「例えフェイトがどんな存在だとしても君は君なんだ。フェイトはフェイト……だから」
「悠……翔……？」
「……それで良いじゃないか」
悠翔の言ってくれた言葉……。
それはとても私の心に響いて……。
私は少し泣きそうになってしまう。
悠翔は私がどんな存在だとしても良いって言ってくれている。
じゃあ……それは……私がクローンだとしても良いってこと……？
でも、悠翔は私とはまだ会ったばかり……それなのに……
こんなにも私との話も真剣に考えてくれている
やっぱり……私から何かを感じたから……？
それとも……悠翔って元々からこういう人なのかな……？
だとしたら……悠翔って……
――――優しい、ね
魔法少女リリカルなのは
Sweet Lovers Forever
悠翔が言ってくれた言葉のお陰で私は暗くなりはじめていた気持ちが漸く落ち着く。
悠翔と話してると不思議……
会ったばかりなのに悠翔には励まされたり、私が励ましたり……
今まで会った人達では誰ともこんな感じにはならなかった
どうして……かな？
「とりあえず、ＨＧＳに関しての話題はここまでにしよう。これ以上フェイトにそんな顔をさせるわけにはいかない」
「ふぇ……」
悠翔が気を遣ってくれたのは解る。
けど……普通にそんな台詞はずるいよ……
悠翔は多分、自覚は無いんだと思う。
でも、普通は悠翔みたいに格好良い男の子からそんなことを言われたら誰だって照れると思う。
実際に今の私は頬が熱い。
あぅ……なんか落ち着かないよ……
私は顔を紅くしたまま悠翔を見つめてみる。
やっぱり……頬が熱くなる。
あぅ……本当に可笑しくなっちゃったのかも……
私は暫くの間、悠翔の顔がまともに見れなかった。
「さて……とそろそろ戻ろうか」
「……うん」
悠翔がそう話をきりだす。
態々、私が落ち着くまで待っててくれたなんて悠翔は優しい。
でも……私がどうして落ち着かなかったのかは悠翔は全く気付いていないみたい。
こういうところは……鈍いよ、ね？
私が悠翔を見ながら考えていると道場に士郎さんが戻って来た。
「む……起きたのか」
「……士郎さん」
「さっきは済まなかったな。思わず虎切で極めてしまった」
士郎さんが悠翔に謝る。
でも……さっきの士郎さんの一撃は凄かったと思う。
悠翔でも避けられないなら……私も避けるのは無理だと思う。
それに士郎さんの太刀筋は私には全く見えなかったんだし……。
「いえ、気にしないでください。良い経験になりましたよ。まさか、刃取りから虎切に繋げるなんて俺も考えなかったことでしたし」
「……そうか。だが……悠翔は予想以上に強い。夏織や美沙斗に鍛えられたのもあるんだろうが……実戦経験も結構、あるみたいだな」
「……解りますか」
「ああ……それに悠翔の動きの一部は樺一号……陣内啓吾からも教わったものだな？」
「ええ、その通りです。確かに俺の動き方の一部は香港国際警防部隊副隊長、樺一号……陣内啓吾さんからも教わりました」
悠翔と士郎さんから私には全く聞き覚えの無い言葉が飛び交う。
美沙斗さんは一応、知ってるけど……夏織さん……？
それに……香港国際警防部隊副隊長、樺一号……？
陣内啓吾さん……？
悠翔が戦い方を教わったっていうことだから……
その夏織さんと陣内啓吾さんという人はとても強いんだと思う
でも、士郎さんも知ってるみたいだけど……？
「成る程な、確かに悠翔は瞬間的な動きに優れているが……確かに奴の見切り方も僅かに入っているな。勿論、夏織と美沙斗から学んだ動きが基本みたいだが」
士郎さんが納得したように悠翔の言葉に頷く。
「夏織と美沙斗以外にも『闇に潜む死神』……香港国際警防部隊副隊長、樺一号……奴からの指導も受けているのならその若さでの強さも納得だな」
「でも……まだまだですよ。俺は御神の剣士の中では一番弱いですから」
「だったらこれからも努力すれば良い。そう簡単に悠翔に抜かれるつもりなんて無いけどな」
「……望むところですよ。俺は必ず貴方達のいるところまで辿り着いて見せます」
「ああ、やってみろ。一臣もそれを望んでいるんだろうからな」
「……はい！」
悠翔が士郎さんの言葉に元気良く返事をする。
その表情はとても嬉しそう。
士郎さんに言われたことがやっぱり嬉しいのかも。
なんか……こういうのって良いよね？
悠翔と軽く今日の立ち合いのことを話して士郎さんは私達よりも先に翠屋の方へ戻っていった。
士郎さんと剣術とかのことをお話出来て悠翔はとても嬉しそう。
それに……士郎さんに褒められたって言うのは悠翔にとっては凄く嬉しいことだと思う。
悠翔が今までやってきたことが認められた……ってことでもあるんだし。
でも……私にとっては逆に疑問が増えちゃったかな……？
夏織さんという人も陣内啓吾さんという人も聞いたことが無いし……
しかも、２人とも凄く強いみたい
でも……なのはからもそういう人達がいるなんて聞いたことが無い……
美沙斗さんは何度か会ったことがあるけど……その夏織さんは会ったことも無いかな……
士郎さんの言い方を聞いてると陣内啓吾さんは知り合いで、夏織さんの方にはなんかありそうな感じなんだけど……？
なんとなく士郎さんは夏織さんのことを気にしているような感じだったし……
それに……夏織さんは悠翔とはどういう関係の人……なのかな？
From FIN 2008/4/8
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