「……やはり、貴方には通じませんか。士郎さん……いや、士郎伯父さん」
 そう言って悠翔が私の傍から姿を現す。
 いや、悠翔は私の傍にずっといたんだから……その表現は可笑しいかも。
 でも……私には悠翔と士郎さんが何をしていたのか全く解らなかった。

 い、今のは何だったの……?
 士郎さんを伯父さんと呼んだ悠翔……
 それに……私には聞き覚えの無い一臣という人のこと……
 悠翔って……いったい……?





















魔法少女リリカルなのは
Sweet Lovers Forever
















「……数年ぶりですね。こうして、会うのは俺の父さんの墓参りの時以来ですかね」
「ああ、そうだな。あれからそれなりに時間は経ったが……随分と大きくなったな。それに……雰囲気も一臣に似てきた」
「……そう言われると何か照れますね」
 悠翔が頭を掻きながら苦笑する。

 あ……こういう表情もするんだ……
 意外と悠翔は表情を出さないタイプなのかと思ってたけど……
 やっぱり、そうでも無いのかな?
 そういえば……私とお話してた時も割りと明るい感じだったし……

「それにしても……いきなり海鳴に来るとは……珍しいな。悠翔は海鳴には来たことが無かったはずだったな?」
「ええ、そうですね。今回が初めてです。でも、フェイトがここまで案内してくれましたから大丈夫でした」
 そう言って悠翔が私の顔を見つめる。
「い、いえっ……私の方こそ今日は悠翔に助けてもらいましたし……」
 私はしどろもどろになりながら答える。
 悠翔は慌てている私が可笑しいのか笑っている。

 あぅ……なんか今日はこんなのばかり……
















「そういえば、悠翔君って……言ったわね」
「はい、初めまして桃子さん」
 悠翔が桃子さんに頭を下げる。
「貴方は士郎さんとはどのくらい前から知り合ってたの?」
「えっと……生まれた頃からだと思います。父が亡くなってからは時々、様子を見に来てくれてたので」
「そうなの、士郎さん?」
「……ああ。時々、家を空けていたのは悠翔のところに行ってたからだ。それに……悠翔は俺の弟である一臣の息子だ。俺が心配するのは当然だろう?」
「そうね……でも、浮気とかじゃ無かったのね?」
「……まさか? 俺がそんなことするわけ無いだろう?」
「ふふっ……そうよね」
 なんか私達のことはお構いなしで別の空気を形成し始めた士郎さんと桃子さん。
 悠翔はあまり見慣れてないらしく困っているみたい。
「……普段から割りとこうなのか?」
「う、うん……なのはが言うにはそうみたいだよ」
「……なのは?」
「あれ、悠翔はなのはのことは知らないの?」
 私は悠翔がなのはを知らないということに少しだけ吃驚する。
「いや、話なら聞いたことがある。確か俺と同い年だって聞いてる。それに……話を聞いた限りでは、彼女もなにか”特別”みたいだ」
「そうなんだ……」
 悠翔もなのはのことは聞いたことがあったみたい。
 けど……なのはの魔法の話は知らないはず。
 それでも、なんとなくで気付いてるなんて……。
 もしかしたら、悠翔は魔力感知能力みたいなものを持っているのかも。
 でも、それだったら……悠翔にもそれなりの魔力があるはず。
 私が感じる限り、悠翔の魔力は……。

 え……魔力が無い……?
 でも……恭也さんも士郎さんも魔力が無いみたいだったし……悠翔に魔力が無いのも当然なのかも?
 それに、前に恭也さんから話を聞いた時も悠翔と同じようになんとなくで感じ取っていたみたいだし……
 もしかして、恭也さん達の使っている剣術では普通なのかな?

「フェイト? 今、何かしてたか?」
 私が少し悠翔の魔力を確認していると不意に声がかけられる。
「ふぇ……な、なんでもないよ」
 私はなんとか悠翔に誤魔化す。
 でも、いきなりだったからまた変な感じになってしまう。

 あぅ……やっぱり私って変な娘なのかも……

「……そうか。なら、良いんだ」
 悠翔はあまり気にした様子も無く話を区切る。

 やっぱり……悠翔に魔法の話をしないのは駄目なのかな……?

 悠翔を見て私はふと、そう思う。
 普通の人に魔法の話をすると駄目なのは解ってる。
 だから、学校でも私達は魔法のことはすずかやアリサを除けば誰にも話してない。

 でも……悠翔はなんとなくだけど私のことも気付いてるし……
 それに……なのはのことにもなんとなく気付いているみたいだし……
 やっぱり魔法のことはちゃんと悠翔にも話したほうが良いのかな?
 けど……嫌われたりするのは嫌だし……
 ふぇ……? わ、私ったら何を考えてるんだろ……
















「随分と話がそれてしまったが……悠翔はどうして、海鳴に来たんだ?」
 漸く、桃子さんとのお話が終わった士郎さんが悠翔に質問する。
「……それは」
 悠翔はちらっと私の方を見る。

 あ……そういえば士郎さん達の剣術って普段は秘密にしてるはず……

「いや、大丈夫だぞ。フェイトちゃんも御神流のことは知っている」
「そうですか。だったら、話しても大丈夫ですね。俺が海鳴に来た理由は……まずは俺の御神不破流を見て貰うことです」
「……なるほどな。だが、既に悠翔は美沙斗のところで免許皆伝は貰っているだろう?」
 私は悠翔と士郎さんの会話に驚く。

 免許皆伝……悠翔はこの年齢で剣術をマスターしてるの?
 さっき悠翔が自分でなのはと同じ年齢だって言ってた
 それは、もちろん私とも年齢が同じだということで
 話を聞いている限り悠翔が使っているのも恭也さん達が使っているものと同じ……
 それに私を助けてくれた時は多分……恭也さんが使っていた神速を使っていたんだと思う
 悠翔ってやっぱり凄かったんだ……

「ええ……ですが、御神不破としては貴方達の方が深い。それに……恭也従兄さんは……閃も使えると聞きました」
「……そういうことか。御神の剣士としての一つの到達点……そして、本来の御神不破を見たい……そういうことだな?」
「はい……。でも、それだけじゃ無いんです」
 悠翔がそう言って私のことをちらっと見る。
 私は悠翔といきなり視線が合ったことに吃驚してしまう。
 悠翔に見つめられて私はなんとなく頬が熱くなる。

 どうして、どきっ……とするの……?
 ただ、悠翔に見つめられただけなのに……

「俺が……海鳴に来た本当の目的は……護りたい人を探すためです」
 私は悠翔の言葉にさらにどきっ……とする。
 悠翔が私のことを見つめたままで士郎さんに言葉を伝えたから……。

 護りたい人……?
 それって……ユーノにとってのなのはみたいに……?
 恭也さんにとっての忍さんみたいに……?
 私には解らないけど……そうなの、かな?


































 From FIN  2008/3/18



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