「実際にそれは見てみれば理解出来る。言っておくとすれば、恭也さんが戦ったのはあくまで模擬戦だ」
「あくまで模擬戦……?」
「実際に”戦闘”といった形でやってみれば俺が言っている意味が解る。後は、俺と戦っても少しは解るかもしれない」
「……解った。それがどういうのかは解らへんけど……見せて貰えるんやな?」
「ああ。少し君達に見せるのは気が引けるけど、な」
 そう言って悠翔は複雑そうな表情をする。

 悠翔の言った考え方と覚悟……それに戦い方……
 既に悠翔が私達とは全然、覚悟が違うっていうのは解っていたけど……
 それっていったい……どんなものなのかな?
 でも、悠翔は人を殺すことに躊躇はしないって……
 これは私達、魔導師ではとても信じられない
 それに……戦い方の違いっていうのもあまり解らない……
 悠翔のいう考え方や覚悟ってそこまで違うのかな……






















魔法少女リリカルなのは
Sweet Lovers Forever
















「さて……とこれ以上話を続けると重い感じになるからな。この話はここまでにしよう。別に構わないか?」
「解ったよ」
「うん」
「そうやな、これ以上は聞かんほうが良いやろうな」
「それもそうね。悠翔の話は興味があるけど……今回はあまり聞かないほうが良さそうね」
「そうだね。悠翔君もあまり言いたくないみたいだしね」
 それぞれに返事をする私達。
 反応はそれぞれ違うんだけど……1人だけ考え込んでいる人がいる。
「どうしたの……ユーノ君?」
 なのはが心配そうにユーノの顔を覗き込む。
「……ん。気にしないで、なのは。少し思うところがあっただけだから」
「なのはには……言えないこと?」
「そうだね……。今は……まだ言えないよ」
 ユーノはそう言ってなのはをやんわりと諭す。
「うん、解ったよ。ユーノ君」
「ごめんね、なのは」
 なのはもユーノの言葉に納得する。
 でも、ユーノは何かを知っているみたい。
 今のユーノの反応でそれはなんとなく解る。
 さっきまで悠翔と一緒に何かを話していたみたいだから……そのことなのかな?
「それに……そろそろ恭也さん達も来るみたいだし。俺達は少し待っていよう」
「え……?」
 悠翔がそう言って席に座る。

 というか……悠翔は恭也さん達が来るのが解るの……?

 悠翔が席に座った途端、恭也さんと忍さんが料理を持ってくる。

 本当に悠翔が言うとおり恭也さん達が来たし……
 なんで悠翔は恭也さん達が来るのが解ったんだろ?
















「む……はやてにアリサに……すずかも来ていたのか」
「あ、お兄ちゃん」
「あ、恭也さん、忍さんお邪魔してます〜」
 恭也さん達の姿を認めたはやてが笑顔で挨拶をする。
「「「お邪魔してます」」」
 ユーノとアリサとすずかも続けて挨拶をする。
 みんなの挨拶を確認した恭也さんはテーブルの上に料理を置いていく。
「はい、悠翔君も。遠慮はしなくても良いよ」
 忍さんも悠翔に話しかけながら料理を置いていく。
「あ、はい。ありがとうございます」
「悠翔君ったら、そんなに堅くならなくても良いのに。ね、恭也?」
「……ああ、そうだな。悠翔、遠慮する必要は無いぞ」
「ええ……そうですね」
 恭也さんと忍さんに言われて苦笑する悠翔。
 悠翔はあまり歓迎されたりすることには慣れてないなみたい。
 どうしたら良いのか解らないような表情をしている。
「まぁ、良い機会だ。悠翔も楽にしてくれて構わない。今まではここまでのんびりしている時間は少なかっただろうしな」
「解りました、恭也さん」
 悠翔の様子に気付いた恭也さんが悠翔に促す。
 悠翔も恭也さんの言葉で漸く楽にする。

 それにしても……のんびりしている時間は少なかったって……
 やっぱり、護衛のことや剣術の鍛練とかに時間を取られてたのかな……?

「それに、後で父さんを交えて話をしたいからな。今のうちになのは達とも話をしておくと良い」
「……そうですね」
 恭也さんの言ったことに頷く悠翔。
 士郎さんも交えてお話をするってことは……きっと護衛や剣術の話のこと。
 後は……悠翔が時々、気にしていた左腕のことだと思う。
 多分、その話は私達が聞いたりするのはいけないのかもしれない。
「もう暫くしたら父さん達も来るだろうから悠翔達はゆっくりとしててくれ。俺はまぁ、忍と一緒にいるから何かあったら声をかけてくれ」
「あ、はい。解りました。」
 恭也さんが忍さんと一緒に別のテーブルの席に座る。
 恭也さんと忍さんが2人で一緒にいる姿はとても絵になる気がする。
 2人とも大人で……恭也さんは格好良いし、忍さんはとても美人。
 それに……恭也さん達には私達の知らない絆みたいなものがあるような気がする。
 なのはとすずかは何かを知っているみたいだけど……詳しくは話してくれない。
 軽く話を聞いただけだけどなのはとすずかの話は普通では信じられないものだったと思う。
 すずかも忍さんも私達とは違うだなんて……。
 元々から、すずかの身体能力は私達を凌駕していたけど……そんな事情があったなんて話を聞く前は信じられなかった。
 けど、そんな事情があるからこそすずかも何処か大人な部分があるんだと思う。
 忍さんもそうなんじゃないかな……と思うけど……。
「恭也〜♪」
 私達の前でも堂々と恭也さんといちゃついている姿を見ていると……良く解らない。

 恭也さんもあんまり気にしてないみたいだし……
 そういえば……なのはとユーノも最近は人前でもわりと……

「ふぇ……?」

 はぁ……思ったとおり……

 私がそんなことを考えているとは気付かないなのはが不思議そうな目で私を見つめる。
 しかも、当然のようにユーノにぴったりと寄り添って。
 別に悪いとかは言わないけど……。
 その姿を見たアリサがイライラしている。
 とりあえず、なのはも……もう少し考えた方が良いんじゃないかな?
















「悠翔は……別になのは達の様子に驚かないんだね?」
 私は横で2人の空気を創り始めているなのはとユーノを見ても驚いていない悠翔を不思議に思って質問する。
「まぁ……なのはさん達のことはなんとなく解っていたからな。ユーノと話をしたのも少し関係している。後は……恭也さんや士郎さんで実感したからな」
 なにやら苦笑する悠翔。
 確かに恭也さんと士郎さんも割とそんな感じがする。
 でも、私はそれ以上に気になったことがあったからそれを悠翔に尋ねる。
「ユーノと?」
「ああ。ユーノの意志をちょっと確認してみたんだ。あまり褒められるような方法じゃ無いけど」
「そう……なんだ」
 何やら言葉を濁す悠翔。
 多分、そういうふうに言うってことは私にはきっと言いにくいことなんだと思う。
「なんにせよ、ユーノがどれだけなのはさんを大切にしているかは解ったからな。ああいう態度なのも解らなくは無いさ」
「そうだね」
 そう言って私達はお互いに微笑みあう。
 なのはとユーノの行為は2人の関係を考えれば当然のことだし。
 恭也さんと忍さんの方も同じことが言える。
 悠翔が何も言わなかったのはそれが解っているからなんだと思う。
 実際に悠翔はなのは達に様子をじっと見つめている。
 それも真剣な目の光を含んでいるみたい。
 でも、悠翔自身にはそんな人はいなくて……。
 悠翔は……なのは達や恭也さん達を見て何を思っているんだろ……。



































 From FIN  2008/5/27



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