
 でも、なのは達には黙って来てるからこの追及も仕方がないわけで……。
 それに……悠翔も今回は助け舟を出してはくれないみたい。
 私はむっとしながら悠翔を見つめる。
 私の視線に気付いた悠翔は苦笑する。
 む〜……悠翔も薄情だよ……。





 結局、皆にからかわれている間に悠翔は助け舟を出してくれないままだった。
 とりあえず、悠翔も否定はしなかったから私だけ弄られていたみたいで。
 でも、悠翔は悪くないないから私は悠翔に対しては何も言えない。
 少しだけ溜息をついてみる。
 私に気付いた悠翔がまた、苦笑する。
 それも、少し申し訳なさそうな表情をしながら。
 悠翔の表情に気付いた私は困ったような笑顔を悠翔に向けてみる。
 悠翔も私に困った表情で答えてくれる。
 なんてことも無いことだけど……それが少しだけ嬉しかった。
















「で、悠翔君。フィリス先生から今日も見て貰ったんやろ? どないやった?」
 フェイトをからかい終えて、落ち着いたのかはやてが俺に尋ねてくる。
「どうかと聞かれると……まぁ……今日も酷い目にあったんだが」
「あ〜……もしかして、今日もマッサージを受けたんか?」
「……ああ」
「なるほどな……それはご愁傷様やな」
 何やら頷くはやて。
 まぁ……はやても昨日の診察にはついて来ていたからな。
 俺がどんな目にあっているのかは大体、解っている。
「まぁ、それは良いんやけど……」
「……良いのか」
「まぁ、悠翔君に聞いておきたいことがあったんよ。悠翔君は……なんで魔法を疎遠にしとるんや?」
 俺のツッコミを無視したはやてが俺に質問をする。
 魔法を疎遠にしている理由……。
 これは、はっきりと言ってしまえば簡単だ。
「そうだな。別に魔法という力を否定しているわけじゃない。俺が疎遠にしているのは……管理局という存在があるからだ」
「管理局が……?」
「……ああ。はっきりと言ってしまえばそれだけだ。後は……昨日言ったとおりだから、な」
「成る程……覚悟とかの問題……と言うことやな」
「……ああ。そのとおりだ」
 はやての言うとおり、覚悟の問題は大きい。
 管理局が信用出来ないというのはまぁ、その組織としての在り方に問題があると思うからだな。
「そっかぁ……悠翔君は管理局が信じられへんか」
「……そうだな。はっきりと言ってしまえば”管理局が”信じられない。君達が信用出来ないわけじゃない」
「ん、それは解るわ。けど……こうも真っ向から否定されると少しキツイな〜」
 はやては苦笑しながらも俺の意見を受け止めてくれる。
「いや……す、すまない」
 俺は謝るしか無かった。
「や、謝る必要は無いんやで? 悠翔君から見たら管理局はそう映ってるってことなんやし」
 しかし、はやては謝る必要は無いと言う。
 だが……それはそれで尚更、申し訳ない気がする。
 一方だけを聞いて沙汰するな……そんな言葉があるくらいだ。
 管理局のことを詳しく知らない俺がいきなり真っ向から否定するのはどうかと思う。
 今のままで否定するのはなのはさん達を否定するのと同じとも言えるのだから……。
















 悠翔とはやての会話を真剣な表情で聞く私達。
 管理局という存在があるから魔法を疎遠にするという悠翔の意見……。
 この意見は私達、管理局所属の魔導師にとっては衝撃的な意見でもあって……。
「そうやったら……悠翔君を管理局の人と会わせるのは難しいかもなぁ……」
「どういうことだ……?」
 はやてに真剣な表情で詰め寄る悠翔。
「あ、いや……私の上司が悠翔君を見たがってるんよ。でも……悠翔君は管理局は信じられんのやろ?」
「……そうだな。確かに管理局は信じられない。だが……一方を聞いて沙汰するなと言う言葉もある」
「え……?」
「だから……管理局の人に会う分には構わない。まぁ……今のところは管理局に協力するつもりは無いけどな」
「ん、それでもええよ。悠翔君が会ってくれるって言うだけでも大きいんやし」
 はやてと悠翔の会話の中で、悠翔からは意外な返答が。
 一方を聞いて沙汰するな……いったい、どういう意味なんだろ?
 私にはこの言葉の意味が解らなかった。
 でも、悠翔が管理局の話を聞いてくれると言うのは嬉しいかも。
 悠翔は管理局に協力するつもりは無いって言ってるけど……。
 それでも、話を聞いてくれれば何か思うところもあるかもしれない。
「だが……いつ頃にするつもりだ? 俺はゴールデンウィークの期間中はこの海鳴にいるが……そこから先は解らないぞ?」
「ん〜問題はそこなんよ。悠翔君の都合の方が悪いみたいやからな〜」
「……まぁ、そうだな。とりあえず、俺の方も夏織さんが来ないと話にならない。今後がどうなるかは解らないしな」
 溜息をつきながら苦笑する悠翔。
「そうやな……って悠翔君。夏織さんって誰なん?」
「あ……それは私も気になった。悠翔、夏織さんって誰よ?」
 夏織さんの名前を聞いた、はやてとアリサが質問する。
「夏織さんはまぁ……俺の保護者みたいなものだよ」
 悠翔は一瞬、困った表情をしたけど、すぐに取り繕って質問に答える。
 確かに夏織さんは悠翔の保護者みたいなものだって言ってたけど……それは嘘じゃない。
 でも……恭也さんの母親だと言うことは言わないみたい。
 そう言えば、秘密にしてるみたいだから言わないのかな?
「ってことは……悠翔君が管理局の話を聞くかどうかはその夏織さん次第ってことになるんやな?」
「……ああ。そう思って構わないと思う」
 はやての問いかけに頷く悠翔。
 悠翔が管理局に対してどうするかは……夏織さん次第。
 と言うことは夏織さんが駄目だと言ったら駄目な可能性もあると言うことで。
 でも、こればっかりはどうなるか……解らない、かな?



































 From FIN  2008/8/31



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