「……そうか。だったら別に良い。今は、これ以上聞いたりはしない」
「……そうしてくれるとありがたいよ」
 俺がこれ以上聞かないということを確認したユーノは軽く溜息をつく。

 あまり言えないってことは……何か大きな秘密があるってことか……
 しかし、フェイトやなのはさんに何か秘密があるとしても俺はどうこうする気は全く無い
 寧ろ、何か秘密があるならフェイト達を護らないといけない
 だが……秘密があるとしても俺にはその秘密のことは解らない
 HGSなのか、霊力なのか……それとも全く異なる力を持っているのか
 たとえ、そんな力があったとしても俺はフェイト達を恐れたりはしない
 特別な力がある女の子かもしれないけど、フェイトは今日、海鳴に来て初めて会った女の子であり、初対面の俺に色々としてくれた
 それに……フェイトは俺の剣技を怖がらずに見てくれたし、俺が何者でも良いと言ってくれた
 だからこそ俺は……彼女達が何者だとしても否定することは出来無い
 俺だって……普通というにはあまりにも違うから






















魔法少女リリカルなのは
Sweet Lovers Forever
















「それで、僕に聞きたいことはそれだけかい?」
 ユーノが俺に確認するかのように問いかける。
「いや……今、言ったとおり俺にはもう聞くことは無い。ユーノの方は俺に何か聞きたいことはあるか?」
 自分で言っているとおり俺は今の段階でユーノに話を聞くことは無い。
 だが、ユーノの方には何か疑問に思ったことがあるかもしれない。
 特になのはさんを”従姉さん”と呼んだことに関しては多少なりの疑問を感じているはずだ。
「そうだね……気になるといえば悠翔が何者かだね。なのはとは従姉弟同士だって言ってたけど……どういう繋がりかは解らない」
 ユーノの質問は予想どおりだな……。
 確かに従姉弟同士とは言ったけど、どういう繋がりかまでは伝えていない。
 一応、フェイトには伝えているけどユーノとなのはさんにはあえて言わなかった。
 従姉弟とは言っても一応は、なのはさんよりも俺の方が生まれは早かったような気もするしな?
 まぁ……流石にそこまでの意味は含んでいないと思うけど。
「なるほど、確かに俺となのはさんの繋がりは解らないだろうな。俺の場合はなのはさんよりも恭也さんや士郎さんとの繋がりだからな」
「恭也さんの……?」
「……ああ。恭也さん達のことを知っているなら俺がどういう繋がりかはなんとなく解ると思う」
「なるほど……」
 ユーノは俺からの話を聞いて考え込むような仕草をする。
(ユーノは、随分と頭が良さそうだ。多分、ここまで言えば解るだろう)
 少し考え込むような仕草をした後、やがてユーノが口を開く。
「君も剣士……なんだね」
 やはり、ユーノは俺の言いたいことを理解していた。
 ユーノの言葉に俺も肯定の意を示す。
「……ああ」
「だったら……悠翔も僕達のことは近いうちに聞くかもしれないね」
 今度は俺がユーノの言葉に表情を動かす番だった。
 確かに、フェイト達から感じる力は普通とは違う。
 だが、俺にはその力がどういうものかは全く解らなかった。
 とりあえず、俺はHGSのようなものだと結論をだしているのだが。
 まぁ……フェイトはHGSを知らなかったし……多分、違うと思うけどな。
















「悠翔、もう一つだけ君に聞きたいことがあるんだけど」
 俺の表情が僅かに動いたのを確認したユーノが問いかける。
「別に構わない、何が聞きたいんだ?」
 俺はそのままユーノの問いかけに応じる。
「うん、さっきから悠翔の話を聞いていると……僕達から力を感じる……っていってたけど……解るものなのかい?」
「……そのことか」
 俺はユーノの質問に少しだけ思案する。
 俺がフェイト達から感じた力については口では説明しにくい。
 剣士として戦いの場に身を置いているからこそ感じた気配とでもいうべきか。
「とりあえず、普通にそういう力とかを感じる……というのは普通には無理だな」
 俺の言葉にユーノは少しだけ怪訝そうな表情をする。
 しかし、俺はユーノの反応に構わず話を続ける。
「ただ、俺は剣士として戦いの場に身を置いている。だからこそ、そういう力とか気配が解ると言える。当然、恭也さんや士郎さんも解るだろうな」
 正直な話、フェイト達から感じた力については気配とかで感じているものだから説明をするものじゃない。
 と言うか説明するという方が難しい。
「なるほど……そういうことなんだ」
 一応は、俺の言っていることを理解してくれたのかユーノが頷く。
「……すまない。上手くは説明は出来ないんだ。なんというか……俺達は少しだけ特殊と言えるから」
「解ったよ。なら、僕もこれ以上は聞かないことにするよ」
 俺の言った言葉に何かを感じたのかユーノは話を区切る。
「……助かるよ」
 俺もこれ以上は言いたくないのもあり、ユーノがこれ以上は聞かないと言ってくれて助かった。
 いくら、恭也さんから話がいっているとはいえ、剣士に関する話はあまり他の人に教えるわけにもいかない。
 まぁ……俺もユーノ達の力の秘密を追及しなかったからどっちもどっちなんだけどな。
















「はぁ……悠翔とユーノは何の話をしてるんだろ」
 私は翠屋でなのはと話をしながら溜息をつく。
「うん、そうだね。ユーノ君も悠翔君と何の話をしてるのかなぁ?」
 なのはが私の漏らした言葉に頷く。
「あ、そういえばフェイトちゃん」
「何、なのは?」
「フェイトちゃんは随分、悠翔君と仲が良いみたいだけど……」
「え……そ、そんなことないよ?」
 私は慌てて取り繕う。
「む〜……フェイトちゃんったら何か隠してる〜」
「え、いや……その……」
 なのはの追及に私は戸惑う。

 だって……悠翔は色々とあるみたいだから……
 私から何かを言うわけにはいかないし……

「もしかして……フェイトちゃん……。悠翔君のことを好きになっちゃった?」
 私が考えながら俯いているとなのはがとんでもないことを言いだした。
「え……? な、何を言ってるの?」

 私が悠翔のことを好き……?
 確かに悠翔には危ないところを助けて貰ったし……士郎さんとの立ち合い見せて貰った
 それに悠翔がどういうことをしていうのかも聞かせて貰った
 悠翔は私と同い年なのに護衛の仕事をしていて、強い覚悟も持っている人……
 そんな悠翔のことが気にならないと聞かれると嘘になる……
 でも……悠翔が好き……と聞かれると解らない
 私は悠翔のことをどう思ってるんだろ……?



































 From FIN  2008/5/5



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