「さて……話も纏まったことだし……悠翔の最近の状況でも聞こうか。俺と会ったのは昨年の事件よりも前だったからな」
「そうですね……。昨年の事件の時は夏織さんと行動していましたからね」
「なるほど……あの人と、か……」
 恭也さんが何かを考えるような表情をする。

 あれ……そういえば士郎さんも夏織さんという名前で何か反応していたような……?
 そして、恭也さんもその夏織さんとは何かあるみたい
 まず、恭也さんと士郎さんの知り合いなのは間違いないと思う
 特に恭也さんと士郎さんは夏織さんのことをかなり気にしているから……
 ただの知り合いとは違うんだと思う
 それに……悠翔とも親しいみたいだけど……?
 恭也さんと士郎さんがこんなに気にしているなんて……
 夏織さんって本当に誰なのかな?






















魔法少女リリカルなのは
Sweet Lovers Forever
















「あの……夏織さんって……?」
 私は恭也さんの表情が気になって質問する。
「ああ、夏織さんは俺の保護者みたいなものかな。それと……恭也さんの……」
 私の質問に悠翔が恭也さんにかわって答えようとする。
 けど、恭也さんが悠翔が答える前に私の疑問に答える。
「夏織さん……いや、夏織母さんは俺の……実の母親だ」
「え……?」
 恭也さんの言ったことに私は驚きを隠せない。

 夏織さんは恭也さんの実の……母親……?
 それじゃあ……桃子さんは違うの……?
 それに……恭也さんの母親だっていうのなら……
 夏織さんは士郎さんの……?
 でも、なのはの母親は桃子さんだし……
 あぅ……解らないよ……

「俺のことで悩んでくれているのはありがたいが……フェイトが考えてるよりは難しくは無いぞ?」
「そうなんですか……?」
「……ああ。以前は俺も夏織母さんに対しては色々と思うことがあったが……今はそうでも無いしな」
 私が疑問を持っているのを余所に恭也さんはさらりとなんでも無いことのように言う。

 そうは言っても……普通は気になるよね?
 でも……このあたりのことは私が聞いちゃいけないことだと思う

「だからフェイトもあまり気にしなくても良い。それに……夏織母さんにはそのうち会うかもしれないしな」
「え……?」
「悠翔、夏織母さんも海鳴に来るんだろう?」
「はい、夏織さんも来るって言ってました。一応は仕事も入るかもしれないって言ってましたけど」

 ええっ……!?
 夏織さんも海鳴に来るって……?
 だったら桃子さんとも会う可能性が……?
 桃子さんは夏織さんと会っても大丈夫なのかな?
 それに……仕事って……?
 話を聞く感じだと夏織さんも何か特別なことをしているのかな?
 悠翔も知ってるみたいだけど……

「……そうか。夏織母さんとはまた一緒に仕事をしておきたいからな。もし、仕事が入るのであれば俺も手伝わせて貰おう」
「良いんですか? きっと夏織さんも喜びますよ。まぁ……俺も場合によっては手伝うことになりますけど……」
 なんか私にはよく解らない話をする悠翔と恭也さん。

 聞いている分には興味が湧く話の内容だけど……
 なんか凄く危ない仕事のような気がする
 もしかして……護衛とかの仕事なのかも?
















 悠翔と恭也さんが剣術の話をしているのを私は横で聞いている。
 解らないことばかりだけど……話の内容は凄く気になることばかり。
 私がそう考えながら話を聞いていると恭也さんが話をきりだす。
「そう言えば悠翔、聞きたいことがあるんだが……」
「なんですか?」
「悠翔は夏織母さんと美沙斗さんから御神流の免許皆伝を貰っていると聞いたが……どこまで奥義が遣えるんだ?」

 奥義……?
 え〜っと……恭也さん達が使っている剣術の技のことだよね?
 確か、私を模擬戦で倒した時も奥義を遣ったって恭也さんは言ってたけど……

「俺が遣える奥義は……射抜、雷徹、薙旋でしょうか」
「なるほど……薙旋は夏織母さん、射抜は美沙斗さんからで……雷徹は一臣さんが遺していたものか?」
「ええ、そうです。一応、今言った奥義以外でだと花菱もある程度は教えてもらいましたが……正直、遣える段階までいってません。まだ遣うにはまだ足りない部分があると思います」

 さっきから色々と解らない名前が言われてるけど……
 この難しそうな名前が奥義なのかな?
 後、悠翔はその奥義をその中の3つ遣えるって言ってるのかな?
 それにしても……悠翔は今の時点でもかなり強いと思うんだけど……
 これで恭也さんや士郎さんに鍛えて貰ったらどうなるのかな?
 本当に私達、魔導師も凌駕してしまうかも……?

「……ふむ。折角、ここに来たんだ。俺で良ければ近いうちに奥義を教えよう」
「本当ですか?」
「ああ。それに父さんからも幾つか教わると良い。悠翔ならきっと残りの奥義も遣えるようになる」
「……ありがとうございます」
 恭也さんと士郎さんに師事出来ると聞いて悠翔はとても嬉しそう。
 私も色々と教わってた頃はそうだったかな……。
 色々と覚えていくのって難しかったけど楽しかったし。
 悠翔の場合は私とは全然、形が違うけど……やっぱり嬉しいんだと思う。
 だって……悠翔の目がそう言ってる。
 恭也さんと士郎さんに剣を教わること……。
 悠翔は海鳴に来た時に何処かでそれを期待してたんだと思うから。
















 そういえば……悠翔は護るために力を身に付けたって言ってた……
 恭也さんと士郎さんに教われば今以上に悠翔は強くなるんだと思う
 でも……悠翔から時々、感じる感覚はなんなのかな……?
 よくは解らないんだけど……なんとなく、悠翔の剣技は……ただ護るためだけのものじゃない気がする……
 恭也さんと模擬戦をした時にも感じたんだけど……
 普通に護るっていうだけならここまでの力は持てない気がする
 やっぱり……恭也さんが言っていたとおり護るべき大切な人がいるからなのかな……?



































 From FIN  2008/4/17



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