――――12月25日。
今日はクリスマス当日。
私、フェイト=T=ハラオウンははやての家でアリサ達とパーティーの準備中。
家の主人であるはやてはヴォルケンリッターの皆を連れて買い出しに向かっている。
因みになのはは少しだけ遅れてくると言っていたのでこの場にはいない。
「フェイト。こっちは終わったわよ」
「うん、私の方ももう終わりだよ。アリサ」
だけど、なのはやはやて達はいないにも関わらず、準備の方は順調に進んでいく。
まぁ、こう言った事は何度かやってきているし……分担して作業をきっちりと進めていけば大丈夫なものだと思う。
思いの外、上手く言っている作業に私はふと、そう思う。
「あれ? フェイトちゃん電話が鳴ってるみたいだけど?」
私が少しだけ意識を別のところへとやっていたところですずかから声がかけられる。
すずかの言う通り、確かに私の携帯電話が振動している。
この振動とコール音からするとメールのお知らせみたい。
私は携帯を取り出し、ゆっくりと開く。
すると、そこには――――。
不破悠翔の名前が表示されていた――――。
魔法少女リリカルなのは
Sweet Lovers Forever〜After Days〜
「え、ええっ!?」
携帯に表示された名前を見て、私は思わず驚く。
まさか、こんなに珍しいタイミングで悠翔がメールをしてくるとは思わなかった。
普段の悠翔からのメールは大抵の場合は夜になってからであり、日中の時間帯にメールを寄越してくる事なんて滅多にない。
寧ろ、今まで送ってきた事があったかな……と思うほど。
だけど、現実に送られてきたメールの差出人は間違いなく悠翔からで。
私は驚きながらもメールの内容を確認する。
『!"?"% !)://にあの場所で』
とメールにはこう一行だけ書いてある。
「えっと……?」
だけど、悠翔からのメールは間違えたのか解らないけど文字の並びが可笑しい。
あの場所で……って言うのは言葉として解るけどそれ以外の事がさっぱり解らない。
それにあの場所とだけじゃ何処に行けばいいのかも解らない。
悠翔がふざけたメールを送ってくる事はないからこれは謎かけみたいなものなのだろうけど……?
「どうしたの、フェイトちゃん?」
私がメール見ながら首を傾げているとその様子が気になったのかすずかが覗き込んでくる。
それも私の珍しい反応に興味津々の様子で。
「すずか。実は悠翔からメールが来たんだけど……書いてある意味が良く解らなくて」
「え……? ちょっと見せて貰っても良いかな?」
すずかは私に携帯を見ても良いか尋ねる。
「うん」
私の返事を確認したすずかは早速、メールを確認する。
う〜ん……と唸りながらすずかは悠翔の書いた文面をじっと見つめる。
「文字列からすると日付と時間帯を知らせたいみたいだけど……」
「え? 解るの?」
「うん、一応はね。だけど……今はちょっと確認出来ないかな。はやてちゃんにパソコンを借りないと」
すずかは悠翔からのメールの分を見て、内容が解ったみたいで私は思わず吃驚する。
私はさっぱり解らなかったのに解るなんて……すずかは凄い。
だけど、パソコンを借りないといけないって言うのはどう言う事なんだろう……?
「悠翔君が打った文章は私達の使ってる携帯じゃ特定しにくいからね。だけど、パソコンならすぐに出来るから」
疑問と言った様子を見せていた私にすずかがどう言った事なのかを説明してくれる。
携帯で文章の意味を特定するのは難しいけどパソコンならすぐに出来る……。
もしかしたら、悠翔はその辺りも計算してこんな文章を寄越して来たのかもしれない。
「うん、解ったよ。ありがとう、すずか」
何にせよすずかのお陰で悠翔の謎かけは解けそうで私は安心する。
でも、私には解りにくいようにしてたのはワザとなのかな……とも思ってしまう。
だけど、悠翔の性格からするとそんな事は考えられないから……私がすずか達と一緒に行動する事を見通していたのかもしれない。
そう考えれば悠翔らしいと言えばらしいのかも。
私は悠翔からのメールの内容を期待しつつ、準備に戻っていく。
はやて達が戻ってくる前に終わらせておかないと――――。
「ただいま〜」
あれから1時間くらい経った後、はやてが買い出しを終えて帰って来た。
時刻は夕方の6時30分頃――――もう、外は真っ暗になっていた。
「あ……はやて、お帰り」
「お帰り、はやて」
「お疲れ様、はやてちゃん」
私達は三者三様にはやてを出迎える。
今回の買い物は流石に大荷物だったみたいだけれど、ヴォルケンリッターの皆の手を借りたお陰であまり大変じゃなかったみたい。
色々と買った割にははやても疲れていない様子。
車椅子で生活してた頃とは違うって言うのもあるのかもしれない。
闇の書事件の解決を皮くぎりにはやての体調はどんどん良くなったし……。
それにあの事件からは4年も経っている。
はやても身体を動かせるようになろうと積極的に頑張っていたし、それだけの時間が経てば元気になるのも当然なのかもしれない。
「おお、もう準備は終わってるんやな。と言う事は後はなのはちゃんが来れば準備オッケーって事で良いんやな」
はやては買い出しが終わって早々に既に準備が終わっている事に感心する。
時間にすれば2時間くらいしか経過していないわけだから……準備はかなり早く出来たと言っても良いかもしれない。
だけど、私は準備をしながらもはやてが早く戻ってくる事を期待していたりしていた。
はやてが戻ってきたらすずかが悠翔から送られてきたメールの内容をチェックしてくれるって言っていたから……。
「うん、そうなんだけど……。はやてちゃん、ちょっとパソコンを使わせて貰っても良いかな?」
「別にええけど……。どうかしたん?」
「うん。ちょっと確認しておきたい事があってね」
「そっか。じゃあ、好きにしてくれてええで」
「ありがとう、はやてちゃん」
すずかは私が待っているのに気付いてくれていたのか早速、はやてに頼んでパソコンを使う許可を貰う。
手慣れた操作ではやてのパソコンを立ち上げるすずかは流石で、そう言った姿はお姉さんである忍さんに少し似ている。
「えっと、悠翔君が打った文章はこうだから……」
悠翔からのメールの内容を考えながらすずかがキーボードを叩く。
だけど、悠翔の打った文面には特に規則性はないはず……。
「これは”Shift”キーを使って文字を打って、最後の部分を”Fn"キーを使って文字を打てばこうなる文面だから……悠翔君が言いたい事はこう言う事だね」
「えっ……? もう、答えが出たの!?」
すずかの余りにも早い回答に私は思わず吃驚してしまう。
パソコンを借りて、僅か数分しか経過していないのに……もう答えが出たなんて。
「うん。悠翔君が言っているのは『12/25 19:00にあの場所で』って言う事だよ。あの場所って言うのは私には解らないけど、ね」
「『12/25 19:00にあの場所で』……」
すずかが読み解いてくれた悠翔からのメールの文章……。
12/25は今日の事で……19:00は夜の7時の事……。
「――――!?」
この文面の内容で私には一つの答えが出る。
悠翔はもしかしたら……。
「ごめん、皆。私……!」
間違いない。
悠翔があの場所で待っている――――。
それが解るといてもたってもいられなくなる。
「そっか……。悠翔君がフェイトちゃんを呼んでるんだね」
メールの文章を解読してくれたすずかは私の様子を見てすぐに事情を察してくれる。
「え……? それって本当なの?」
「ほんまに?」
はやてとアリサも私の様子を見て驚いた様子を見せる。
「……うん」
でも、このメールの文章は確かに今日の事を指している。
私ははやてとアリサの質問にはっきりと頷く。
だけど……皆を放っておいて出ていくのは気が引けてしまう。
「じゃあ、急がないと駄目じゃない! もう、時間まで30分もないわよ?」
「そうやな、フェイトちゃん。私らの事は良いから早く行って。なのはちゃんには私から言うとくから」
「いってらっしゃい、フェイトちゃん。悠翔君によろしくね」
だけど、皆が私の事を後押ししてくれる。
本当は皆でクリスマスをお祝いしたいはずなのに……。
「ありがとう……皆」
でも、皆の好意を無にするわけにはいかない。
私は感謝の言葉を伝えて、はやての家を急いで出ていく――――。
目指す場所は――――。
私が悠翔と出会ったあの街角――――。
「はぁ……はぁ……。悠翔、何処……?」
はやての家から全速力で駆けてきた私は息を切らしながら周囲を見渡す。
今、私がいるのは悠翔と初めて出会った街のある一角。
クリスマスのシーズンだからか周辺にはイルミネーションが施されている。
「悠翔……?」
私は悠翔の姿を探す。
時間は後、5分くらいで夜の7時――――。
だとすれば悠翔はこの近くにいるはず。
でも、周囲はイルミネーションのライトアップがされてなくて薄暗い。
確か……夜の7時にライトアップするんだったと思うけど――――?
「きゃっ……!?」
そう私が思った瞬間、周囲がぱっと明るくなる。
悠翔を探している間に時間が7時になったみたい。
辺りが綺麗に明るくなった事で目の前の視界が大きく開けてくる。
「あ……」
すると、私の正面に一人の少年の姿が。
間違いないあの姿は――――。
「悠翔ぉっ!」
私は名前を呼んで駆け出す。
前にこの場所で出会ってから約、半年――――。
悠翔の姿は私の知っているあの時とは変わっていなくて。
……ううん、少しだけ背が伸びてる。
成長期に入りはじめつつあるのか悠翔はあの時よりも少しだけ背が伸びているように見えた。
「フェイト……」
私の声で姿を見つけたくれた悠翔が名前を呼ぶ。
電話の時とは違う、直接聞く悠翔の声――――。
それが余りにも優しくて――――。
私は駆け出している勢いも落とさないままに悠翔に飛びつく。
「悠翔……悠翔ぉ……っ!」
「フェイト……っ!」
飛びついた私を悠翔が優しく抱きとめてくれる。
優しく回された手は私の知っている感覚のままで。
その感覚がここにいる悠翔の存在が夢じゃないと言う事を証明してくれる。
「悠翔……」
目の前にいて抱きとめてくれている悠翔――――。
話したい事や伝えたい事はたくさん、あるけれど――――。
今は何を言えば良いのか思いつかない。
ずっと、ずっと会いたかった人との再会は余りにも大きくて――――嬉しくて。
私はどうすれば良いのか解らなくなってしまう。
あ……そうだ。
一つだけ思いついた。
悠翔に伝えるべき言葉を――――。
ううん、今日だからこそ悠翔に伝えられる言葉がある。
大好きとか、愛してるとかは他の時でも言えるけど……この言葉だけは今日にしか言えない。
多分、悠翔もそれを何処かで解っているから今日と言う日を指定してきたんだと思う。
それは今日と言う日に再会出来たからこそ言える言葉――――。
ありきたりかもしれないけど……これはまだ、なのは達皆とも交わしていない言葉――――。
出来れば、一番に言えたら良いなと思っていた言葉――――。
そして、悠翔に伝えたいと思っていた言葉――――。
だから、私はその言葉を伝える――――。
MerryChristmas!
From FIN 2010/12/25
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