「そっか〜……フェイトちゃんは悠翔君の凄いところを今日だけで一気に見せて貰ったんだね?」
「え……そうなのかな?」
「うん、そうだよ」
 すずかは笑顔で私に頷く。
 でも、すずかの言うとおりかも。
 今日だけで私は悠翔の凄いところをたくさん見せて貰ったんだと思う。

 私達と同い年で、あれだけの覚悟や考え方を持っていて……
 私じゃとても解らないような色々な経験をして……
 悠翔は剣士としても凄くて……
 こう考えると私は本当に凄いところを見せて貰ったんだ……
 あれ……?
 でも、私は……悠翔には駄目なところしか見せていないような……?
 あぅ……やっぱり、私ってうっかりやさん……






















魔法少女リリカルなのは
Sweet Lovers Forever
















「にしても……悠翔も悠翔よね。初対面のフェイトにそこまでやるなんて」
 なんかご立腹な感じのアリサ。
 アリサの言いたいことはなんとなく解る。
 私が抱きついたり、胸を触られたり……だとかのことを言っているんだと思う。
「あぅぅ……」
 そう考えるとまた、頬が熱くなってしまう。
 悠翔がわざとやったりして無いのは解ってるんだけど……。
「でも、フェイトちゃんも結構、大胆だよね〜? 普段のフェイトちゃんからは考えられないよ?」
「だ、だって……」
 私の心のうちを解っているのかすずかが笑顔で追い討ちをかける。
「でも……悠翔君はそういう人だから仕方が無いのかもね?」
「え……?」
 私はすずかの言葉に首を傾げる。
「悠翔君は自覚も無しに平気でそういうことをする人だし……」
「あぅ……」
「でも、悠翔君は優しくて良い人だよ」
「え……?」
「だって……悠翔君は目の前で困っている人がいると見逃せない人だから」
「……そうだよね」
 でも、すずかの言っていることは解る。
 悠翔は目の前で困っている人がいるときっと……見逃せない。
 私の時もそうだったけど……悠翔ってそういう人みたいだから。
 でも……悠翔は何故、そこまでやるんだろ……?
















「さて……と俺達の話はこのくらいだ。後は明日にでも悠翔の剣技を見せて貰おうか」
「はい、よろしくお願いします」
 一通り、恭也さんと士郎さんの話を聞き終える。
 色々と話を聞かせて貰ったのもあって参考になった。
 特に薙旋の話を聞かせて貰ったのは大きい。
 今までは、薙旋をあまり主軸にはしてなかったが……これからは薙旋も含めた戦術を考えてみようと思う。
 今の俺だと雷徹か神速と組み合わせるのが良いだろうな。
 神速を組み合わせるなら射抜・追に近いイメージになるだろうか。
 とにかく、色々な組み合わせが出来そうだ。
 後日には魔法と立ち合うことになるだろうし、薙旋の遣い方に意見を貰えたの大きい。
 後は、虎切も士郎さんに見て貰わないとな。
 今の段階でも形だけなら出来るだろうが、やはり虎切を最も得意としている士郎さんの指摘がほしい。
 俺の剣の戦い方では虎切はあまり向いていないかもしれないが、御神の奥義は全て覚えたい。
 出来れば、虎乱と花菱も覚えたいが……利き腕のことを考えると厳しいだろう。
 本当は虎切も利き腕のことを考えると少し厳しいかもしれないが。
「さて、そろそろ片付けもしないとな。なのは達もそろそろ話が終わってるんじゃないか?」
「……フェイトがさっきから質問攻めにあってるな。流石にそろそろ行ってやった方が良い」
「……そうですね」
 俺も流石にフェイトがどういう状態かは解る。
 あれだけ、質問攻めにあっていたら大変だろう。
「でも、なんであんなにフェイトに質問攻めをしてるんでしょうか? 特に目立ったことは無かったと思うのですが」
「……そうだな。そのあたりは俺にも解らん」
 俺も考えてみるが、フェイトが質問攻めにあっている理由がさっぱり解らない。
 恭也さんも全く解らないみたいだ。
「お前ら……やっぱり鈍いんだな」
 俺と恭也さんの話を聞いていた士郎さんが呆れたように呟く。

 俺と恭也さんが鈍い……?
 そんなことは無いと思うんだけど……
 俺も恭也さんも不破としての技法を身に付けている
 鈍いということは無いはずだ
 それとも……士郎さんにとっては俺も恭也さんもまだまだってことなのか?
















 延々と続く悠翔と出会った時のことに関する質問。
 誰も話を止めてくれないからどんどん話の方向はエスカレートしていくばかり。
 もう、恥ずかしすぎて私の頭はパンクしそうで。
「きゅう……」
「フェイトちゃん!?」
 もう、我慢が出来なかった私は意識を手放した。
 すずかの声が聞こえたけど、私にはよく解らなかった。
 ただ、倒れていくはずの私を誰かが受け止めてくれたのは解ったけど……。
















「……まったく、フェイトに何を聞いていたんだ」
「「……ごめんなさい」」
 俺は呆れながらなのはさん達に説教をする。
 まぁ……なのはさんはユーノといちゃついていただけみたいだから注意するのはアリサとすずかなのだが。
「忍さんと桃子さんも離れてみてるだけじゃなくて止めてあげてくださいよ」
「ごめんね〜悠翔君。私もどうやって悠翔君とフェイトちゃんが出会ったのか気になっちゃってね」
「……そうですか」
 忍さんは笑顔で言うが、俺は呆れるしかない。
 多分、桃子さんの言いたいことも忍さんが代弁したんだろう。
 桃子さんも忍さんと同じような様子だった。
 その様子に俺はとりあえず溜息をつく。
 まぁ……女性にとってこういう話題は面白いんだろう。
 俺には全くもって解らないが……。
「とりあえず、フェイトをこのままにしておくのは良くない。桃子さん、寝かせてあげられるところはありませんか?」
 俺はフェイトを抱きかかえながら桃子さんに尋ねる。
 フェイトを抱きかかえた方法は俗にいうお姫様抱っこと言うやつだったか?
 よく解らないが、なのはさん達が唖然としている。

 ……俺は別にやましいことはしてないぞ?

「え、ええ……ついて来て」
 桃子さんも俺の行動に少しだけ吃驚したのか言葉に詰まりながらも案内してくれる。
 案内された部屋にフェイトをそっと寝かせる。
 フェイトを寝かせた俺は翠屋に戻ってアリサ達を軽く睨む。
「あ、あはは……」
 俺の視線にアリサとすずかは苦笑いをする。
 流石に反省しているんだろう。
 フェイトがあんなになるまで問いかけをしたのだから。
 俺は一つ溜息をつき、片付け始めていた桃子さんを手伝い始める。
 手伝い始めた俺を見たアリサとすずかも片付けを手伝い始める。
 なのはさんとユーノは……漸く、落ち着いたのか2人で仲良く片付け始めた。
 放置しておくとまた、いちゃつきそうにも見える。
 まぁ……それが悪いとは言わないが。

 ……やれやれ、だな

 俺はもう一度、溜息をつく。
 まぁ……色々とあったが今日は楽しかった。
 フェイトにも出会えたし、なのはさんにもはやてにも……それに桃子さんにも出会えた。
 アリサとすずか……それに忍ぶさんにも再会出来たし、恭也さんと士郎さんともお話することが出来た。
 少し疲れたが……今日は本当に楽しかったと思う。
 この海鳴の地でフェイト達に出会えたこと……これは偶然なんかじゃないのかもしれない。
 俺は、なんとなくだがそう考える。
















 何はともあれ……こうして、俺の海鳴での初めての1日は幕を閉じた。



































 From FIN  2008/6/5



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