「……確かにフェイトからは特別な感じがする。俺が思うにはHGSのような感じだと思うんだけど」
「HGS……?」
 私は悠翔の言った単語に首を傾げる。

 えっと……HGS……?
 私には聞いたことが無い言葉……
 この世界の言葉なのかな……?
 でも、なのはもはやてもそんなことは一言も言って無かったし……
 悠翔はその……HGSかな……?
 それのことを知っているみたいだけど……
 もしかして……そのHGSも特別な力……なのかな?






















魔法少女リリカルなのは
Sweet Lovers Forever
















「ん……? フェイトはHGSを知らないのか?」
「う、うん……」
「そうか……確かにあまり知られて無いからな……」

 悠翔は何かを思いだしながら溜息をつく。

 呆れられた……かな?
 HGSって悠翔の表情を見てる限りではなんか凄く重要そうだけど……

「HGSは……高機能性遺伝子障害者と呼ばれる病人達のことだ」
 悠翔がHGSのことを解らない私に説明を始める。

 それにしても遺伝子の病気……?

「元々は変異性遺伝子障害と言う20年以上前に発見された病気が元なんだけど……」

 う〜ん……20年以上前に見つかった病気……割と新しい病気なのかな?

「この病気は生まれついて、遺伝子に特殊な情報が刻まれていて、それによって様々な障害を引き起こす難病なんだ」

 え……難病……?
 それも障害を引き起こすなんて……

「けど……その中でも20人に1人くらいの割合で超能力とでも言うべき力を持った人もいるんだ。それがHGS、だな」

 超能力……?
 ということは……魔法みたいなもの……?

「このHGSのことは世間とかの問題もあるから基本的には伏せられているからな。フェイトが知らないのも無理はない」
「そう……なんだ。でも、悠翔はどうしてその……HGSのことを知ってるの?」
 私は悠翔が何故、こんな難しいことを知っているのかが気になった。
 悠翔は私の質問に対して少しだけ虚しそうな表情で応える。
「俺がHGSを知っている理由は……HGS患者と戦ったことがあるからだ」
「えっ……?」
「HGSは確かに病気だが、死病というわけじゃない。それに……HGSの超能力は非常に優れた力だ。それを欲望のために利用している人間はいる」
「あ……」
 私は悠翔の言っていることに唖然とする。
 確かに悠翔の言うとおり超能力みたいなのは凄い力。
 私達の世界では魔法があるからそれが凄いとは普通には感じないけど……。
 この世界では魔法は存在しない。
 だから超能力っていうのは本当に凄い力だと思う。
 魔法の無いはずの世界で魔法を使っているのと同じようなものだから。
「それに……初めからHGSになるように患者を人工的につくる……所謂、クローン人間をつくっていた研究機関もある」
「……クローン」
 私は悠翔の言ったクローンという言葉にびくっとする。

 だって……私も……クローン……なんだから

 私がびくっとしたのに気付いたのか悠翔がゆっくりと私の膝枕から離れて私の頭を優しく撫でる。
「ゆ、悠翔……?」
「ごめん、フェイトにそんな顔をさせたくてこんな話をしたんじゃないんだ」
「悠翔……」
 悠翔の優しい言葉……。
 私は暫く悠翔のなすがままにされる。
 でも……こうやって悠翔に頭を撫でて貰うのは心地良かった。
















「もう……落ち着いたか?」
「う、うん……」
 暫くして悠翔が私を撫でるのを止める。

 少し……残念かも……

「ん……? つい……頭を撫でてしまったけど……それが悪かったのか?」
「え……そ、そんなこと無いよっ!?」
 悠翔が様子を聞いてきたけど……私は慌てて否定する。

 だって……気持ち良かったから……

 悠翔が私の頭を撫でてくれたことに嫌な気持ちなんて無い。
 寧ろ、母さんに頭を撫でられた時よりも気持ち良かったかもしれない。

 どうして……かな……
 悠翔は本当に私のことを考えて頭を撫でてくれていた
 だから……気持ち良かったのかな?

「フェイト……?」
 私がそんなことを考えているとは思っていないのか悠翔は私の様子を伺っている。
「は、はいっ!?」
「さっきから様子が変だけど……何かあったのか?」
「え……あ、うん……なんでも無いよ……」
 少しだけ私は後ろめたい気持ちを覚えながらもなんとか取り繕う。
「……そうか。フェイトの表情が暗くなったのは俺がクローンの話題を出した時だったと思ったんだけど」
「悠翔……」

 あ……やっぱり、気付いてたんだ……
 私がクローンという言葉を聞いた時のことを……
 でも、今はまだこのことを悠翔に言うわけにはいかない
 だって……拒絶されるなんて嫌だから……

「フェイトにも秘密があるんだと思うけど……」
 私の考えていることを解っているのか悠翔が口を開く。
「例えフェイトがどんな存在だとしても君は君なんだ。フェイトはフェイト……だから」
「悠……翔……?」
「……それで良いじゃないか」
 悠翔の言ってくれた言葉……。
 それはとても私の心に響いて……。
 私は少し泣きそうになってしまう。
 悠翔は私がどんな存在だとしても良いって言ってくれている。

 じゃあ……それは……私がクローンだとしても良いってこと……?
 でも、悠翔は私とはまだ会ったばかり……それなのに……
 こんなにも私との話も真剣に考えてくれている
 やっぱり……私から何かを感じたから……?
 それとも……悠翔って元々からこういう人なのかな……?
 だとしたら……悠翔って……
















 ――――優しい、ね



































 From FIN  2008/4/6



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