7月28日の第二次改装を終えた後に提督から想いを告げられ、私もそれに御答えしてから数日後――――。
私達は正式に御付き合いさせて頂いています。
元々から秘書艦として、提督の御傍には居させて頂いていましたが……。
交際し始めてからは勤務時間以外もずっと提督と一緒に居ます。
本当に榛名で宜しいのでしょうか? と考える時もありますが提督も私と過ごす事には満更でも無いみたいで。
公私共に御慕いする提督と過ごす毎日はこの上なく幸せです。
さぁ、そろそろ朝になりますね。
今日も一日、榛名は頑張ります!
――――マルロクマルマル。提督、朝ですね! 調子はいかがでしょうか?
時刻は午前6時。
此処暫くの日課通り、提督と一夜を共にした私は起床時間に伴い、提督に尋ねます。
ん〜っと背伸びをしている提督の調子は普段通りみたいです。
「おはよう、榛名」
「はい。おはようございます、提督。御加減はどうですか?」
「うん。榛名に労わって貰ってるから概ね良好だ。だが、今日はハードな一日になる、頼むぞ、榛名」
「はい! 榛名に御任せ下さい!」
提督の調子も確認して今日も一日が始まります。
休みの前日と言う事もあって、大変な一日になりそうですが……。
提督と一緒なら榛名、幾らでも頑張れます!
――――マルナナマルマル。すっかり朝です! 提督は元気ですね。
時刻は午前7時。
日も大分、高いところにまで昇って明るくなりました。
すっかり朝と言った感じです。
「うーん……言われるほど元気とは思わないんだが、そう見えるか?」
でも、提督自身はそれほど元気ではないと言っています。
私から見ると自覚がないだけではと思えます。
「はい、私から見れば充分に元気に見えますよ?」
「そうか……榛名がそう言うのなら間違いないんだろうな」
やっぱり、提督にはそれほどの自覚はなかったみたいで。
自分の事は余り気になされない提督らしいかな、と思ってつい笑みが零れてしまいます。
何時も提督の事は見てますから、榛名には解るんです。
――――マルハチマルマル。提督の朝食、榛名もご一緒してもいいですか?
「提督、朝食が出来ましたよ」
「……すまない、ありがとう」
時刻は午前8時。
朝食を一緒にとると言う名目で私が準備をします。
料理については提督と御付き合いする以前から、鳳翔さんに教わって腕を磨いていましたからそれなりに自信があるんです。
今日は鯖の塩焼きをメインにした和定食。
実は岩塩を使っているのがちょっとした拘りです。
「いただきます」
提督と一緒に手を合わせて早速、いただきます。
うん、焼き加減もちょうど良いくらいの仕上がりです。
「ん……美味い」
提督も一切れ取って口に入れて満足そうに頷いています。
こうして提督に朝食を御出しするようになったのは御付き合いを始めてからですが……。
基本的に私の作る料理なら何でも美味しいと提督は仰います。
ですが、まだまだ提督の好みの味をマスターした訳ではありません。
これからも食事の際は御一緒して提督好みの味付けを覚えなくては……!
――――マルキュウマルマル! 提督、出撃の用意は整っています!
「解った。だが、もう少し考える事がある。悪いけど、もう暫くは待ってくれないだろうか?」
「はい、提督」
時刻は午前9時。
朝食もとって、御片付けも終わって……これからの準備は万端です。
私の方も艤装の用意は何時でも出来ますし、後は提督からの御指示を待つだけ。
ですが、提督は書類と睨めっこしながら、思案するばかり。
そういえば大規模作戦の事もありましたね。
提督が考えているのは備えに関する事でしょうか?
「……よし、今日の方針が決まった。目を通してくれ」
「解りました」
提督の思案する表情を見つめていると、漸く考えが纏まったのか提督が書類を手渡してきます。
内容は今日一日のスケジュールですね。
しっかり、読み込んで予定をちゃんと立てないといけませんね。
――――ヒトマルマルマル。本日の作戦スケジュール、榛名にお任せください!
時刻は午前10時
提督から受け取った一日のスケジュールの内容は把握しました。
後はそれに沿って提督の御指示に従うだけです。
「うん、頼もしいな。宜しく頼むぞ」
私の返事を確認した提督は早速、山積みになっている書類の処理を始めます。
鎮守府内からの申請や大本営からの通達に民間の方々からの申請と大量の書類に目を通し始める提督。
普通なら山積みになっている書類で不要な物はどんどん省いてくと思うのですけれど……提督は一切、そんな事はしません。
全てに目を通して決裁していくのです。
そのせいか休みの日になる前日の提督は何時も御忙しそう。
少し、私も把握しているスケジュールでプランを立ててみましょうか……?
――――ヒトヒトマルマル。提督、榛名のオススメプランです。少し……休養をとられてはいかがでしょうか
時刻は午前11時。
黙々と書類作業を進めていく提督に私は休憩を促すと共に要点を纏め直したスケジュールを提督に御渡しします。
後、1時間もするとお昼になりますし……一度、御休みする事を考えられた方が良いのではないかと思います。
「いや、此処までは目を通しておかないと駄目だ。昼に持ち越す訳にはいかない」
「そう……ですか」
ですが、提督は私の意見を聞いてはくれません。
確かに山積みになっている書類を出来る限り、捌いておかないと後が大変なのは解りますが……。
提督が無理をしている姿を見る方が余程、辛いです。
もう少し強く御願いしてみないと駄目でしょうか?
――――ヒトフタマルマル。少し、休んでいただけますと……なぜかって……提督は忙しすぎますから。榛名のお願いです
時刻は正午。
流石に昼食を考えなくてはいけない時間です。
だけど、提督の集中力はずっと持続しているみたいで。
時間が昼の12時に差し掛かった事には全く気付いていません。
逆にそろそろ休みましょうと言ったところで、何故かとまで言われてしまいました。
流石に昼食抜きなんて無謀も良いところですよ?
「もう昼食の時間ですよ、提督。御忙しいのは解りますが、一息入れましょう。これでは最後までもちませんよ?」
「ん……もうそんな時間か。思ったより、仕事は進んでいないんだが……。榛名がそう言うならそうするか」
「はい!」
何とか、提督は私の御願いを聞いてくれました。
本当に何事にも真面目に挑む提督ですから、放っておくと書類作業に向かったままです。
下手をすれば倒れるまで仕事を行いかねません。
そんな真面目な提督の事も御慕いしていますけど……これって惚れてしまった弱みなのでしょうか?
――――ヒトサンマルマル。提督、こうしてゆっくり榛名とお昼をいただくことも……重要な任務です、なんて
「いただきます」
時刻は午後1時。
昼食も朝食の時と同じように提督と一緒に手を合わせます。
メニューは提督が中華の気分だと言っていたので、炒飯を作ってみました。
パラパラに仕上げるコツはお米の炊き方、卵を混ぜる頃合い、最初から中華鍋を熱しておく、料理酒を少しだけ使う……。
と言ったように細かい部分でポイントがあったりします。
調理する時は材料を一気に炒めて火を通すので具材も基本的に微塵切りです。
アクセントにはレタスを入れてシャキシャキ感を出してみました。
提督の健康も考えて野菜は少し多めです。
「うん、榛名は料理上手だな」
「そんな……私なんてまだまだです」
朝食に引き続き、提督は満足そうな様子を見せていますが今回の昼食が提督好みの味に仕上げられたかは解りません。
提督は基本手に表裏の無い御方ですから、本当の事を口にしているとは思いますが……。
こうして、褒められてしまうと照れちゃいます。
「ふむ……。だったら、こうして見るか」
「て、提督っ!?」
照れた様子で中々、昼食を口にしない私を見かねたのか提督が自分の炒飯をよそって私に差し出します。
こ、これは俗に言う"あ〜ん"と言うものではないでしょうか!?
流石に御付き合いし始めたばかりでこうした事をするのは恥ずかしくもありますが……。
提督が差し出してくれたものを拒否するなんて私には出来ません。
覚悟を決めて、私は提督がよそってくれた炒飯を口にします。
勿論、その味は思っていた以上に美味しく感じられたはずなのですが……。
余裕が全然なかった私にはその味はよく解りませんでした――――。
――――ヒトヨンマルマル。艦娘たちの士気も向上しています! 一気にうってでましょう!
時刻は午後2時。
恥ずかしくも嬉しい思いをした昼食を終え、私の士気は天を突く勢いです!
今なら、何が相手であっても勝てるような気がします。
例え、提督を御慕いする恋敵が相手であってもです……って私は何を言っているんでしょう?
「そうだな……。大規模作戦が始まる前に必要な出撃は済ませておくか。榛名、艦隊の編成を頼む」
「はい!」
溢れ出るやる気を私から感じたのか、提督は海域の制圧のために艦隊を動かす事を決断します。
大規模作戦が始まる前に制海権を抑えておこうと言う判断なのでしょう。
島国においてのシーレーンは正に死活問題となってしまいますから。
制海権を無くして、大規模な作戦なんて出来ません。
それに制海権を抑えた上で輸送船の安全を確保しなくては燃料、弾薬の補給にすら手を焼く事になりますし、ね。
嘗ての大日本帝国軍はそれが出来なかったから、兵站を維持する事が不可能になってしまったのですから。
前提となる下準備は大事ですよね!
――――ヒトゴーマルマル。提督、成績が更新されますね。榛名と確認します?
「うん、一応は見ておくか。俺の同期や後輩の成果も解るだろうしな」
時刻は午後3時。
大本営から鎮守府ごとの成果や成績の情報が齎される時間帯です。
私の所属する鎮守府は小規模で、戦艦や正規空母と言った大型艦の艤装を身に付けられる娘は殆ど居ません。
提督が評価されているのは大型艦が殆ど居ないにも関わらず、一定以上の成果を出し続けている事にあります。
そう言えば、提督の御友人も非常に優秀な方です。
私達の提督とはタイプが少し違いますが、御友人も面白い提督なんですよね。
大規模作戦のシーズンだと言う事は解っているので……恐らくは私達の鎮守府と方針は変わらないはずだと思うのですけれど……?
――――ヒトロクマルマル。提督、艦隊司令部の情報コメントも、榛名と更新致しましょう!
「そうだな……。榛名とケッコンしました! とでも打っておこう」
「て、提督っ!」
時刻は午後4時。
司令部のコメントを書き換えようと言ってみたら提督からはとんでもない内容のコメントが。
た、確かに第二次改装を終えてすぐにケッコンカッコカリはさせて頂きましたが……。
それでも、提督が堂々とそれを司令部のコメントにしてしまおうとするとは予想もしていませんでした。
ずっと御傍に居て、提督が意外と茶目っ気のある方なのは知っていましたが……。
まさか堂々と他の鎮守府の方々が目にする所で宣言するだなんて。
うう……榛名、恥ずかしいですよぅ……。
――――ヒトナナマルマル。榛名、マイランクの前後の方のコメント、少し気になります
時刻は午後5時。
先程の提督のコメントは冗談かと思いきや、本当に打電してしまいました。
堂々と交際宣言してくれるのは嬉しいのですが……やっぱり、他の鎮守府の方に知られるのは恥ずかしいです。
そのせいでしょうか? 提督に近しい方々がどんなコメントを打電してきたのかが少し気になります。
まさか……早々に返答が来ていたりとかしませんよね?
「お、流石に早いな。もう、俺のコメントに突っ込んできたか」
「あぅぅぅ……」
私の祈りも空しく、既に他の鎮守府の方々から提督のコメントに対する反応があったようで。
提督は苦笑いしながらそれを読んでいます。
「ふむ……”俺の瑞鶴の方が可愛いに決まっている”、”神通こそ至高”、”明石に癒されている俺に隙は無かった”、”リア充爆発しろ”か」
「え、えっと……?」
主に反応があったらしいコメントを提督が読み上げていきますが……。
どうも、提督の御知り合いの方々は一人を除いて、交際相手を自慢し返しているみたいです。
開き直って堂々と宣言しているのは流石、提督の御友人の方々だと思います。
類は友を呼ぶと言うべきなのでしょうか……。
こうした反応を返されてしまうと榛名、困ってしまいます。
――――ヒトハチマルマル。提督、日が暮れましたね。そろそろ夜の時間です
時刻は午後6時。
今は夏場ですので、日はまだまだ高いですが……。
早いものでもう夜の時間に差し掛かっています。
そろそろ、夕食の準備もしておきましょう。
今日は週末ですからカレーにしようと提督は言っていましたので、準備を進めます。
実は昨日から仕込みをしていたので後はもう一度、煮込み続ければ出来上がりです。
レシピは金剛お姉さまに教わったものを私がアレンジしたもの。
味は御墨付きを頂きましたので、提督にも御満足して頂けると思います。
提督、美味しいって言ってくれるかな……?
――――ヒトキュウマルマル。提督の執務室からの夜景……榛名は大好きです
時刻は午後7時。
提督との夕食を終えて、夜風に当たりながら私は執務室の窓から外の景色を覗きます。
外には鎮守府の港の向こう側に見える水平線が広がっており、離れた街には光が溢れています。
周囲はとても静かで時折、聞こえる波の音が心地良い音色を奏でているような気がします。
「そうだな。普段は特に気にしないが……榛名と見ていると外の風景も違って見えるから不思議だ。俺もこうして執務室から見る夜景は嫌いじゃない」
「提督……」
そう言った提督に思わず、見惚れてしまいます。
榛名と全く同じ事を考えていてくれたなんて。
嬉しくてどうかしちゃいそうです。
交際を始めてこうして、一緒に居れるだけでも幸せなのに。
榛名には勿体無いです……。
――――フタマルマルマル。頑張って働いているドックのクレーン。榛名、ちょっとロマンを感じます
自億は午後8時。
提督と一緒に夜景を楽しんでから、仕事を再開しました。
私達が仕事をしていたり、休んでいる間に働いているクレーンに私はちょっとした浪漫を感じています。
寝る間も惜しむかのようにせっせと働くその姿は一所懸命に働く人達と変わりはなくて。
今もこうして、大規模作戦の時期と言う事もあって追加されてきた書類に目を通していく提督の姿を見ると漠然とそう思います。
そういえば……明石さんの艤装に付いているクレーンも凄いですよね?
何だか、格好良いと榛名は思うんです。
――――フタヒトマルマル。榛名もドックのクレーンのように働いて、提督と艦隊のお役に立てるよう、頑張りますね!
時刻は午後9時。
提督にお茶を入れたり、身の回りの御世話を一通りし終えたところで私も書類作業の御手伝いに入ります。
「提督、この書類は――――」
「それは俺の方で見る。榛名はこの見終えた書類を種別に分けてくれ」
「解りました」
この時間になっても追加された書類を捌き続ける提督。
本当なら業務終了の時間は過ぎているのに絶え間無く仕事を続けています。
時折、私の準備したお茶を飲んではくれているものの、夕食を終えてからは殆ど休んでいません。
少しでも提督の役に立てるよう、私も頑張らないと――――。
――――フタフタマルマル。今宵は榛名、少し、おしゃべりが過ぎました。ご容赦くださいね?
「いや、榛名がこうして話しかけてくれる御蔭で俺の方も気が紛れている。仕事が終わらないのは大本営が面倒なものばかり送ってくるからだ」
時刻は午後10時。
私が少し御話しすぎたかな、と思って謝ると提督は大本営が悪いと不貞腐れた様子を見せます。
確かに勤務時間が終わっているのに急ぎの書類を送り付けてくるなんて酷いとは私も思います。
でも、今日中に片付けなければいけないような重要な書類も入っている訳ですし……余り強く文句は言えません。
流石の提督もうんざりしているんじゃないでしょうか。
時間も時間ですし……そろそろお休みするように促してみようかな……?
――――フタサンマルマル。提督、たまには、……早めにお休みください……ね?榛名のお願いです
「む……これさえ片付けられれば明日は一日中休めるから、もう暫くやらせてくれ」
時刻は午後11時。
提督の作業も大詰めを迎えています。
早めに休んで欲しいのですけど、提督はどうしても明日には持ち越したくないと言っています。
基本的に休日は仕事をしないと言うのがスタンスの御方なので、それは良く解ります。
私も出来る限りは休日はゆっくりとしたいですし……。
それに交際を始めてからは御休みの日も提督と一日を過ごさせて頂いています。
業務が無いので、思う存分に提督の御傍に居られる訳で……。
提督も同じように考えて下さっているのでしょうか?
――――マルマルマルマル、提督、深夜の任務、お疲れ様です!
「ああ、榛名も御疲れ様。後は鎮守府全体の見回りだけだから榛名は休んでも良いぞ?」
時刻は深夜0時。
提督の書類作業も終了し、後は鎮守府全体の見回りと休日に入る前の戸締りだけです。
でも、提督一人でそれを全て行うとなると3〜4時間くらいの時間が経ってしまいます。
この鎮守府に所属している艦娘は多くはないのですけど、全員が休日と言う事で外に出て行ってしまっていますし……。
残っているのは榛名と提督の二人だけです。
少し眠くなってきた気もしますが……提督だけに見回りをさせる訳にはいきません。
此処は気合、入れて、いきます!
――――ん……マルヒトマルマル、榛名もご一緒します!眠くなんかありません!
「そうか? 随分と眠そうに見えるんだが……」
「そ、そんな事ありません!」
時刻は深夜1時。
提督に調子を見抜かれていて焦りますが、気を入れ直します。
御一緒すると言った以上、自分から眠いだなんて言えません。
提督はまだ、それほど眠そうではありませんが……慣れているかどうかの差なのでしょうか?
榛名も負けてはいられません。
最後まで提督の御仕事に御付き合いさせて頂きます。
――――マルフタマルマル、提督、気を抜いてはいけません!榛名も頑張ります!
「いや、榛名の方が心配なんだが……」
時刻は深夜2時。
流石の提督も疲れているのか少しだけ欠伸をしています。
思えば、一日の殆どを業務に当てていたのですから当然かもしれません。
書類にずっと向かって作業する事は思っている以上に疲れてしまいます。
私も一日中に渡って書類作業していた時は疲労感を感じますし……。
ですが、まだ見回りは終わっていません。
まだ、気を抜く訳には……!
――――マルサンマルマル……提督……ここは……榛名が見張りますから……先におやすみになっては……
「……無理はしなくて良い。此処は俺が確認する」
「いえ……大丈夫、です……」
時刻は午前3時。
もう流石に限界が近いですが、提督より先に休むわけにはいきません。
秘書艦として最後まで御付き合いするのが当然です。
ですが、提督はそんな私を気遣ってくれます。
交際する以前からも秘書艦としての仕事の時には榛名を労ってくれましたし……。
今もそういう気遣いが働いているんだと思います。
やっぱり、提督は御優しいです……。
――――マルヨン……マルマル。提督……榛名も一緒に休んでは……鎮守府のお守りが……
「もういい。見回りする場所は全て確認したし、早く休もう。榛名もシャワーを浴びてくると良い」
「ですが……」
時刻は午前4時。
鎮守府の見回りを終えて、提督と一緒に執務室へと戻ってきました。
ですが、此処で提督と私が一緒に休んでしまうと艦娘不在の鎮守府は完全に無防備になってしまいます。
妖精さん達も皆が眠りについていますし……。
「……俺と一緒に休むのも大事な仕事だ。昼に榛名が似たような事を言ってくれただろう? それと同じさ」
「提督……」
心配する私を提督が逆に諌めます。
確かに昼食の時に私とお昼をいただくことも重要な任務です、なんて言いましたが……。
提督と一緒に御休みする事も同じ事だと言います。
少し考えれば確かに同じようなものなのかもしれません。
私との時間を提督が大切にして下さっているように私にとっても提督との時間は大切です。
提督が休もうと言ってくれたのはそれだけ私の事を考えて……っといけません、何だか頬が熱くなってきました。
流石に限界を超えてしまっているからでしょうか……?
――――マルゴーマルマル。たしかに布団一組は狭いですね……。でも……榛名、暖かいです
時刻は午前5時。
えへへ……提督の御傍は凄く暖かいです。
提督に休むようにと促され、結局は榛名も一緒に休む事にしました。
流石に業務や見回りで汗を掻いていたのでお風呂を頂きましたが……実は提督と御一緒させて頂いていたり。
裸の御付き合いとも言いますけど、私達の場合は交際している男女な訳でして。
中ではちょっとしたやり取りがありましたが、此処は秘密にさせて頂きます。
「ん……」
提督の御傍は余りにも心地良くて、何時までも浸りたくなってしまいます。
ですが、休日は提督とデートをする御約束。
ヒトマルマルマルには起きて準備をしないといけませんから、私も早く寝なくてはいけません。
ふわぁ……少し考えていたら欠伸が出てきてしまいました。
まだ堪能したいと思っていても身体は正直ですね。
デートの事もありますし、私もこれで眠りにつかせて頂きたいと思います。
凄くハードな一日でしたが……こうして、最後は提督の御傍で眠る事が出来るのは凄く幸せな気持ちです。
眠りにつく前にもう一言だけ、最後に御伝えしてから私も眠ります。
勿論、最愛の提督に告げる言葉は当然決まっていました。
今の私にこれ以外の言葉なんて考えられませんし、これが正直な私の想いなのですから――――。
「――――提督、大好きです」
From FIN 2014/8/7
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