こうやってじっくり見てみると……可愛いかも……?

 悠翔の様子を見ながら私は少しだけ微笑む。
 なんというか……悠翔の様子を見てるとなんとなくだけど、なのはの気持ちが解るような気がする。
 なのはもユーノを膝枕してとっても嬉しそうにしていた。
 それに……ユーノの様子を見ているなのははとても幸せそうだった。
 私の場合はまだ、なのはとは違う気持ちなんだろうけど……それでもなんとなく嬉しい気持ちになる。
 普段はなのはがユーノにしていること……。
 でも、今はこうやって私がなのはと同じことをしている。
 そう考えると少しだけ気恥ずかしい。
 でも、それはけっして嫌な気持ちじゃ無かった。
 寧ろ、嬉しいような幸せなような気持ち……。

 これが……膝枕をするってことなのかな……?






















魔法少女リリカルなのは
Sweet Lovers Forever
















 悠翔に膝枕をしたまま目覚めるのを待つ。
 立ち合いが終わってもうすぐ2時間くらいになるから……。
 そろそろ夕方になるのかな?
 でも、悠翔はまだ眠ってる。

 やっぱり……疲れてるのかな?

「う……っ……」
 私が悠翔の様子を見つめていたら悠翔が少しだけ声をもらす。

 あ……起きるのかな?

 悠翔の様子を見ながらそう考えていると悠翔がゆっくりと目を覚ます。
「フェイト……?」
「うん、そうだよ」
「っ……!? 俺は……今まで意識を失ってたのか?」
 目が覚めた悠翔は慌てて状況を確認する。
「……うん。中々、目が覚めなくて……心配したんだよ?」
「あ、ああ……」
 私が悠翔の顔を覗き込むように話すと悠翔の頬が少しだけ紅く染まる。
 少しだけ悠翔は困っているみたい。
 なんだか自分のおかれている状況に戸惑っているのかな……?
 だって……その……
「膝枕……嫌……だった?」
 私はしょんぼりとしながら悠翔を見つめる。
「……そんなことは無い。ただ……その……態々、膝枕をしてもらってるのが……」
「遠慮しなくて良いよ。だって……悠翔は疲れてるよね?」
「いや……確かにそうなんだけど……」
 悠翔はまだ、遠慮しているのか歯切れ悪そうにしている。

 もう……こういう時は遠慮しなくても良いんだから……

 私は悠翔を膝枕したままでむっとする。
 私のむっとした表情に気付いた悠翔が苦笑しながらおとなしくなる。
 それを確認した私は膝枕をしたまま悠翔を見つめる。

 士郎さんの言うとおりかな……
 悠翔は何度も戦ってて……
 覚悟も違うって……
 だって……悠翔の瞳って輝きが違うから

 私は悠翔のことを見つめながら考える。
 悠翔は照れくさいのか目を逸らす。
 恥ずかしそうにしながらも悠翔はそのまま私の膝から離れない。
 なんとなくだけど私はそれを嬉しく感じる。

 なのはとユーノもこんな感じだったのかな……?
















「……フェイト」
「何……?」
 膝枕をされたまま悠翔が私に声をかける。
「その……格好悪いところを見せちゃったな。折角、俺からフェイトに見届けてくれるように頼んだのに」
 悠翔は私のことを見つめながら申し訳無さそうにする。
 でも、私にとっては悠翔が士郎さんと立ち合っている時の姿は……格好良かったと思う。
 士郎さんに向かっていた悠翔の姿は本当に真剣で……。
「そんなこと……無い、よ」
「フェイト?」
「だって……悠翔は本当に全力で士郎さんに立ち合いを挑んでたよね?」
「……ああ」
「それだったら……私が悠翔のことを格好悪いなんていう理由なんて無い、よ」
 私は思ったことをそのまま悠翔に伝える。

 だって……真剣やっている人のことを格好悪いだなんて……
 それに……悠翔は元々、格好良いから……
 ふぇ……? 私ったらまた……何を考えてるんだろ……

「そう、か……そう言ってくれると俺もありがたいよ。想像以上に俺は士郎さんには対抗出来て無かったからな」
「……悠翔」
 悠翔はそう言うけど……そんなことは無いと思う。
 悠翔が士郎さんに対抗出来ていないなんて言ってたら私はもっと対抗出来ないと思う。
 私は恭也さんに全く対抗出来なかったことを思いだす。
 魔法は全部当たらなかったし……それどころか避けるのが難しいはずのフォトンランサー・ファランクスシフトも避けられた。
 それに……真・ソニックフォームを使っても恭也さんの速さには追いつけなくて……。
 気が付いたら私は恭也さんの一撃で意識を失っていた。

 あれ……?
 もしかして、私って悠翔よりも酷い……?
 悠翔はその身一つで士郎さんとあそこまで渡り合ってたけど……
 私は魔法を使っているのに恭也さんに全く対抗出来なかったから……
 あぅ……私って駄目な娘かも……

「どうしたんだ、フェイト?」
 私が溜息をつくと悠翔が心配そうに顔を覗き込む。
「うん、実は……少し前に恭也さんと立ち合いをしたことがあるんだけど……全く対抗出来なくて」
 私は悠翔に恭也さんと模擬戦をした時のことを話す。
「フェイトが立ち合いをしたのか?」
「う、うん……」
 悠翔が疑問を問いただすように私に言う。
 私の答えに悠翔は少しだけ驚いたような表情をしたけど……すぐに何事も無かったような表情に戻る。

 あれ……?
 悠翔は別に驚かないのかな?
 でも、悠翔自身も凄い経験をしてるみたいだから……あまり気にならないのかも

「……確かにフェイトからは特別な感じがする。俺が思うにはHGSのような感じだと思うんだけど」
「HGS……?」
 私は悠翔の言った単語に首を傾げる。

 えっと……HGS……?
 私には聞いたことが無い言葉……
 この世界の言葉なのかな……?
 でも、なのはもはやてもそんなことは一言も言って無かったし……
 悠翔はその……HGSかな……?
 それのことを知っているみたいだけど……
 もしかして……そのHGSも特別な力……なのかな?



































 From FIN  2008/4/4



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