いつも、桃子さんにはお世話になっているけど……。
 本当にこうお世話になる日が続くと私も申し訳なく思う。
 桃子さんはその度に気にしていないって言ってくれる。
 それは、士郎さんも桃子さんと同じで。
 恭也さんと美由希さんも私が高町家でお世話になる時は快く迎えてくれて。
 なのはの家の人達は本当に良い人達だと思う。
 でも、昨日からの私は皆に迷惑をかけてばかりで。
 なのはにも悠翔にも桃子さんにも迷惑をかけちゃったと思う。

 昨日はなんか倒れちゃったし……
 悠翔にも迷惑をかけてばかりだし……
 なのは達には恥ずかしいことばかり聞かせちゃったし……
 正直、私がうっかりやさんなのは解ってるけど……
 これは、本当に恥ずかしい……
 うぅ〜……穴があったら、入りたいよ……






















魔法少女リリカルなのは
Sweet Lovers Forever
















「……あまり気にしなくても良い」
 私の様子に気付いた悠翔が私に優しく声をかける。
「俺がこういうのもなんだが……フェイトはもっと好意に甘えても良いと思う」
「悠翔……」
「折角だしな。甘えておいても良いんじゃないか?」
「あ、うん」
 私は悠翔に頷く。
 悠翔の言ってることはそのとおりかもしれないし。
「じゃあ、フェイトちゃんも良いみたいだし。朝ごはんにしましょう」
 私達の話を聞きながら朝ごはんの準備をしていた桃子さんが準備を終え、席につく。
「あ、はい」
 いただきますの挨拶をして、桃子さんの作った朝ごはんを食べさせて貰う。

 うん、やっぱり美味しい

 桃子さんの料理はやっぱり美味しくて。
 いつも桃子さんの料理を食べているなのは達が少しだけ羨ましいかも。
 悠翔も桃子さんの作ったごはんを美味しそうに食べている。
 表情はよく解らないけど……悠翔の食べっぷりを見ている限り美味しいと思っているはず。
「ん? どうした?」
「ううん、なんでもないよ」
 私が見つめていたのに気付いた悠翔が此方を見つめ返す。
「……そうか」
 一言だけ呟いて悠翔は食事に戻る。
 なんか黙々とごはんを食べている感じ。

 やっぱり……こういう感じを見てみると……
 悠翔って……ちょっとだけ……可愛いかも?
















 朝ごはんを食べ終わって、私達は今日の予定を相談する。
 はやて達は私が眠っている間に家の方に戻っていたみたい。
 ユーノはそのまま、なのはの家に泊まっていたみたいで。

 多分……なのはと色々としていたんじゃないかな?
 なんとなく、なのはの肌がつやつやしているような気がするし……

 私が余計なことを考えているのをよそに悠翔が話をきりだす。
「今日はどうするんだ? 俺はとりあえず……何も考えて無いが」
「う〜ん……そうだね。どうしようか?」
「僕はなのは達に任せるよ」
 悠翔とユーノは私達に予定を任せるつもりみたい。
 今日は確か、はやてもアリサもすずかも予定は決まっていなかったはず。
「じゃあ……とりあえず、はやて達に連絡しておいたら良いんじゃないかな?」
「あ……そうだね」
 私の提案になのはがはやて達にメールを送信する。

 は、速い……

 なのはのメールの送信スピードは手慣れているのか物凄く速く見える。
 そういえば、なのはって割とこういうのに強かったような気が?
 高町家の人達ってあまりこういうのは使いそうに無いし。
 私がぼんやりと考えているとなのはの携帯にメールの返信が来たみたい。
「とりあえず、はやてちゃん達もこっちに来るって」
「うん、解ったよ。悠翔とユーノも大丈夫?」
「僕は別に構わないよ」
「ああ、俺も別に構わない」
 私は悠翔とユーノの返答を確認する。
 悠翔は暫く、海鳴に滞在するのは解ってるから良いけど……。
 ユーノは仕事の方は大丈夫なのかな?
「……一応、僕もゴールデンウィークの間は休みとってあるんだよ。ずっと休んで無かったのもあるし」
 私の疑問に気付いたのかユーノが返答してくれる。
 とりあえずはユーノも仕事が無いみたいで。
 だったら、すずかの家に行くのは問題は無いのかな?
「じゃあ……みんなが来るまで準備してようよ。今日は……悠翔君に魔法を見せるってことで良いのかな?」
「ああ。よろしく頼む」
 なのはが悠翔に確認する。
 悠翔の方も異存は無いみたいで。
 とりあえず、今日は悠翔に魔法を見せるのがメインになるのかな?
 昨日、悠翔は魔導師とか騎士くらいならどうにか出来るって言ってたけど……本当に出来るのかな?
 なんかシグナムやヴィータが聞いたら凄く怒りそうなんだけど……。
















「さて……魔法を見せて貰うってことは俺の方からも”戦闘”っていうのはどういうものか見せないと駄目だな」
「え……あ、うん……」
 真剣な表情で”戦闘”という言葉を使う悠翔。
「じゃあ……とりあえず、俺も準備をしてくるからフェイト達は待っててくれ」
「う、うん。解ったよ」
 私達に待っているようにと良い、悠翔は準備をしに行く。
「えっと……悠翔君の準備ってやっぱりお兄ちゃん達と同じなのかな?」
 悠翔が出て行ったのを確認し、なのはが私に尋ねる。
「うん、同じと言えば同じだよ。私は昨日……少しだけ見せて貰ってから解るけど、悠翔の場合は恭也さん達と同じだけど……少しだけ違う」
「え? そうなの?」
「うん。悠翔は……恭也さんとはタイプが違う」
 悠翔は私達が模擬戦をして貰った恭也さんとは全くタイプが違う。
 同じ剣術を遣うのにここまで戦い方が違っているなんて私も驚いた部分が多い。
 恭也さんが私達との模擬戦で遣わなかった技も遣っていたし……。
 それに悠翔はどこか独特と言うのかは解らないけど……両方の小太刀を遣って戦おうとしない。
 腕の怪我のせいがあるのは間違いないんだけど……。
 それでも、二刀を持っているのに一刀の小太刀だけで戦うなんて変わってると思う。
 私もライオットザンバーで二刀流を遣っているけど……やっぱり二刀とも遣うし。
 けど、悠翔も普通に二刀で戦えるって言っていた。
 普通に戦えるのにあまり、二刀で戦わないのは悠翔のスタイルみたい。
 恭也さんや士郎さん……それに美由希さんとも違う戦い方。
 悠翔はそういう剣士だと思う。
 でも……一番、吃驚なのは……悠翔が剣士として一番弱いってことなんだよね……。
 悠翔が自分で言ってたけど……恭也さんにも士郎さんにも敵わないって。
 あれだけのことが出来る悠翔が一番弱いだなんて……本当に恭也さん達には驚かされてばかり。
 けど、悠翔も魔法のことを聞いた上で魔導師や騎士くらいならどうにか出来るって言ってる。
 それって……どういうことなのかは解らない。
 きっと、今日でそれが解るんだと思う。
 ……悠翔の言っている覚悟や考え方のことも。
 私達、魔導師とは全然、違うっていう悠翔達の考え方……それが、どれだけ違うのか。
 恭也さんが本気を出していないということも含めて解るんだと思う。
 それが……どんな感じなのかは解らないけど……。



































 From FIN  2008/6/13



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