そういえば……悠翔は護るために力を身に付けたって言ってた……
 恭也さんと士郎さんに教われば今以上に悠翔は強くなるんだと思う
 でも……悠翔から時々、感じる感覚はなんなのかな……?
 よくは解らないんだけど……なんとなく、悠翔の剣技は……ただ護るためだけのものじゃない気がする……
 恭也さんと模擬戦をした時にも感じたんだけど……
 普通に護るっていうだけならここまでの力は持てない気がする
 やっぱり……恭也さんが言っていたとおり護るべき大切な人がいるからなのかな……?






















魔法少女リリカルなのは
Sweet Lovers Forever
















「さて……そろそろ俺も忍達の手伝いをするか。悠翔はどうする?」
 悠翔と一通り話をした恭也さんが私達に尋ねる。
「俺……ですか?」
「ああ、今日は悠翔の歓迎会だからな。悠翔に手伝わせるわけにはいかないだろう。それに、フェイトも客だからな」
「そう……ですね」
 悠翔が私を見ながら考え込むような仕草をする。

 確かに恭也さんが言うように私もお客さんなんだけど……

「じゃあ、フェイトは悠翔と一緒にいてくれ」
「え……?」
「流石に悠翔を1人でそのままにするのは悪いしな。それに、フェイトも客なんだからな。手伝わせるわけにもいかないだろう」
「あ、はい。解りました」
「じゃあ、このまま待っているのもあれだからな……。悠翔、道場を使っても構わないぞ」
 私が頷いたのを確認した恭也さんが悠翔に提案する。
「良いんですか?」
「ああ、悠翔もその方が良いだろう? 父さんと立ち合った時の考えも纏めたいだろうからな」
「……ばれてます、か」
 恭也さんに図星をつかれたのか悠翔が苦笑する。
「まぁ、父さんと立ち合ったのは大きいと思うぞ。母さんや美沙斗さん……それに啓吾さんにも見て貰ってはいるんだろうが」
「ええ……ですが、俺はまだまだですよ。まだ、御神不破流の剣士として恭也さんや士郎さんにも遠く及びません。それに……父さんにも」
「だが、悠翔が御神不破流の剣士としての道を踏み出しているのも事実だ。今はそうだとしても悠翔なら必ず先に進めるさ」
「……恭也さん」
「俺から言えるのはそれだけだ。じゃあ、俺は手伝いの方に行ってくる」
 恭也さんが軽く悠翔の肩を叩いて出ていく。
 悠翔は恭也さんの話のことを考えているみたい。
「悠翔?」
「……なんでもない。道場に行こう」
 私に対して悠翔は話を濁すかのように促す。
「……うん」
 ここは話を聞くところでも無いと思うから……私は頷く。

 そういえば悠翔って考えごとをしてることも多いよね?
 それに……あまり自分のことを言ってくれない
 悠翔に何か秘密があるのかは解らないけど……
 少しくらいは私に話して欲しい……かな?
















「さて……と俺はとりあえず軽く素振りと今日の立ち回りの復習でもしようと思うけど……フェイトはどうする?」
 道場に入ってすぐに悠翔が私に声をかける。
「私? 私は……悠翔を見てるよ?」
「……そうか? フェイトも少し俺の剣術と立ち合ってみたそうな顔をしているように見えるけど」
「ふぇ……?」

 あれ……?
 私……そんな顔をしてたかな?
 確かに悠翔と立ち合いをしてみたいっていうのも本当だけど……
 それ以上に悠翔の剣術を見てみたいって思う私がいる

「別に俺はフェイトが立ち合ってみたいって言うなら構わないけど……俺の剣は恭也さんと違ってあまり手加減は出来ないぞ?」
「え……?」
「俺の場合はそんなに力量があるわけでも無いから、な……。それに剣士は”他人”に手の内を見せることを嫌う」
「そうなの……?」
「ああ。戦闘でも無いのに技を見せるっていうのは手札をばらしてしまうことにもなる。だから、あまり人に見せるわけにもいかないんだ」

 あ……悠翔の言っていることは本当にそうかも……
 私達魔導師とは全く違う考えだからこそ出てきた考えだとは思うけど……
 あまり他人に手の内をばらすのは良いことじゃないというのはあるかもしれない
 私自身はそうは思わないんだけど……

「とは言っても……フェイトの場合は既に御神流のことは知っているみたいだから別に構わないか」
「良いの?」
「……ああ。けど、俺のはあまり参考にならないかもしれないけどな」
「そうなの?」
 悠翔の少しだけ意味深な言葉に私は更に質問する。
「俺は普段の型だとあまり”二刀術”を遣わないからな」
「え……どういうこと?」

 二刀術……確か恭也さんが前の模擬戦の時にそう名乗っていた気がする……
 それに悠翔もさっきの士郎さんとの立ち合いでは二刀術って名乗ってた……
 でも……悠翔は二刀術をあまり遣わない……?
 悠翔も恭也さんや士郎さんと同じ剣術を遣うのに?
 う〜ん……どういうことなのかな……?
















「……まぁ、確かにフェイトから見ると今の俺の言った意味は難しいかな」
 私が考え込んでいるのを見かねたのか悠翔が話しかけてくる。
「むぅ……」
 悠翔はそう意味で言ったんじゃ無いんだろうけど……なんとなく馬鹿にされたような気がして私は頬を膨らませる。
「あ……いや、馬鹿にしてるわけじゃない。俺の言ってることは剣士同士じゃないと通じにくいってことだから」
「どういうこと?」
 剣士同士じゃないと解らない?
 私は尚更、気になって悠翔に尋ねる。
「……まぁ、見てれば解るから」
 悠翔はそう言って小太刀の長さに合わせた木刀を準備する。

 まずは1本を右手に持ってもう1本を……
 あれ……? もう1本の方は腰に差して……?
 ……ということは悠翔は両方の小太刀じゃなくて1本だけで遣うってこと……?
 小太刀は2本あるのに……?
 これって……どういうことなのかな……?



































 From FIN  2008/4/22



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