「そっかぁ……」
 私の言っていることに一応は納得した様子のなのは。
 恭也さんとタイプが違うということを聞いて、なのはにも何か思うところがあるのかもしれない。
 ユーノはユーノで考えごとをしている様子。
 私も色々と思うところはあるけど……。
 まだ、悠翔が実際に魔法を相手にどうやって動くのかは想像出来ない。
 恭也さんみたいな感じで動くのは解るけど……。
 けど、悠翔が見せるって言ったのは戦闘という形で。
 剣士にとっての戦闘はどんなものかは解らないけど……。
 戦闘のことを言っていた悠翔の目は本当に真剣だった。
 私達、魔導師に比べても覚悟が違う……そのことがあるのは間違いないと私は思う。

 けど、それにしても……
 悠翔……遅いな……まだ来ないのかな?






















魔法少女リリカルなのは
Sweet Lovers Forever
















「ごめん、遅くなった」
 私がぼんやりと考えていると悠翔が恭也さんと一緒に戻ってきた。
 恭也さんも来たということは今回はかなり本格的になるのかもしれない。

 そろそろはやて達も来ることだし……
 私達も今日のことはしっかりと考えないといけないのかも
 それだけ、今日のことは大きい気がする

「さて……と、移動するか。はやて達も来たみたいだし」
 悠翔がぽつりと呟いて玄関の方を見つめる。
 恭也さんも悠翔と同じように玄関の方を見つめている。
 悠翔と恭也さんが玄関を見て少しした後、チャイムが鳴る。

 え〜っと……何故、解るんですか?

 はっきりと言ってそうとしか言いようがない。
 今の私はバルディッシュが手元に無いから魔力の感知能力はかなり下がっているけど……。
 悠翔と恭也さんには全く魔力の感知能力なんて無いはず。
 でも、悠翔達は普通にそれを察知していて。
 昨日も含めると何度か見てきた光景だけど……やっぱり、何度見ても驚く。
 普通はあり得ないことだし……。
 魔導師にはこんな芸当はとても出来ない。
 騎士であるシグナムでもきっと……ここまでは出来ないんじゃないかと思う。
 悠翔達はいったい……どんな世界に身を置いているんだろ?
















「おはよう、はやて、アリサ、すずか。それから……おはようございます、忍さん。えっと……後の人達は?」
 はやて達が来たのを気配で察知した俺は恭也さんと一緒に出迎える。
 しかし、今日は昨日会ったメンバーだけじゃなかった。
 1人は凛とした印象の大人の女性。
 1人はおっとりとした印象の大人の女性。
 1人は俺よりも少しだけ年下に見える女の子。
 そして……二匹なのか?
 大きな紅い犬と蒼い犬……もとい狼。
 いや……違う、この感じは大人の男性と女性だな。
 多分、話に出ていた人達だと思う。
 後は……恭也さんに少し似た黒い印象の男性。

 ――――この感じは只者じゃないな

 黒い印象のある男性は一目でそんな感じがする。
 恐らくはこの男性も魔導師なのだろう。
 俺の勘が間違っていなければ彼は相当、強い。
 それも、今の俺では戦っても勝てるかどうかだろう。
 御神の技法を駆使すれば勝機はあるだろうが……。
 魔法のことを考えてみると正直な話、勝てるかは解らない。
 この男性はそれほどまでの力を持っている。
「まずは……私から名乗らせて貰おう」
 初めに凛とした印象の女性が名乗りでる。
「私は、ヴォルケンリッターが烈火の将、シグナムという。宜しく頼む」
 印象通りの名乗りをするシグナムという女性。
「御神の剣士、不破悠翔です。こちらこそ、宜しくお願いします」
 俺も名乗りの礼儀に応える。
「じゃあ、次はあたしだな。あたしは鉄槌の騎士、ヴィータ。はやてから話は聞いてるぜ、悠翔」
「ああ、よろしく頼む。ヴィータ」
 ヴィータという女性も印象通りの挨拶をする。
 俺も当然だが、それに応じる。
「え〜っと……私ですね。私は湖の騎士、シャマル。はやてちゃんがお世話になってます」
「いえ……寧ろ、色々と迷惑をかけたのは此方です」
 礼儀正しく挨拶をするシャマルという女性。
「……盾の守護獣、ザフィーラだ」
「……不破悠翔だ」
 続いて名乗るのは蒼い狼。
 まぁ……喋れるのは解っていたが……。
 こう見てみるとなんとなく不思議な気がする。
「あたしはフェイトの使い魔のアルフだよ。よろしく」
 そう思っていると紅い犬の方が名乗りでる。
 なるほど……フェイトの使い魔か。
「……クロノ=ハラオウンだ」
 そして、最後の1人……黒いイメージの男性が名乗りでる。
「……不破悠翔です」
 俺も咄嗟に名乗りを返す。
 感じるプレッシャーが半端じゃない。
「……昨日は妹が世話になった」
「いえ、此方こそフェイトにはお世話になりました」
 クロノと名乗った男性からなんとなく鋭い視線を感じる。
 多分、桃子さんからも話は伝わっていたんだろうが……。
 俺の詳細は伏せていたんだろう。
 その辺りの事情で怪しんでいるのかもしれない。
 まぁ……そのあたりは無理も無いのだが。
 けど……それは俺の方も同じだ。
 昨日の段階で彼の名前と時空管理局のことは聞いている。
 どんな組織かどうかも理解しているつもりだ。
 だが……俺には一つの疑念がある。
 なんとなくだが、俺にはこの時空管理局という組織を信じることが出来ない。
 寧ろ、信じられないと言うよりは好印象を持てないと言った方が正しいか。
 時空管理局の存在の在り方は香港国際警防隊と似てはいる。
 それに……その大きな力を平和利用しようとしているのも解る。
 しかし……俺が信じることが出来ないのは別にある。
 それが、杞憂だと良いんだが……。
















 はやてと一緒に来たシグナム達が悠翔に自己紹介をする。

 と言うか……クロノまで来るなんて……
 桃子さん達から話を聞いていたんだろうけど……
 クロノまで来たのは予想外かも
 しかも、なんかクロノは悠翔を警戒しているみたいだし……

「さて、自己紹介も終わったみたいだからな。早速、行くとするか」
 悠翔とクロノの空気を読み取ったのか、恭也さんがその場を纏める。
「すいません、ちょっと待ってくれませんか、恭也さん」
「どうした、クロノ?」
「いえ、此方から聞きたいことがあるのですが……」
「ふむ……」
「話によれば今回は”戦闘”という形で見せるということですが……」
「ああ」
「どういった意味で見せるつもりなのですか?」
 恭也さんに尋ねるクロノ。
 それに対し恭也さんは冷静に答える。
「それは全部、悠翔に任せてある。そうだな、悠翔?」
「……ええ。俺がなのはさん達にそう言いました」
「君がか……?」
 恭也さんに話を振られた悠翔が答える。
 確かに戦闘という形で見せると言ったのは悠翔だけど……。
 そのことにクロノが疑問を持つのは普通だと思う。
「はい。ですから、場所も道場では無く、恭也さんが訓練をしているという裏山で考えています。その方はより深く見せられると思いますから」
「なるほど……そういうことなら僕に異存は無い」
 悠翔の言い分にとりあえず納得したクロノ。
 戦闘という意味でも悠翔が言った裏山なら色々と出来るんだと思う。
 けど……あの場所は以前に私が恭也さんに模擬戦で負けた場所。

 ……と言うことは剣士である悠翔の方が有利……?
 でも、悠翔はあの裏山に関しては初めてだし……そんなことは無いのかな?
 けど……戦闘という意味で裏山を選んだなんて……どういう意味があるんだろ?



































 From FIN  2008/6/16



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