「……ああ。多分、なのは従姉さんの考えているとおりだと思う」
「あっ……そうなの? だったら私が知らなかったも無理はないのかな?」
「ああ、そうだな。まぁ……俺の方はなのは従姉さんのことは士郎さんから聞いていたんだけど」
「そっかぁ……そうなんだ〜」
 なのはは少しだけ照れくさそうにしながら悠翔に微笑む。

 もしかして……士郎さんが悠翔になのはのことを伝えていたのが嬉しかったのかな?
 なのはにとって悠翔は今まで会ったことの無い従姉弟だったんだし……
 でも、会ったことが無いはずの人が自分のことを知ってくれているっていうのは嬉しいよね?
 少しでも興味を持ってくれてるってことだし……
 でも……なのはの方はなんで悠翔のことを聞いてなかったのかな?
 なのはは一臣さんのことも知らなかったみたいだし……
 もしかしたら……なのはは夏織さんのことも知らないのかもしれない
 それだけ悠翔はなのはにとって複雑な立場にあるのかも……?






















魔法少女リリカルなのは
Sweet Lovers Forever
















「そう言えば……どうして悠翔君は私のことを従姉さんって呼ぶの? なんとなくだけど……私とは同じくらいだよね?」
 なのはが悠翔に尋ねる。

 あ……それは私も思ってた
 恭也さんや美由希さんのことを従兄さんとか従姉さんって呼ぶのは違和感が無いけど……
 なんとなく……なのはのことをそう呼ぶのは違和感があると思う

「そうだけど……なのは従姉さんと呼ぶことに何か問題でもあるのか?」

 やっぱり……悠翔は違和感があることに気付いていないみたい
 悠翔は真面目だからそう呼ぶんだろうけど……
 流石にちょっとね……

「ううん、別に悪いわけじゃないよ。ただ、普通に名前で呼んでほしいだけで……」

 悠翔にそう呼ばれるより名前で呼んでっていうのはなのはらしいね
 名前で呼んでほしいっていうのは私も数年前に言われたことだし

「……解ったよ。なのはさん。……今はこれで良いかな?」
「うんっ!」
 悠翔が頷いたのを見たなのはが嬉しそうに微笑む。

 とは言っても悠翔がなのはを〜さん付けで呼ぶのは変わって無いみたいだけど……
 でも、この方が違和感が無いよね
 そういえば……私の時はいきなり名前で呼んでくれたけど……
 どうしてなのかな……?
 理由は悠翔に聞いてもきっと答えてくれないとは思うけど……
 少しだけ気になるよ……
















「それじゃ……翠屋に行こうよ。準備も大分、終わってると思うし」
 桃子さんから既に今日のことの連絡を聞いていたのかなのはが提案する。
「うん、そうだね」
 なのはの提案に頷きつつ私は悠翔を見つめる。
 悠翔はユーノの方を見つめている。
「悠翔……?」
 ユーノを見つめている悠翔が気になって私は悠翔に尋ねる。
「いや、なんでも無い。フェイト達は先に行っててくれ」
「え……?」
 悠翔からの予想もしなかった言葉に私は驚く。
「……ユーノに少し話があるんだ」
「僕に……?」
 流石にユーノも驚いたのか悠翔に確認をするように尋ねる。
「……ああ。だから、フェイト達は先に翠屋で待っててくれ」
「……解ったよ、悠翔」
 私は悠翔に頷いてからなのはに翠屋に行くように促す。
 促されたなのはは心配そうにユーノを見ながら頷く。
 そんな様子を見たユーノがなのはに大丈夫、と言う。
「ユーノ君……」
 なのははユーノをもう一度だけ一瞥して私についてくる。

 それにしても……悠翔はユーノとなんのお話をするのかな?
 悠翔が初対面のユーノとどんなお話をするのかは気になるけど……
 でも、人払いをするってことはあまり聞かれたくないお話をするんだろうし……
 もしかしたら……魔法のことでも聞くのかな……?
 悠翔はなんとなくで私を普通の人じゃないと理解していたし……
 それになのはのことも普通とは違うことに気付いていたみたい……
 けど……私には悠翔が何を考えてユーノを引きとめたのかは解らなくて
 うぅ〜……気になるよ……
















「さて……フェイトとなのはさんには先に行って貰ったけど……」
 俺はフェイト達が翠屋に入ったのを確認し、ユーノに話しかける。
「うん、僕に話があるんだよね?」
「……ああ、その通りだ。フェイト達にこのことを聞くのは気が引けるけどユーノならまだ聞きやすいと思った」
「なるほど……それで、何が聞きたいんだい?」
 ユーノは俺が何を聞きたいのかをなんとなく解っているらしく落ち着いた表情で尋ねる。
「ああ……とりあえず、君達から感じたものを知りたい」
 ユーノが落ち着いているのを認めた俺はフェイト達から感じたことを尋ねる。
「どういうことだい?」
 ユーノが俺に尋ね返す。
 多分、俺が何を感じたのかを測りかねているんだろう。
 だが、俺はユーノに構うこと無く言葉を続ける。
「フェイトもなのはさんも君もどこか普通とは違う。それに……フェイト達だけじゃない。ユーノからも……かなりの力を感じる……もしかしたら、フェイト達よりも護るために遣える力は上かもしれない」
 ユーノは俺がなのはさん達よりも力が上かもしれないという言葉に否定した様子をみせる。
 しかし、俺がなのはさんの名前を出したことに関してはユーノの表情が僅かに動く。
「それに……なのはさんからはなんとなくだけど揺らぎみたいなものを感じる。なのはさんは以前に大きな怪我をしているな?」
「っ……そこまで!?」
 俺がそこまで言うとユーノもさすがに驚いた表情をする。
 流石に俺も確証があって言ったわけじゃないけど……。

 なるほど……俺が感じたのはあながち間違いじゃ無いってこと、か

 俺はユーノの表情を見てそれを確信する。
「……俺が聞きたいのはそのことだ」
 ユーノは俺の質問に対して暫く黙っていたが……やがて口を開いた。
「悠翔が感じたのが何かまでは言えないけど……君の言うとおりだよ。けど、僕からは悠翔に伝えることは出来ない」
 はっきりとした声でユーノが俺に返答を返す。
 その表情は真剣だった。
 だったら……俺がこれ以上聞くのは失礼だな……。
「……そうか。だったら別に良い。今は、これ以上聞いたりはしない」
「……そうしてくれるとありがたいよ」
 俺がこれ以上聞かないということを確認したユーノは軽く溜息をつく。

 あまり言えないってことは……何か大きな秘密があるってことか……
 しかし、フェイトやなのはさんに何か秘密があるとしても俺はどうこうする気は全く無い
 寧ろ、何か秘密があるならフェイト達を護らないといけない
 だが……秘密があるとしても俺にはその秘密のことは解らない
 HGSなのか、霊力なのか……それとも全く異なる力を持っているのか
 たとえ、そんな力があったとしても俺はフェイト達を恐れたりはしない
 特別な力がある女の子かもしれないけど、フェイトは今日、海鳴に来て初めて会った女の子であり、初対面の俺に色々としてくれた
 それに……フェイトは俺の剣技を怖がらずに見てくれたし、俺が何者でも良いと言ってくれた
 だからこそ俺は……彼女達が何者だとしても否定することは出来無い
 俺だって……普通というにはあまりにも違うから



































 From FIN  2008/5/2



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