「で、本題なんやけど……悠翔君って魔法って信じるか？」
悠翔の言い分に納得したはやてが話題をきりだす。
「魔法……？」
悠翔が疑問を浮かべた様子をしめす。
「そうやよ」
「魔法か……」
悠翔は魔法という言葉を聞いて考える。
あ……やっぱり考え込んでる……
やっぱり……悠翔もいきなり魔法なんて話題を振られて困ってるのかな……？
それとも……悠翔は魔法を信じられない……？
もし、そうだったら……私は……
私の存在も否定されちゃうのかな……？
私の不安を余所に暫く考え込んでいた悠翔が口を開く。
「……信じるよ」
悠翔が言った言葉は私が望んでいた言葉で……。
私はなんとなく嬉しさを感じた。
良かった……悠翔も魔法のことを信じてくれるんだ……
魔法少女リリカルなのは
Sweet Lovers Forever
「そっか……信じてくれるんか」
悠翔が魔法を信じてくれるってことを確認したはやては悠翔を真剣な表情で見つめる。
「……ああ」
「だったら……私達がその魔法を使えるっていったらどうなん？」
はやてが続けて質問をする。
「それも、信じる。そもそもこの世界にははやて達の知らないような力もあるんだからな。魔法があっても何も可笑しくは無い」
「そうなんか？」
「……ああ。例えば、ＨＧＳ……これは……はやても詳しそうだな」
「そうやな。私もＨＧＳのことは聞いたことあるで。確か高性能遺伝子障害者って呼ばれる人達のことやったかな？」
はやてがＨＧＳのことを答える。
そういえばはやては……病院に行くことが多かったから……こういうのに詳しいのは当然なのかもしれない。
「ああ、そのとおりだ。後、ＨＧＳを持っている人達は超能力とも言える力を持っているからな。特になのはさんは身近にそういう人がいたから解るだろう」
確かにそうだったね……ＨＧＳの人は超能力を持ってるって。
私にはさっき悠翔がＨＧＳのことを説明してくれたから解るけど……
アリサとすずかも聞いたことがあるのか納得している
それで……ユーノの方は……やっぱり驚いているみたい
私も初めて聞いた時は驚いたし……やっぱりそうだよね？
って……今、悠翔は気になることを言わなかったかな？
えっと……なのはの身近にそういう人がって……
「ええっ……そうだったの？」
私は驚いてなのはに尋ねる。
「うん、実は前まで翠屋でチーフウェイトレスをしてくれてたの。確か……フェイトちゃん達に会う前かな？」
ええっ……翠屋のチーフウェイトレス！？
でも……私達に会う前だったんだ
ということは……はやても知らない……よね
うん、やっぱりはやても知らなかったって表情をしてるし
「あ、フィアッセさんのことだね？」
驚く私達の横ですずかが笑顔でなのはに答える。
すずかは何故かその人のことを知っているみたい。
アリサの方もやっぱりすずかと同じで知っていると言った感じで頷いている。
「えっと……フィアッセさん……？」
「う〜ん……聞いたことある名前なんやけど……」
私とはやては疑問を浮かべる。
その……フィアッセって名前は聞いたことがあるんだけど。
「もしかして……あの、フィアッセ＝クリステラなんか？」
はやてが自信なさそうになのはに質問する。
流石に……違う……よね？
いくらなんでもあの……『光の歌姫』って呼ばれてるフィアッセ＝クリステラじゃ……
「うん、そうだよ。はやてちゃんの言ってるフィアッセさんだよ？」
はやての質問に笑顔で答えてくれるなのは。
って……本当にあのフィアッセ＝クリステラ！？
そ、それって……ちょっと凄すぎないかな！？
「ほ、ホンマかいな？」
やっぱり、流石のはやても信じられないのかなのはにもう一度、尋ねる。
「うん、本当だよ。フィアッセお姉ちゃんは一時期、翠屋にいたから」
けど、なのはから帰ってきた答えは嘘じゃなくて……
しかも、お姉ちゃんって……？
それだけ……あのフィアッセさんと親しいの？
「ってお姉ちゃんって呼んでるんかい！？」
お姉ちゃんって呼び方に反応したはやてがすかさずなのはにツッコミを入れる。
まぁ……普通はそうかも。
流石にあのフィアッセさんとそこまで親しくしているなんて想像もつかない。
「……俺もあの人とは知り合いだし、護衛をしたこともある。なのはさんが言っているのは本当のことだよ」
私が色々と疑問を浮かべていると悠翔までなのはの言っていることを本当だと言ってる。
なのははフィアッセさんと親しいみたいだし……
悠翔は……悠翔で護衛までしたことがあるんだ
もう……色々な意味で凄い気がする
「とまぁ……話がずれてしまったんやけど……本題に戻るで？」
一通りフィアッセさんの話題に驚いた後、はやてが漸く本題をきりだす。
「……解った」
私とはやての反応が面白かったのか悠翔は苦笑しながら頷く。
「とりあえず、悠翔君は魔法のことも信じてるし、私達が魔法を使えるっていうのも信じてくれるんやな？」
「……ああ」
「それじゃあ……今から話すことは全部本当のことやで？」
「解った。話を聞かせて貰うよ」
「ん、解ったわ。じゃあ……なのはちゃんから頼むで？」
「あ……うん」
悠翔が話を聞いてくれることを確認したはやてがなのはに話を振る。
なのはもはやてに頷き、話を始める。
私となのはが出会った時の話……そうＰＴ事件の時の話から……
「……なるほど。随分と色々な経験をしてきたんだな」
一通り私達の話を聞いた悠翔が何かを考えながら頷く。
私達が話したことは、ＰＴ事件のこと……闇の書事件のこと……それから……。
「それになのはさんから感じていた揺らぎみたいなのもその魔法によるものだったんだな」
なのはの怪我のこと……。
でも、悠翔はなのはの怪我のことに関しては特に驚いた様子も見せていなくて。
「なのはさんも御神の剣士じゃないとは言え……”御神”なんだな」
寧ろ、そう言ってなのはの怪我のことに関しては納得の様子を見せていたり。
「無理をしすぎたらから怪我をした……これは恭也さんもなのはさんも同じみたいだからな」
悠翔は自分の左腕をちらっと見ながら呟く。
私達には悠翔の言った意味は全く解らなかったけど……。
悠翔は私達の様子を気にした様子も無く話を続ける。
「それに……今まで聞いた事件の話は全部、ロストロギアとかいうのが関わってるんだったな」
「うん、そうだよ」
「こう話を聞いているとロストロギアは”場違いな工芸品”って言っても可笑しくないな」
「場違いな工芸品？」
私は悠翔の言った聞きなれない単語を尋ねる。
「いや、例えみたいなものだ。それに此方の話だからあまり気にしなくても良い」
「そ、そうなんだ……」
私は悠翔に相槌をうつ。
う〜ん……なんというか……悠翔が全く魔法の話を聞いても驚いていなかったのは……
こういう事情もあったりするのかな……？
なんか普通に悠翔が知っているものに近いみたいだし……？
From FIN 2008/5/17
前へ 次へ 戻る