「まぁ、変な方向に話が行ってしまったけど……奥義に負担がかかると言う理由に関しては大体、こんなところだ」
「と言うことはやっぱり、雷徹が原因なの?」
「そういうことだな。でも、雷徹は俺が最も、得意とする奥義……それなのに今の俺にはリスクが伴う。そんな感じだな」
「悠翔……」
 そう言った悠翔の表情は何かを悟ったかのようで。
 自分の一番、得意とするものがリスクを伴うなんて……どれだけ大変なんだろう。
 しかも、悠翔は利き腕も悪くて。
「でも、そこは遣りよう次第だ、な。俺も色々と考えたり試しながら剣術の形を創っている。そう言った意味では良い戒めだよ」
「……うん。そうだね」
 悠翔はあまり、左腕が悪いということは触れない。
 寧ろ、悪いからこそ出来ることがあるって思っているみたい。
 でも、私には悪い箇所を抱えたままで……ということについて考えがとても働かない。
 これはやっぱり、私が何処にも悪い箇所を抱えていないからかも……。
 私がそう言ったことを考えているとは気付いていないのか悠翔の表情は既に割り切った様子。
 今日の診察で何を言われたのかは解らないけど……すぐに意識を切り換えられる悠翔は凄い。
 私だったら、きっと……こうはいかないんだろうな……。






















魔法少女リリカルなのは
Sweet Lovers Forever
















 悠翔と話しているうちに時間が過ぎていき、何時の間にか時刻は夕方近くに。
「さて……もうすぐ高町家に着くけど、フェイトはどうする?」
 なのはの家の近くまで到着した時、悠翔が私に尋ねてくる。
 そういえば、もう時間も時間だし、今日はもう、一緒にはあまりいられない。
 それに悠翔の腕のことを考えると……。
「あ、うん。じゃあ……私も家に戻ろうかな? 悠翔はもう腕を休ませないといけないと思うし」
 少しだけ名残り惜しいけど……やっぱり、私にはこう言うしかない。
 悠翔は今日も病院で診察を受けているんだから。
「それも、そうだな。じゃあ、せめてフェイトの家まで送っていくよ。確か……近くだったよな?」
「え、良いの?」
 悠翔の提案に少しだけ吃驚する私。
「ああ。フェイトには心配かけてしまったしな。それに……もう夕方だ。女の子を1人で帰らせるわけにもいかない」
「悠翔……じゃあ、お願いするね?」
 悠翔の提案は凄く嬉しい。
 私のことを気遣ってくれているのが良く解る。
 私に心配かけちゃったって思っているのも多分、本気だと思う。
 悠翔ってそんな人みたいだから。
 それが、少しだけ微笑ましく感じて。
「ああ、任せてくれ。フェイトは必ず家まで送り届けるさ」
「うん♪」
 任せろと言ってくれた悠翔は凄く頼りになる。
 元々から、しっかりしているってこともあるかもしれないけど……。
 私は悠翔を信じられる。
 まぁ、ちょっとだけ大袈裟すぎる気もするけど。
 悠翔は私のことを考えてくれてるんだから、それはとても嬉しい。
 折角だから、私は悠翔の好意に甘えることにする。
 悠翔の好意が嬉しくって……私はそのまま彼の腕に抱き付いた。
















「ただいま〜」
 悠翔に送り届けて貰った私。
 無事に家まで到着する。
 悠翔には御礼を言いたかったから少しだけあがって貰おうかとも思ったけど、それは止めておいた。
 悠翔のことをこれ以上を拘束するわけにもいかないと思ったから御礼の言葉だけを伝えて悠翔とは別れた。
 今日は、悠翔とたくさんお話出来たから嬉しいかも。
 私は上機嫌で家にあがる。
「御帰りなさい、フェイト」
「あ、義母さん。ただいま」
 家にあがると私の今の母親……リンディ=ハラオウン元提督が迎えてくれる。
 義母さんは、今は時空管理局の本局勤めをしている。
 だから、家に戻るのも遅いはずなんだけど……。
「今日は早めに仕事が終わったの」
 私の疑問に気付いた義母さんがすぐさま家にいる理由を教えてくれる。
「それよりも……フェイトはすずかさんの家に行くっていってたけど……?」
「あ、うん。そうなんだけど……ちょっと色々あって……」
 義母さんが疑問を感じた様子で私の顔を覗き込んでくる。
 でも、義母さんにも今日のことはあまり言えないかも。
 悠翔のことは一応、既に伝わってるから仕方がないけど、ファリンさんのことは言ってはいけない気がして。
 悠翔のことだけでも魔導師から見れば信じられないのに更にファリンさんは悠翔よりも強くて。
「ふ〜ん……成る程ね。フェイトが言いたくないのならこれ以上は聞かないことにするわ」
「ごめんね、義母さん」
 私の様子に気付いた義母さんが話を切り上げてくれる。
 それが、少しだけ申し訳ない気もする。
「さて、と……こう言った話をするのもなんだし、そろそろ夕食にしましょうか?」
「あ、うん。解ったよ」
 義母さんに促されて私は一度、部屋に戻る。
 そう言えばこんなに早く義母さんと夕食を食べるのも久しぶり。
 だから、ちょっとだけ嬉しくなる。
 あ……そう言えば義母さんは悠翔のことを何も言ってこないけど……。
 この機会だから聞いてみようかな?
 悠翔も管理局の動向は気になるだろうし……。
















「ねえ、義母さん」
「なぁに? フェイト」
 夕食後、思い立った私は早速、義母さんに尋ねてみる。
「うん、既に話は聞いていると思うんだけど……悠翔のこと」
「あ、ああ……彼ね。不破悠翔君だったかしら?」
「うん」
「不破悠翔君のことはあれから、クロノと調べてみたわ。はっきりと解っていることは彼は魔導師としての資質が皆無だということ」
 やっぱり、義母さんが調べてみても悠翔の魔力はないみたい。
 それどころか、魔導師としての資質が皆無だということは……当然、魔導師になることは出来ないということも言える。
「けれども……シグナムさんを圧倒した実力から考えると、彼の実力は抜きんでているものがあるわね」
「うん、私も悠翔の実力は凄いと思う」
「でも、驚くべきところはそれだけじゃないの。悠翔君の実力もそうだけど、あの戦い方……。どうやっても魔導師では出来ないものだわ」
 多分、義母さんが言いたいのは、神速のことを言っているんだと思う。
 あれはどれだけ考えても私達魔導師では及びもつかない。
 神速の時点で真・ソニックフォームを上回る速さだった。
 あんな速度は決して魔法では届かない。
 それに、恭也さんが私とクロノと戦った時に遣ったものは神速よりも更に速かった。
 もしかしたら、速いんじゃなくて……全てが零になったような感じだったかも。
 見えたのは一瞬の閃きだけ……。
 あんなことが出来るなんて信じられない……と普通は思う。
 多分、恭也さんの遣っていたあの技はどんなことをしても防げたりはしない。
 ううん、寧ろ……魔法でどんな方法を考えても対抗策が思いつかない。
「それに……フェイトとクロノの話から解ったことなんだけど、シグナムさんを圧倒した不破悠翔君の実力でも一番下ということには驚かされるわね」
「あはは……」
 やっぱり、義母さんでもこの事実には驚いたみたい。
 悠翔が言うには剣士の中では自分が一番、実力が劣っているということ。
 それも、本人が言ってたからそれは間違いなくて。
 私は悠翔と立ち合ったわけじゃないから……実力のほどは解らないけど……。
 少なくとも悠翔の実力は恭也さんや士郎さんに及ばないと思う。
 実際に悠翔は士郎さんと立ち合って敵わなかったし。
 恭也さんの場合は悠翔には全く出来ない芸当も出来るとかで。
 私も恭也さんとは立ち合ったからそれは身に沁みて解ってる。
「でも、ね。悠翔君の遣っていたあの剣術……気になるところがあるの。その戦い方からして」
 義母さんの言葉に少し吃驚する私。
 悠翔の遣っていた剣術が気になる……どういう意味なんだろ?
「昔聞いたことがある話なんだけど……『魔導殺し』って呼ばれた人がいたの」
「魔導殺し……?」
「ええ、その名前の通りよ。魔導師を殺す者……確かこの世界の人だったはずよ」
「え……?」
 更に驚きを隠せない私。
 魔導殺しって言う存在も初めて聞いたけど……まさか、この世界の人だったなんて。
「実は、管理局もなのはさん達と出会う事件の以前から地球も管理世界の一つに認定しようと考えていたの。ある物の保護を名目にね。だけど……」
「だけど……?」
「その、魔導殺しの人に妨害されたの。派遣した魔導師は全滅」
「全滅……!?」
「それも……AAAランクやSランク……更にはオーバーSランクの魔導師を派遣しても魔導殺しの前には無意味だったわ。しかも生存者は……ゼロ」
「そんな……」
「話によれば魔導殺しと呼ばれた人は1人の男性だったって聞いているの。他にも仲間がいるかは知らないけれど」
 そう言って少し考え込む仕草をする義母さん。
「でも……その魔導殺しと悠翔になんの関係が?」
「ええ、魔導殺しのあった時期からすると悠翔君が関係あるとは思えないわ。唯、魔導殺しは私達、魔導師ではとても理解出来ない方法で戦っていたって聞いてるから」
「魔導師ではとても理解出来ない方法……」
 そう聞くと私もぞくっ……とする。
 悠翔の遣っている剣術もとても理解出来ないものだけど……。
 魔導殺しと悠翔との関係性は無いってことだから安心した。
 だけど……この世界でそんな事件があっただなんて……私には信じられなかった。
 まさか、そこまで大きな事件だったなんて……。
 多分、今では殆ど知られていないのはこう言った管理外世界での出来事だったからなんじゃないかって思う。
 でも、どうして……魔導殺しはそんなことを……?



































 From FIN  2008/12/7



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