「それにしても……アリサちゃんとすずかちゃんはどうしたんや?」
はやてが私に尋ねるけど……私にもその理由は解らない。
というより私は悠翔のことをストレートに言われてそれどころじゃない。
暫く、悠翔とアリサ達が見つめあって……。
やがて、アリサが代表して口を開く。
「な、なんでアンタがここにいるのよーーーーー!!!!!」
え……ええっ!? あ、アリサ!?
いったい……どうして?
それにすずかも悠翔を見ながら驚いた顔をしたまま。
アリサ達の様子を確認して悠翔の様子を見てみると……。
悠翔も少しだけ驚いた表情をしている。
いったい……アリサ達と悠翔に何があったんだろ?
魔法少女リリカルなのは
Sweet Lovers Forever
「いや……それは俺の台詞だ。月村すずかはまだしも……何故、君が……アリサ=バニングスがここにいるんだ?」
アリサの反応と同じように驚いた様子の悠翔が尋ねる。
というか……悠翔ってアリサとすずかとも知り合いだったんだ?
すずかの方は……忍さんと悠翔が知り合いだったことを見ると知っているのはまだ解るんだけど……アリサとも知り合い?
いったいどうして……?
「私もこの海鳴に住んでるからよ。アンタはそんなことも知らなかったの?」
「あ、ああ……知らなかった」
「ったく……アンタも相変わらずね。そんなんだから彼女の1人も出来ないのよ?」
「それは、言い過ぎだよ、アリサちゃん。ごめんね、悠翔君?」
「いや、慣れてるから構わない」
何やら親しそうに話す悠翔とアリサとすずか。
そんな3人の様子になのはとはやては唖然とするばかり。
私も親しそうにしているアリサとすずかに驚きを隠せない。
「え〜っと……悠翔君でええんかな?」
すぐに落ち着いたのかはやてが悠翔に話しかける。
「あ、ああ……君は?」
「八神はやてや。よろしくな」
「……不破悠翔だ。よろしく頼む」
はやてと悠翔が挨拶をかわす。
「んで、単刀直入に聞きたいんやけど……悠翔君はアリサちゃんとすずかちゃんと知り合いなん?」
「ああ、以前にちょっと……ね」
「ふ〜ん……そうなんや〜」
悠翔が言いにくそうな表情をしているのに気付いたはやては相槌をうつ。
そういえば悠翔は忍さん達とも知り合いだった。
と言うことは護衛かなにかの仕事で会っているのかもしれない。
それに、アリサもお嬢様だから……護衛とかも必要な時があるはず。
多分、悠翔とはその護衛の時に知り合っているのかも?
ということは私達にはあまり言えるような理由じゃないよね。
「悠翔君は以前に私達を助けてくれたんだよ?」
って……すずか……
普通に言っちゃったけど……大丈夫なのかな?
悠翔はなんか苦笑いしてるけど……
「そうね。私達がお父様達のパーティーに行った時かしら?」
「なるほど〜。ってことは悠翔君も恭也さんと同じなんかな?」
すずかとアリサの言ったことだけで悠翔とどうやって知り合ったのかを推理するはやて。
「ああ、そうだけど……。何故、今の会話だけで解ったんだ?」
はやてがアリサ達と知り合ったきっかけをすぐに気付いたことに悠翔は驚く。
……はやての場合は管理局での仕事の都合もあるから……すぐに解るんだと思うけど。
でも、今はまだ悠翔に私達のことを言うわけにはいかないから。
私は別の理由で悠翔に事情を伝える。
「……悠翔。みんなも恭也さん達の遣っている剣術のことは知っているから……」
「そういうことか……だったら、すぐに解っても可笑しくは無いってことか」
私が事情を説明すると悠翔は漸く納得する。
でも……悠翔とアリサとすずかが知り合いだったなんて……
アリサもすずかもどうして……隠していたんだろ?
あ……そうか……悠翔は護衛の仕事をしてるんだから……人には言えないんだよね?
「しかし、フェイトがバニングス嬢達と知り合いだったとはな……」
悠翔が驚き半分といった感じの表情で溜息をつく。
「ごめんね? 私も悠翔がアリサ達と知り合いだったなんて思いもしなくて」
「いや、別に構わないよ。俺もそのあたりのことを言わなかったのが悪いしな」
お互いにアリサ達とのことを言い忘れていたのを謝る私と悠翔。
「ほ〜……」
「ふ〜ん……」
何か横で私と悠翔の様子を意味深な感じで見つめるはやてとアリサ。
「な、何……?」
「フェイトちゃんと悠翔君って随分と仲が良いんやな〜?」
「えっ……そ、そんなことないよ?」
はやてまでなのはと同じように尋ねてくる。
「そんなことないって……明らかに悠翔と何かあったように見えるわよ?」
「あ、アリサまでっ……!?」
「悠翔とは知り合いじゃなかったんでしょ? その割には悠翔と仲が良いみたいだし……」
「え、えっと……」
アリサの追及に私は言葉につまる。
「それにフェイトは悠翔のことを意識してるように見えるわよ?」
「あぅ……」
というか悠翔がいるのにそんなこと言わないで……
悠翔にとってはあまり気にならないことかもしれないけど……
そんなことを正面から言われたら恥ずかしいよ……
「バニングス嬢もそのくらいにしないか。……フェイトが困っている」
私が頬を紅く染めて俯いているのを見た悠翔が助け舟をだしてくれる。
「解ってるわ。冗談に決まってるじゃない」
悠翔に言われてアリサが肩を竦めながら言う。
「それに……八神……はやてだったか。君もほどほどにな」
アリサだけじゃなくてはやてにも注意を促す悠翔。
「ん……すまんかったな、フェイトちゃん」
「うん……」
悠翔に促されて素直に私に謝ってくるはやて。
はやてがこの手の話題で素直に収まるなんて珍しい。
もしかして……悠翔がここにいるから……?
ということは……私達だけになると話の続きに?
なのはもすずかもこういう話題だとあまり助けてくれないし……
あぅ……どうしよう……
「そういえば今更なんだけど……その……バニングス嬢って呼びかたはなんとかならないかしら?」
悠翔を見ながらアリサが不意に口を開く。
「何故だ?」
悠翔にとってはいきなりの質問だったのか悠翔は疑問を浮かべながら言い返す。
「それに、君は俺にとっては護衛対象であり、雇い主……とは違うけどそんな感じみたいなものでもあっただろ?」
「だからって態々、そういう呼び方をする必要は無いわよ。それとも悠翔は私のことは友人と思っていないわけ?」
「い、いや……そんなわけじゃ無い……。君は俺にとっても友人だ」
「だったら、良いじゃない。今からは名前で呼んで貰うわよ」
「……解ったよ。アリサ……これで良いか?」
「ええ、それで良いわ」
なんかアリサに言いくるめられる悠翔。
「だったら、私の方も名前で呼んでくれると嬉しいな」
アリサに言いくるめられている様子の悠翔を見たすずかまで同じことを言いだす
「……解った。月村……じゃなくて、すずか」
「うん!」
悠翔に名前で呼んで貰って満足そうなすずか。
というか……アリサって悠翔の護衛対象だったんだ?
それに雇い主みたいなものって……悠翔はアリサの護衛を何度かやったことがあるのかな?
後、すずかの方はもしかしたら、恭也さんの仕事の時の手伝いで知り合った感じなのかもしれない
話によれば恭也さんは忍さんの護衛もしてるみたいだし……
「……フェイト?」
「ふぇ……?」
考えごとをしていた私に話しかけてくる悠翔。
私にとってはいきなりだったのもあって私は変な反応をしてしまう。
「いや、なんか考えごとをしてるみたいだったから。何か聞きたいことがあるなら遠慮しなくても良いぞ?」
「あ……うん」
アリサ達と話していたのに悠翔は私のことを気にかけてくれた。
なんかアリサ達とばかり話している悠翔に少しだけ、むっとしたけど悠翔は私のことも見ていたみたいで。
私は少しだけ嬉しくなる。
でも……どうして……私はむっとしてしまったのかな?
悠翔は何も悪くないのに……
From FIN 2008/5/12
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